インサイダー!?(2024/4/1)

 

 

 

インサイダー取引とは周知の通り、内部にいる人、事情に精通している人など関係者が、投資判断に重要な影響を与えうる未公表の事実を知り、公表前に売買する「不公正取引」のことです。

 

 

 

当然、このような取引が行われると、一般の投資家との間に不公平が生じるため、金融商品取引法で禁止されています。

また、取引をした人だけでなく、他者に情報を伝える、もしくは取引を推奨した人も、違反となり刑罰の対象となります。

 

 

 

このような点を踏まえ、個人的に「もっともだ」と思ったのが、先日ブルームバーグで報じられた以下のニュースです。

 

 

 

 

 

【異例の規模の日銀リーク、真剣な調査を-リーディー&モス】

 

 

 

 

 

ちなみに、上記のリーディー&モスというのは、ブルームバーグのコラムニストであるリーディー・ガロウド氏とダニエル・モス氏のことです。

彼らの主張を整理すると以下のような内容になります。

 

 

 

 

 

319日に、日銀が金融政策の「大転換」を発表したが、それよりも前の日に、複数の報道機関から「事前リーク」と思われてもおかしくないような報道がこれでもかというくらい出ていた。

 

 

 

・複数の報道機関からマイナス金利政策の解除を「決め打ち」するような観測報道も相次いでいた。

 

 

 

・日銀の金融政策の「大転換」は、全ての大きな変更が事前にかなり詳細に報道されており、そのレベルは「スキャンダラス」と言えるものだった。

 

 

 

・日銀の行動で数十億ドルの資金が動く。日経新聞や時事通信、NHKの記者が事前に知らされていたとしたら、他に誰が知っているのだろうか? 悪用される可能性は計り知れない。

 

 

 

20133月のFOMC(米連邦公開市場委員会)議事要旨を、世界最大級の銀行の一部が「いち早く閲覧する」機会を持ったことがあったが、この失態は大騒ぎとなった。

 

 

 

・新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)の際も、当時のボストン連銀のローゼングレン総裁とダラス連銀のカプラン総裁は、米金融当局が景気下支えのためにさまざまな資産を購入していたさなかに株式を購入していたことが明らかになり、辞任に追い込まれた。

 

 

 

・クラリダFRB(連邦準備制度理事会)副議長は、2020年初めにパウエルFRB議長がコロナ禍への対応策を講じる可能性を声明で表明する直前に株式ファンドを売買していたことが発覚し、任期終了の数週間前に辞任した。

 

 

 

・日銀の内田副総裁は昨年12月、国会で情報漏えいについて質問された際、「情報管理については厳格なルールを設けている」と答えた。 では、それに対して何が行われているのだろうか?

 

 

 

・日銀以外の他の中央銀行では、これほどの規模のリークはない。

 

 

 

 

 

彼らの主張は、上記のような内容でしたが、元財務官僚で経済学者の高橋洋一氏も今回の件について次のように語っていました。

 

 

 

 

 

「インサイダーですね。この情報だけで、金融機関は何十億と儲かるのだから」

 

 

 

 

 

また高橋氏は、日銀はやりたい放題で、日銀が金融機関にリークし、それがマスコミに流れたとし「ひどいよ」と述べました。

 

 

 

さて、このように、日本では、ある意味「非常識なこと」がまかり通っています。

個人レベルでは「犯罪」とされても、国家レベルでは「犯罪」とされないことはありますが、今回の件もその「典型的な例」のように思えます。

 

 

 

いずれにせよ、相場の世界が「フェア」でないことは確かでしょう。

 

 

 

そして為替市場については、先月半ば頃、以下のようなニュースが報じられました。

 

 

 

 

 

【個人マネー、新NISAで海外に 金融庁は円高リスク警戒】

 

 

 

 

 

今年スタートした新NISA(少額投資非課税制度)ですが、資金の8割が海外株で運用する投信に向かっているとのことです。

 

 

 

しかし、円高が進めば海外株投信の運用成績が悪化することから、金融庁は円高リスクの説明徹底を金融機関に指示し始めたとのことです。

 

 

 

ただし、そもそも新NISAを制度設計したのは金融庁自身ですから、このような事態を想定できなかったはずがないと思います。

 

 

 

そのような中、現実の相場は金融庁の警告とは「逆に」円安へと進み、先週は1ドル=15197銭と、約34年ぶりの安値を更新しました。

すると、今度は財務省、金融庁、日銀が集まっての「三者会合」です。

先週27日に「三者会合」は開かれ、神田財務官は「行き過ぎた動きに対してはあらゆる手段を排除せずに適切な対応を取る」と強い口調でけん制しました。

 

 

 

しかし気づいている人も多いと思いますが、日銀が緩和(マネーのジャブジャブ)と言っては円安に誘導し、財務省が口先介入や為替介入で円高に修正するという流れが、近年の「お決まりのパターン」になっています。

 

 

 

これは、日本という「国家」で考えた時に、自ら火をつけて、自ら消火するということで「マッチポンプ」と言えますが、こんなことを続ける中で、迷惑を被っているのが、円安による物価上昇で生活の負担が大きくなっている「国民」です。

 

 

 

さて、このような点を踏まえますと、相場においては「フェアではない」「円安・円高のマッチポンプがある」と意識しておくことが重要です。

 

 

 

つまり、ロング(買い建て)の高値掴み・ショート(売り建て)の安値掴みには気を付けるべきだということです。

 

さらに、昨今の相場は「カジノ的」でもありますから、引き続き慎重に取り組んでいきましょう。