プラザ合意2.0!?(2025/1/14)

 

 

 

先日の日経新聞で、金融大手数社による今年末の円相場見通しが「1ドル=138円~160円」となっていましたが、先週は早くも「1ドル=160円」に近づきました。(1ドル=158.87円)

この背景には何があるのでしょうか?

ちなみに、日銀による最新の「生活意識に関するアンケート調査」では、以下のことが分かっています。

 

 

 

 

 

・景況感について、現在を1年前と比べると「悪くなった」という回答が55.1%

 

 

 

・現在の景気水準について、「悪い(どちらかと言えば、悪い)」という回答が66.5%

 

 

 

・現在の暮らし向きについて、「ゆとりがなくなってきた」という回答が52.7%

 

 

 

・支出について、現在を1年前と比べると「増えた」という回答が56.4

 

 

 

・現在の物価に対する実感を1年前と比べると「上がった」という回答が94.7

 

 

 

1年後の物価に対する見方を現在と比べると「上がる」という回答が85.6

 

 

 

・現在の物価上昇についての感想で「どちらかと言えば、困ったことだ」という回答が83.6

 

 

 

 

 

さて、上記を見れば分かるように、国民の生活意識としては、ざっくりと「景気が悪い=過半数」「暮らしにゆとりがなくなってきた=過半数」「物価が上がった=9割」といった感じになっています。

 

 

 

それにもかかわらず、株価は上昇し続け、日経平均株価は19891229日に付けた38,915円という、当時のバブル景気の最高値さえも上回る展開となっています。(11日時点で39,190円)

これは、「まともに考えると、おかしくないか?」というのが普通の人の感覚だと思います。

 

 

 

そして、このような、日銀による最新の「生活意識に関するアンケート調査」の結果を踏まえた上で、前回の日銀金融政策決定会合の、植田総裁の記者会見での以下の発言を振り返ってみます。

 

 

 

 

 

「基調的物価上昇率とか、インフレ期待の動きがだいぶ高いところまでは来ていますけれども、2%と整合的なところまではもう少し距離があるという中でゆっくりしているということが、私どもの政策金利の調整をゆっくりさせる余裕を生んでいるという理由でもある」

 

 

 

 

 

これは、要するに「基調としてのインフレ率はまだ2%に達していない」「だから、利上げを見送る」と言っているわけですが、「意味不明の説明」と言われても仕方ありません。

 

 

 

なぜなら、前述のように、国民の生活意識として、「景気が悪い=過半数」「暮らしにゆとりがなくなってきた=過半数」「物価が上がった=9割」だからです。

しかも、それは日銀の「生活意識に関するアンケート調査」で明らかになったことだからです。

 

 

 

そして、そんな日銀が、日本の株式市場でも最大の株主となっていて、今の株高(まともに考えると、おかしくないか?)を演出している構図があります。

 

 

 

一方で、先日は以下のような報道もありました。

 

 

 

 

 

11月実質賃金0.3%減、4カ月連続マイナス 物価の伸びが上回る=毎月勤労統計】

 

 

 

 

 

これも要するに、「賃金の伸びが拡大したが、物価がそれ以上に上昇した」ということです。

結局のところ、現実に物価上昇は継続しているわけで、その要因として「円安」が大いに関係しています。

したがって、「日銀は円安を放置するのか?」という批判が一向に無くならないわけです。

 

 

 

先日、世界3大投資家の一人であるジム・ロジャーズ氏が、新刊本『日銀が日本を滅ぼす 世界3大投資家が警告する日本の未来』(SBクリエイティブ)を出しましたが、まさに「日銀が日本を滅ぼす」と言われても仕方ないのかもしれません。

 

 

 

実際、IMF(国際通貨基金)は円の実質的な価値を「1ドル=9082銭」と試算しており、その通りであれば現状は全く違ったでしょうが、今や「円安の弊害」ばかりが目立っています。

 

 

 

 

 

【円安の恩恵は外国人だけ? 日本人旅行者が直面する国内旅行の現実と課題】

 

 

 

 

 

上記は帝国データバンクの記事ですが、円安による訪日外国人観光客の急増と、それにともなう物価上昇が要因となって、今や「国内旅行が高すぎて行けない」という声が多く聞かれるそうです。

また、訪日外国人観光客との競争による「宿泊施設の予約の取りづらさ」が国内旅行離れを加速させているようです。

 

 

 

さて、このように見ていきますと、ネット上では、しばしば「日本の売国奴の正体」といったことが話題になっていますが、十分に頷(うなず)けることだと思います。

また、日銀をはじめ、日本政府に「円安を本気で是正する」意志がないのも明白でしょう。

 

 

 

そして、このような現実に向き合いますと、今後の為替相場は「トランプ次期米大統領次第だ」と言えそうです。

トランプ氏は、かねてより「円安ドル高は大惨事」「米国内の製造業が打撃を受ける」と主張しているからです。

 

 

 

そのような中、今、噂になっているのが「プラザ合意2.0」です。

これは、今から40年前の1985年、ドル高是正の国際協調「プラザ合意」の再来ということです。

 

 

 

トランプ氏は、「FRB(米連邦準備制度理事会)は利下げでドル安に導け」「従わなければパウエルFRB議長を解任する」と言っていますので、ドル高是正に対して本気なのでしょう。

同時に、だからこそ「プラザ合意2.0もあり得る」と噂されています。

 

 

 

いずれにせよ、冒頭で述べたように、金融大手数社による今年末の円相場見通しは「1ドル=138円~160円」となっています。

 

 

 

120日にはトランプ2.0(トランプ第2次政権)もスタートしますし、「1ドル=160円」に近づきつつある今だからこそ、相場の急変も意識しておくことが大事だと思います。

 

 

 

 

引き続き、相場は慎重に取り組んでいきましょう。