相場はババ抜き!?(2024/6/24)

 

 

 

【「円安」、企業の半数が経営に「マイナス」 希望レートは「1ドル=125円」、現状と30円以上の差】

 

 

 

 

 

上記は先日のニュースで、東京商工リサーチが63日~10日に実施したアンケート調査によると、現在の円安水準が経営に「マイナス」と回答した企業は54.4%だったそうです。

 

 

 

では、残りの企業は「プラス」と回答したかというと、そうではなく、「プラス」と回答した企業は、わずか3.8%だったそうです。

 

 

 

また、中小企業に限れば「マイナス」と回答した企業は55.0%で、業種でも百貨店や総合スーパーを含む「各種商品小売業」に限れば「マイナス」と回答した企業は100.0%だったそうです。

 

 

 

ちなみに、企業が希望する為替レートは「1ドル=125円」とのことで、現状とは30円超もの開きがあるわけで、企業からは怨嗟と悲鳴の声が上がっているようです。

 

 

 

そのような中、先日、共同通信が「円の国際価値が過去最低を更新した」と報じました。

 

 

 

したがって、このままいくと、多くの企業が「廃業・倒産」という事態に追い込まれることが予想されます。

実際に、内閣府が610日に発表した5月の景気ウォッチャー調査によると、「街角景気指数」は45750以上が良い、50以下が悪い)となっており、景気の悪化も明白だからです。

 

 

 

それにもかかわらず、このような「悪い円安」を放置する日本政府は「何を考えているのか?」という話になってきていますし、政治スキャンダルも相次いでいるので、海外の著名ジャーナリストからも「現在の日本の政権は腐敗し切っている」と言われる始末です。

 

 

 

また、今話題の「定額減税」も、企業で事務負担が増える経理担当者からは「迷惑減税」と言われる始末ですし、その一方で、岸田政権になってからは「これでもか!」というほどの増税ラッシュとなっているので、各種報道で岸田首相は「増税メガネ」とまで呼ばれているのです。

 

 

 

要するに、現状は「悪い円安」と「増税」がセットになっており、「政府は意図的に日本の景気悪化を目指しているのではないか?」とさえ言われているのです。

 

 

 

そのような中、日本の生命保険会社は、外国証券の運用において、為替相場の円高進行で生じる損失に備えたヘッジ(保険)比率を過去10年間で最低水準まで引き下げました。

これはつまり、円安がさらに進行すると、生保各社が予想していることを意味します。

 

 

 

このような状況ですから、ついに「1ドル=200円」を予測する声まで出始めています。

 

 

 

ただし、相場の歴史を振り返ると、相場の「常」として、市場の見方が一方向に偏ると、往々にして「反対の動きが起こる」点には注意が必要です。

 

 

 

実際、警戒すべき「理由」はあります。

例えば、国際情勢のリスク分析を行う米調査会社「ユーラシア・グループ」が、今年の「世界10大リスク」をまとめた報告書を発表しましたが、それを見ても明白だと思います。

 

 

 

 

 

【世界10大リスク】

1.      米国の敵は米国・・・・・・米大統領選で分断と機能不全が深刻化

2.      瀬戸際の中東・・・・・・・ガザでの戦闘は紛争の第一段階

3.      ウクライナ分割・・・・・・ロシアが占領地を維持、今年が戦争の転換点に

4.      統治されないAI・・・・・・選挙に影響を与えるために生成AIが利用される

5.      ならず者の枢軸・・・・・・ロシア、北朝鮮、イランの連携が脅威に

6.      中国回復せず・・・・・・・金融の脆弱(ぜいじゃく)性や需要不足に対応できず

7.      重要鉱物をめぐる争い・・・各国が産業政策と貿易制限を強化

8.      経済的逆風・・・・・・・・インフレが経済の足かせに。景気刺激策は限定的

9.      エルニーニョ再来・・・・・異常気象が食糧難や水不足、病気の原因に

10.   米国でのビジネス・・・・・企業は米国の「分断」への対応に苦慮

 

 

 

 

 

上記が、年初に発表された「世界10大リスク」ですが、半年経過した今も、何一つリスクは払拭(ふっしょく)されていないことが分かります。

 

 

 

しかも現在は、上記にはない、フランス総選挙のリスク(財務相は金融危機を懸念)もありますし、イギリス総選挙のリスク(与党・保守党が大敗する見通し)もあります。

 

 

 

したがって、何かを「きっかけ」として、相場は「反対の動きが起こる」可能性は十分にあるのです。

 

 

 

そのような中、日経平均株価は今年の34日、初の4万円台を付けましたが、その際、経済アナリストの森永卓郎氏は「これは世界規模のババ抜きなので、今から乗るとババを引くことになります」と解説しました。

 

 

 

現在は、株価だけでなく、為替も一方向(円安)に動いていますので、森永氏の言うように「ババ抜き」の観点を持つことが必要だと思います。

 

 

 

そういう意味では、米半導体大手「エヌビディア」が、先週18日に時価総額で33300億ドル余り(約530兆円)となり、世界一位となりましたが、これも注意が必要だと思います。

なぜなら、エヌビディアの大躍進の背景には「AI需要の拡大への期待」があるわけですが、以下のような懸念点もあるからです。

 

 

 

 

 

・経済学者でノーベル賞受賞者のポール・ローマー教授は「現在、AIの今後の軌道についてあまりにも高い信頼が寄せられている。人々がこのような予測をするとき、非常に深刻な間違いを犯す危険性がある」と警鐘を鳴らしている。

 

 

 

・スマートフォンの消費電力を最小限に抑え、バッテリー寿命を延ばす方法を開発したことで名を成した英半導体設計大手「アーム」のCEO(最高経営責任者)は、「2029年末までにAIデータセンターは全米の電力需要の2025%を占める可能性がある。現在はおそらく4%かそれ以下だ」とし、「正直なところ、とても持続可能とは言えない」と述べた。

 

 

 

 

 

いずれにせよ、エヌビディアの時価総額は、日本最大のトヨタ自動車の10倍を超えており、過大評価と言えると思います。

したがって、巷(ちまた)では、「エヌビディア・ショックが起こるのではないか?」とも噂されています。

 

 

 

 

相場は、引き続き「ババ抜き」の観点も持った上で、慎重に取り組んでいきましょう。