値動きの道理

 

 

 

先々週に続き、先週もトリッキー(予想外・油断ならない)な相場となりました。

 

 

 

 

 

NYダウ 今年の最高値更新 インフレ鈍化の見方で】

 

 

 

NYダウ終値が最高値更新、37090ドル・・・FRBの来年中の利下げ示唆で米長期金利低下】

 

 

 

NYダウ終値、56ドル高の37305ドル・・・3日連続で最高値を更新】

 

 

 

 

 

上記のニュースのように、先週は水・木・金曜と、NYダウは3日連続で最高値を更新し、言わば「絶好調」の展開でした。

しかし米国に関しては、以下のような、不況を示唆するニュースも報じられています。

 

 

 

 

 

11月米製造業景況感、13カ月連続「不況」水準】

 

 

 

【米家計負債2600兆円 過去最高、カード延滞率上昇―NY連銀】

 

 

 

【米自動車ローン延滞、約30年ぶりの水準に増加-高金利の負担重く】

 

 

 

【米大学4年生、就職難痛感-金融など高賃金業界の採用細り一転ピンチ】

 

 

 

 

 

つまり現在の米国は、製造業は不況で、家計負債は過去最高で、カードや自動車ローンの延滞率も高いということです。

さらに、成績優秀な大学生でさえ就職活動は難航しており、その背景には「テクノロジーや金融、コンサルティングなど大手企業が、コスト削減と人員調整の真っただ中」という状況があるようです。

そして、入社日が延期されたり、場合によっては採用を取り消されたりする、というケースもあるとのことです。

 

 

 

要するに、記事にもありましたが、米企業は「現在は不透明な経済環境」と認識しているのです。

 

 

 

このような現実を踏まえた時に、NYダウが「3日連続で最高値を更新」というのは、まともに考えれば「異常」ではないでしょうか?

 

 

 

しかし、だからこそ、トリッキー(予想外・油断ならない)な相場と言えます。

 

 

 

そのような中、FRB(米連邦準備理事会)がFOMC(連邦公開市場委員会)で来年に利下げに着手する可能性を示唆したことで、先週はNYダウが3日連続で最高値を更新し、そして「ドル全面安」となったわけですが、例えば日本や欧州の現実に着目すると、このまま「ドルが一方的に安くなるのか?」というと、それもまた違うと思います。

 

 

 

まず、日本のニュースについて見てみます。

 

 

 

 

 

【内閣不支持率71.9% 初の7割台に政権が警戒する不支持率の上昇 派閥の裏金疑惑 自民党の「岸田離れ」が鮮明に FNN世論調査】

 

 

 

【政治資金問題で閣僚交代 安倍派「5人衆」辞任】

 

 

 

【東京為替見通し=政治・経済の脱安倍路線が円買い要因に、日銀観測報道に要警戒】

 

 

 

【林官房長官に旧統一教会と接点 斎藤経産相、鬼木防衛副大臣も】

 

 

 

 

 

昔から評されていますが、まさに「政治は三流」というような展開となっています。

ただし、安倍派「5人衆」が閣僚や党幹部の役職を退くことになり、脱安倍路線となったことで、アベノミクスの転換、すなわち日銀による金融緩和路線(マネーのジャブジャブ)の終了も現実味を帯び、先週は「円買い」が進みました。

 

 

 

ところが早速、新任した政務三役のうち、林芳正官房長官、斎藤健経済産業相、鬼木誠防衛副大臣の計3人に「旧統一教会」との接点があったと報じられています。

 

 

 

その上、日本は他のニュースでも、実質賃金が19か月連続でマイナス、消費支出が8か月連続でマイナス、大企業の景況感が悪化・・・と報じられていますから、やはり「株価が一方的に高くなり、円が一方的に高くなる」道理はないと思われます。

 

 

 

そして、先週金曜日の欧州のニュースも見てみます。

 

 

 

 

 

【仏12月製造業PMI42.0=予想下回る】

【仏12月非製造業PMI44.3=予想下回る】

【独12月製造業PMI43.1=予想下回る】

【独12月非製造業PMI48.4=予想下回る】

【ユーロ圏12月製造業PMI44.2=予想下回る】

【ユーロ圏12月非製造業PMI48.1=予想下回る】

 

 

 

 

 

まさに、「予想下回る」のオンパレードでした。

 

 

 

ちなみにPMI(購買担当者景気指数)とは、景気の方向性を示す経済指標で、50を判断の分かれ目としてこの水準を上回る状態が続くと景気拡大、逆に50を下回る状態が継続すると景気減速を示します。

 

 

 

したがって、上記のニュースからも分かりますが、欧州も明らかに「不況」と言えるでしょう。

 

 

 

すると、日本の「円」と同様で、「ユーロが一方的に高くなる」道理もないでしょう。

 

 

 

さて基本的なことになりますが、為替レートは「2国間」の通貨の交換比率を表しますから、前述のような全体像を考慮すると、ドルも円もユーロも、一方的に高くなったり、一方的に安くなったりする道理はないと言えるでしょう。

 

 

 

すると、相場における注意点としては、ロング(買い建て)の高値掴み・ショート(売り建て)の安値掴みに気を付けるべきだと言えそうです。

 

 

 

そのような中、今週ですが、日銀金融政策決定会合に大きな注目が集まっています。

 

相場は乱高下する可能性が高いと思いますので、十分に気を付けながら取り組んでいきましょう。