カジノ的(2024/3/11)

 

 

 

先日、投資の神様と呼ばれるウォーレン・バフェット氏が、現在の株高に警戒感を示し、「マーケットは昔とは比べ物にならないほどカジノ的な動きをするようになった」と述べました。

 

 

 

そのような中、バフェット氏が率いる投資会社バークシャー・ハサウェイは、手元現金水準が約25兆円と、過去最高を更新しているとのことです。

また、バフェット氏は「目を見張るような業績」を達成できるような有意義な案件がないと指摘し、それが過去最高の「手元現金水準が約25兆円」ということに繋がっているようです。

 

 

 

ところで、「マーケットは昔とは比べ物にならないほどカジノ的な動きをするようになった」というバフェット氏の発言は、個人的にも昨今の相場全般を集約していると思います。

例えば先週は、日経平均株価が史上初めて4万円を突破し、先週末時点でも39688円と、未だ4万円近くを維持していますが、このことが「カジノ的」だと判断できそうなのが、以下のようなニュースです。

 

 

 

 

 

【速報】株価史上最高値でも景気回復「実感ない」87% JNN世論調査

 

 

 

東証初の4万円突破、好景気「実感ない」8割超 「物価だけ上がる」「バブル経験、喜べない」

 

 

 

「マネーゲーム」市民冷ややか 売り上げ 給料上がらず いつ暴落するのか 怖い

 

 

 

オムロン、ワコール・・・株価最高値更新でも需要回復進まず老舗が人員削減 一方で好業績企業もリストラ

 

 

 

“財界トップ”サントリー新浪剛史社長 株価4万円突破に「実体経済との乖離があまりに大きいので心配しています」

 

 

 

企業倒産は734件、22カ月連続で前年同月を上回る 2月としては過去10年で最多 全国企業倒産集計20242月報

 

 

 

消費支出、1月は実質6.3%減 11カ月連続マイナス

 

 

 

「日本だけがどんどん貧しくなっている」日経平均株価を最高値更新でも豊かにならない実状・・・実質賃金は21か月連続下落

 

 

 

1月の実質賃金 前年同月比で0.6%減少 22か月連続のマイナス

 

 

 

 

 

さて、これらのニュースからも言えると思いますが、日本は好景気ではなく、不景気なのではないでしょうか?

 

 

 

すると、いくら「株価史上最高値」と言っても、それは「カジノ的」ということになるでしょう。

 

 

 

さらに問題は、「カジノ的」な結果としての「株高」が、現在の「円安」と大いに関係しており、そんな「円安」が日本を貧しくしているという現実です。

 

 

 

今、日本はエンゲル係数(消費支出に占める食費の割合)が過去最高レベルになっています。

 

 

 

人は食べなければ生きていけませんが、一般的に、所得が低いと食費の割合が大きくなります。

一方で、所得が上昇すれば経済的な余裕が生まれ、食費の割合が小さくなります。

 

 

 

これを「エンゲルの法則」と言いますが、食料品は輸入比率が高く、円安の影響をもろに受けます。

つまり、食料品の「価格高騰」が起こります。

 

 

 

その上、前述のニュースにもあるように、日本の実質賃金は「22か月連続のマイナス」ですから、食料品の「価格高騰」と相まって、エンゲル係数が過去最高レベルになっているのです。

つまり、日本が貧しくなっているということです。

 

 

 

では、前述の、「株高」が「円安」と大いに関係しているとはどういうことでしょうか?

 

 

 

例えば、今年は新NISA(少額投資非課税制度)がスタートしましたが、これを活用して外国株等に投資する場合、どうしても「為替リスク」が生じます。

 

 

 

そして、そんな「為替リスク」を減らしたいのであれば、NISAでは「為替ヘッジあり」を選択することになります。

 

 

 

さらに、このような仕組みは、海外投資家が日本株投資を行う場合でも同様で、海外投資家が為替リスクをヘッジ(損害を最小限にとどめる対策)するために「円」を売るのです。

 

 

 

しかも、日本株が上昇すればするほど、ヘッジ積み増しということで、さらに「円」を売ります。

 

 

 

これによって、海外投資家は「日本株は上昇したけれど、為替で損をした」という事態を防ごうとするのです。

 

 

 

そのような中、東京証券取引所が公表している「投資主体別売買動向」をチェックしていくと分かりますが、昨今の日経平均株価の急騰は海外投資家が主導しています。

 

 

 

しかし、バフェット氏が言うように、そんな株高は「カジノ的」ですから、現在の「円安」についてもカジノ的に導かれていると言えるのです。

 

 

 

一方で現在、日本株の最大保有者は日銀で、その時価評価は70兆円に達しており、日本の年間の税収に匹敵する規模に膨らんでいます。

 

 

 

要するに、日銀の株買い(ETF買い)は海外投資家を儲けさせ、海外投資家は為替リスクのヘッジで「円」を売って「円安」を導き、円安は食料品の「価格高騰」を導き、エンゲル係数も過去最高レベルとなり、日本が貧しくなっているという構図があるのです。

 

 

 

本来、このような悪循環を是正するのは政治の仕事のはずですが、裏金問題等で岸田内閣の支持率は14%と最低を更新し、不支持率は82%に上っていますから、是正も期待できそうにありません。

 

 

 

いずれにせよ、バフェット氏の言う「カジノ的」を意識すると、株価も遅かれ早かれ暴落するでしょう。

 

 

 

そして、その際は、連鎖的に「円」は暴騰するでしょう。

 

 

 

また、相場は「カジノ的」であるからこそ、ロング(買い建て)の高値掴み・ショート(売り建て)の安値掴みに十分注意する必要があると思います。

 

 

 

 

引き続き、慎重に取り組んでいきましょう。