HFTと相場(2024/8/5)

 

 

 

直近の相場は、円も日経平均も大荒れとなっています。

ちなみに、今年に入ってからのドル円と日経平均は、おおよそ以下のような推移です。

 

 

 

【ドル円】

140.80円 → 160.22円 → 151.85円 → 161.95円 → 146.57円(83日時点)

 

 

 

【日経平均】

33,193円 → 41,088円 → 36,733円 → 42,427円 → 35,909円(83日時点)

 

 

 

 

 

上記を見ても分かるように、円安と株高、円高と株安がセットになっています。

同時に、相場が乱高下してきたことが分かります。

そして、それに合わせ、以下のような対照的な報道もありました。

 

 

 

【金利上昇容認も円安進行で見えた「1ドル=200円」への道】

 

 

 

【円「快進撃」、1ドル=140円がトレーダーの次のターゲットに】

 

 

 

 

 

【日経平均は78000円まで上昇も 注目すべき指標とは?】

 

 

 

【ついに「株価の大暴落」が始まったのだろうか 相場はすでに「大きな転換点」を迎えている】

 

 

 

 

 

いずれにせよ、経済の実態を考えれば、今の相場は「おかしい」ことが分かると思います。

IMF(国際通貨基金)が円の実質的な価値を「1ドル=9082銭」と試算しても、未だ「1ドル=14657銭」(83日時点)ですし、1980年代の「バブル期」と比較しても、それに匹敵するような今の株価が「おかしい」ことは、多くの人が感じていることでしょう。

 

 

 

では、いったい、何がここまで相場を「おかしく」したのでしょうか?

時には、とんでもない「急騰」や「急落」もあり、直近の日経平均や円相場の動きは、まさにそうですが、何がそうさせているのでしょうか?

 

 

 

これには、複数の要因が考えられるのですが、個人的に、その最大の要因は「HFT(超高速取引・超高頻度取引)の台頭」にあると思っています。

書籍『フラッシュ・ボーイズ 10億分の1秒の男たち』(文春文庫)に、HFTの詳細が記されていますが、以下にその概要を整理します。

 

 

 

 

 

HFT超高速取引・超高頻度取引)業者の「バーチュ・ファイナンシャル」には、1237日無敗という驚異の成績がある。

 

 

 

HFT(超高速取引・超高頻度取引)の手口とは、フロントランニング(投資家の注文を実行される前に知って、先回りして売買を行うこと)である。

 

 

 

・取引所はコロケーションサービス(HFT業者のサーバーを取引所のデータセンターの隣に設置できるサービス)を提供しおり、ネットスピードを少しでも速くするために都市の一般回線を使わず、プライベート回線を、それも直線で引いているHFT業者も多数存在している。ケーブルの長さの数センチの違いでも、HFT業者の間に情報を取得するスピードに差が出るため、システムサーバーにより近い場所は高額に設定された。HFTは、取引所に不動産ビジネスの利益をもたらす一方で、一般投資家の利益は蚊帳の外に置かれてしまう。取引所とHFT業者はグルである。

 

 

 

・売買注文はすべて「無人ロボット」がプログラムに従って自動的に出している。大きな獲物が見つかるやいなや、大量の注文を浴びせかけては、広く薄く荒稼ぎしている。

 

 

 

HFT業者に食われるのは、主に生命保険や投資信託などの大手機関投資家だろう。その大口注文を先回りして、気づかれないように後出しで薄く利を剥ぎとる。コストを支払わされるのは、年金を積み立てているあなた、NISA(少額投資非課税制度)口座を開いたあなたなのだ。

 

 

 

HFTは株式市場に限らない。商品市場、為替市場など各市場でも主要プレーヤー的な位置づけだ。

 

 

 

HFTにより、膨大な注文数が出たり、そして急な取り消しが出たり、市場をかく乱させるような要因を含んでいる。流動性が高まる一方で、一気に市場から引き揚げて急落し、遅れて参戦してきた個人投資家がババを引くこともある。

 

 

 

2007年以降、200人以上のSEC(米国証券取引委員会)職員が官職を去り、HFT業者へ天下り、あるいはHFT業者のエージェント(代理人)としてワシントンのロビー活動を行う企業へ移っていることが分かった。本来は、投資家を守るべきSEC職員が「HFTは市場に流動性を与えている」とのレポートを出し、お墨付きを与えるなど、システム自体がグルになっている。

 

 

 

 

 

さて、上記がHFTの概要ですが、このHFTについては、米国の「カンザスからNY」まで1600kmを一直線に貫く通信回線を敷設し、0.001秒の短縮に熱狂した男たちの実話として映画化までされています。

『ハミングバード・プロジェクト 0.001秒の男たち』が、そのタイトルです。

 

 

 

そして、このように見ていきますと、これぞ「強欲資本主義」といった感じがしないでしょうか?

テクノロジーは日進月歩で、絶えず進歩していますが、一握りの「強欲な人達」が、資金量にモノをいわせ、そこにテクノロジーの力が加わり、相場がここまで「おかしく」なってしまった、というのが真相だと思います。

 

 

 

さらに現実の相場は、HFT(超高速取引・超高頻度取引)に加え、AI(人工知能)までも参戦しています。

したがって、このように「おかしく」なってしまった近年の相場で、個人投資家が戦うとしたら、スキャルピング(数秒から数分程度の極端に短い時間に、何度も売買を繰り返す)やデイトレード(1日の取引時間中に売買を完結させる)で勝負するよりも、HFTAIのことは無視して中長期の戦略を持って勝負した方が良いと思います。

 

 

 

そのような中、中長期の戦略といえば、米国でトランプ氏が大統領再選となったら「円高に向かう」と言われています。

何よりも、トランプ氏が「今の円安は犯罪的だ」と言っているからです。

 

 

 

ただし、ここで懸念されるのが不正選挙(2020年の大統領選挙は不正選挙だったと、トランプ氏だけでなく、多方面からも指摘されている)や、再度の暗殺リスクです。

 

 

 

そういう意味でも、相場は決め打ちせずに、イメージとして「円高に向かう」を持ちつつも、価格やポジション量に、しっかりと注意を払いながら取り組むことが肝要だと思います。

 

引き続き、相場は気を引き締めて取り組んでいきましょう。