米国債の逆イールド(2024/5/20)

 

 

 

「ある状態」になると、過去においては、そのすべてで株式市場の「50%以上の暴落」が起こっています。

そんな「ある状態」とは何でしょうか?

 

 

 

それは「米国債の逆イールドが500日以上逆転している」ということです。

 

 

 

これを簡単に説明しますと、例えば、お金の貸し借りで「今日借りて明日返す」といったような場合、金利はほとんど無視されます。

しかし、もしも「今日借りて10年後に返す」といったような場合、通常は「金利がいくらか?」という話になります。

両者の比較から分かるように、「借りている期間が長いほど金利が高くなる」のが普通です。

 

 

 

そのような中、国家が借金をする際に発行するのが「国債」です。

国債の購入者は、国債を購入することによって「国家にお金を貸す」ということになりますが、そのかわり「利息(金利)」を受け取ることができます。

そして「国家にお金を貸す」期間については、2年や10年など様々な期間がありますが、期間が満期に達すれば、元金が国債の購入者に戻ってくる仕組みです。

 

 

 

ここで例えば「2年」と「10年」を比較した場合、「2年貸す」のと「10年貸す」の違いですから、当然「10年貸す」方が、金利(利回り)が高いのが普通です。

ところが、もしも「2年(貸す)」金利が「10年(貸す)」金利よりも高い「逆転状態」だったら、「非常におかしい」ことが分かると思います。

 

 

 

これが「国債の逆イールド」ということで、過去「米国債の逆イールドが500日以上逆転」した際は、そのすべてで株式市場の「50%以上の暴落」が起こっているということです。

具体的には1929年の世界恐慌、1974年の第一次オイルショック、2008年のリーマン・ショックです。

 

 

 

そして、一番重要なポイントだと思いますが、現在がそれ(米国債の逆イールドが500日以上逆転)に該当しているということなのです。

つまり今後、株式市場の「50%以上の暴落」が起こってもおかしくないのです。

 

 

 

そもそも、現在の株式市場も為替市場も「滅茶苦茶」です。

 

 

 

例えば、【街角景気4月は2.4ポイント低下、円安・物価高が影響 景気判断を下方修正】と報じられた日も、【GDP年率2.0%減 13月、消費や設備投資が落ち込む】と報じられた日も、いずれの日も株高は進み、日経平均株価は1980年代のバブル期を超えた史上最高値圏にあります。

 

 

 

また、日本の経常黒字(海外との取引でどれだけ利益を得たか)が「過去最大の253390億円」と発表されても「異常な円安」は続いており、日本は今や、旅行代も食べ物も「フィリピン」よりも安い国になっています。

 

 

 

そして、米国については、最近以下のようなニュースが報じられました。

 

 

 

 

 

【ウォール街のカジノが営業再開、大盛況-ミーム株ブーム再び】

 

 

 

 

 

これは、ウォール街が「カジノ化」しているという意味でのニュースですが、ミーム株(ネット上で話題になっている株)の「ゲームストップ」(直近の決算は赤字)は、わずか2日で171%上昇しました。

また、現在苦境にあることで知られる映画館チェーン「AMCエンターテインメント・ホールディングス」も、わずか2日で135%急騰しました。

 

 

 

一方で、直近の発表で、米国は製造業、サービス業ともに、景況指数や雇用は好不況の境目である「50」を割っており、景気減速が示されています。

 

 

 

また先日、【米家計債務が過去最大、インフレ直撃で返済遅延も増加-NY連銀調査】とも報じられました。

 

 

 

それにもかかわらず、以下のニュースです。

 

 

 

 

 

NYダウ平均株価 終値で初めて4万ドル超える 史上最高値を更新】

 

 

 

 

 

もはや、株式市場は完全に「マネーゲーム」になっていると言えるでしょう。

 

 

 

ところが、前述のように、過去「米国債の逆イールドが500日以上逆転」した際は、そのすべてで株式市場の「50%以上の暴落」が起こっていますし、ある意味で「まともな」判断を下していると思われるヘッジファンドについては、最近以下のようなニュースが報じられました。

 

 

 

 

 

【ヘッジファンド、過去5カ月の最速ペースで株式売却=ゴールドマン】

 

 

 

 

 

さて、このように、ヘッジファンドも株式売却を進める中、現在の株式市場や為替市場が「まともか?」「まともでないか?」と考えれば、今や一般の、投資をしていない人であっても「おかしい」と感じるレベルになっているのではないでしょうか?

 

 

 

では、今後の為替市場はどうなるのかというと、以下のニュースは参考になると思います。

 

 

 

 

 

【米の円買い協調介入、世界的リスクある場合に限定される-BofA】

 

 

 

 

 

これは、為替介入について、米国が日本と協調介入(円買い介入)を実施する可能性があるのは、世界の金融システムに広範なリスクがある場合に限られるだろうと、米金融大手BofA(バンク・オブ・アメリカ)が指摘したというニュースです。

 

 

 

すると、現在は米国債の逆イールドが500日以上逆転し、株式市場の「50%以上の暴落」が起こってもおかしくないわけですから、リーマン・ショックの時のように、世界の金融システムに広範なリスクがある場合というのは、遅かれ早かれ「現実化」するのではないでしょうか?

 

 

 

さらに、高くなり過ぎたものは安くなる、安くなり過ぎたものは高くなるという「相場の性質」を考えても、第二のリーマン・ショックとなれば、一気に円高に修正されるのではないでしょうか?

 

 

 

 

いずれにせよ、相場は「現状はマネーゲーム、しかし遅かれ早かれ修正される」と考えて、買値、売値、ポジション量に留意して、慎重に取り組むことが大事だと思います。