権力構図の変化(2024/6/3)

 

 

 

世の中の権力構図が変わると、その影響は金融市場や相場にも及びます。

例えば、以下のようなことが考えられます。

 

 

 

 

 

・新政権によって、財政刺激策、税制改革、金融政策の変更などが行われると、株価、通貨、債券市場に影響がある。

 

 

 

・政治的な不確実性が高い時に、投資家はリスクを嫌って、金(Gold)などの安全資産への需要が高まる可能性がある。

 

 

 

・新政権が「積極財政派」となれば株式市場にプラスとなるが、財政赤字の拡大を懸念して「緊縮財政派」となれば株式市場にマイナスとなる。

 

 

 

・特に米国の場合は、新しい大統領が国際的な貿易や安全保障の方針を変えると、他国との関係に影響を与え、ドル相場や輸出入の流れに影響を及ぼす可能性がある。

 

 

 

 

 

このような点を踏まえて、まずは日本について考えてみます。

 

 

 

 

 

・参議院徳島・高知の補欠選挙で自民候補が敗北 

・東京都青梅市長選で自公推薦の現職が敗北 

・山形県米沢市長選で自公推薦候補が敗北

・衆院3補欠選挙で自民は東京15区と長崎3区で公認候補擁立を断念し「不戦敗」

・衆院島根1区の補欠選挙で自民敗北 

・群馬県前橋市長選で自民敗北

・神奈川県小田原市長選で自民推薦の現職が「大差で」敗北

・東京都目黒区の都議補欠選挙で自民敗北

・静岡知事選で自民敗北

・東京都港区長選で自公推薦の現職が敗北

 

 

 

 

 

昨年10月以降、上記のように、自民党は地方選挙で敗北し続けています。

実際、NNNと読売新聞が行った世論調査でも、岸田内閣の支持率は7か月連続で「危険水域」となり、麻生内閣の時を上回り、過去最長となっています。

また、時事通信社の5月世論調査でも、岸田首相の再選支持はわずか6%で、「政権交代待望論」が募っていることが明らかになりました。

 

 

 

冒頭で述べたように、日本はまさに「世の中の権力構図が変わると、その影響は金融市場や相場にも及ぶ」という事態になりつつあるようです。

 

 

 

一方で、米国については、世界で「孤立」が際立ってきています。

 

 

 

 

 

【国連総会 パレスチナの国連加盟を支持する決議案 採択】

 

 

 

 

 

上記はNHKのニュースですが、「国連総会ではパレスチナの国連加盟を支持する決議案の採決が行われ、143か国が賛成したのに対し、反対は米国やイスラエルなど9か国(米国、イスラエル、アルゼンチン、チェコ、ハンガリー、ミクロネシア連邦、パプアニューギニア、ナウル、パラオ)にとどまり、圧倒的多数の賛成で決議は採択されました」と報じられ、イスラエルとそれを擁護する米国の「孤立」が際立ちました。

 

 

 

ちなみに、国連のフランチェスカ・アルバネーゼ氏は、イスラエルがパレスチナ自治区ガザ地区で行っている攻撃について、イスラエルが「パレスチナ人に対してジェノサイド(集団殺害)という犯罪を行っている」と述べました。

 

 

 

また、この件については、米ハーバード大学の学生団体も「責任は全面的にイスラエルにある」という主旨の声明を出しています。

 

 

 

つまり、このような意見の方が世界の主流であって、それに対して、イスラエルとそれを擁護する米国は国際社会から「孤立」し、完全に行き詰っている状況だと言えるでしょう。

 

 

 

そのような中、11月の米大統領選で返り咲きを目指すトランプ氏ですが、米金融界の大物である投資会社ブラックストーンのスティーブン・シュワルツマンCEO(最高経営責任者)の後ろ盾を確保しました。

 

 

 

ちなみに、スティーブン・シュワルツマンCEOについては、リーマン・ショックやトランプ前米大統領誕生を予言して的中させた副島隆彦氏が、「孫正義(ソフトバンクグループ代表)の親分で、孫正義はシュワルツマンの忠実な子分である」と著書に書いています。

 

 

 

そういう意味でも、トランプ氏は強大な後ろ盾を確保したと言えるでしょうし、CNNの世論調査でもトランプ氏が優勢となっていますので、トランプ氏の再選の可能性は高いのではないでしょうか?

 

 

 

しかし、直近では、トランプ氏は不倫口止め料の裁判で、有罪の評決が下されました。

 

 

 

最大4年の拘禁刑が言い渡される可能性があるそうですが、トランプ氏が控訴するのは確実であり、自由の身のままでいられると考えられるので、再選の可能性が消えることはないでしょう。

 

 

 

では、トランプ氏が再選したら、どうなるのでしょうか?

 

 

 

最近は、もし、トランプ氏が大統領に返り咲いたらどうなるかということで、「もしトラ」という言葉も頻繁に聞かれるようになりましたが、前述のような、イスラエル・パレスチナといった中東情勢も含めて、世界があらゆる面で「変化」するのは確実でしょう。

 

 

 

報道によると、トランプ政権になった場合、意図的なドル安誘導と、為替相場を再調整してドルを切り下げるという政策構想が、政権入りするとみられる数人の間で「最優先事項」になる可能性が高いそうです。

すると、1985年のプラザ合意の「再来」となって、一気に円高に振れる可能性があります。

 

 

 

いずれにせよ、世界は今、大きな変化の渦中にあります。

さらに、世の中の権力構図が変わると、その影響は金融市場や相場にも及ぶと考えられますから、警戒するに越したことはないと思います。

 

 

 

そして直近では、米国のバイデン政権が、ウクライナに対して、米国が供与した兵器をロシア領内の軍事拠点への攻撃に使うことを容認したと報じられています。

 

 

 

 

地政学リスクも考慮して、相場は引き続き慎重に取り組みましょう。