【7-9月期GDP年率で2.1%減 3四半期ぶりのマイナス成長・・・歴史的な物価上昇や実質賃金の減少でGDPの6割近く占める個人消費が2期連続マイナス】
【実質GDP7-9月期は3期ぶりマイナス成長、賃金低迷が消費を圧迫】
【日経平均終値、今年最大の823円高・・・2か月ぶり3万3000円台回復】
【日経平均、終値823円高の3万3519円 上げ幅今年最大】
上記はいずれも先週11月15日(水)のニュースです。
現状、日本のGDP(国内総生産)はマイナスとなり、日本の働く人1人あたりの実質賃金も18か月連続でマイナスとなっており、それに伴って個人消費は減少し、低迷しています。
さらに、円安による物価上昇もあるため、なおさら個人消費は減少し、低迷しています。
ちなみに、2022年7月に内閣府が発表したデータによると、1994年に日本の所得中間層の505万円だった中央値が2019年には374万円と、25年間で実に約130万円も減少していることが分かっています。
また、先月の全国の企業倒産は「前年同月比33%増」で、内閣府が発表する「街角景気」も3か月連続で悪化しています。
ですから、ある意味当然の帰結だと思いますが、先週は【内閣支持21.3%、最低更新 自民も下落19%―時事世論調査】と報じられたように、内閣支持率も自民党支持率もダダ下がりで、危険水域となっています。
しかし、このような、ある意味「ひどい状況」でも日経平均は上がり続け、先週水曜日には「今年最大の上げ幅」を記録したのです。
さらに、その水準も「33年ぶりの高値圏」となっており、1万円札を振ってタクシーを止める人も珍しくなかった「バブル期」並みの水準となっています。
さすがに、このような現状は「おかしい」と思うのが普通の人の感覚だと思いますが、現実の株式市場は「マネーゲーム」の様相を強めています。
それと同様に、現実の為替市場も「マネーゲーム」の様相を強めており、日本の「円」の総合的な実力を示す「実質実効為替レート」は先週、1970年以来53年ぶりの低水準どころか、遂に「過去最低」へと至りました。
そして「過去最低」の円安となったことで、外国人観光客にとって日本は「安い国」となっており、先月の訪日外国人観光客は251万人と、コロナ前を上回ったそうです。
一方で、急増する外国人観光客によって、日本各地で「観光公害」(公共交通の混雑、騒音やごみのポイ捨てなど悪影響が出る現象)が報告されています。
例えば、京都ではバスが観光客でごった返し、地元の住民が乗れない事態も起きており、買い物や通勤・通学といった市民生活にまで影響が出ているようです。
さて、このように見ていきますと、多くの日本人にとって、円安はメリットよりもデメリットの方が大きいのは明白でしょう。
ところが、肝心の鈴木財務相が「為替について万全の対応を行う」と発言しつつも、「円安のマイナス面を緩和し、プラス面を最大化することが重要」「円安はプラスとマイナス双方に様々な影響がある」と述べており、市場では「円安の負の側面から目を逸らそうとしている」と、批判の声が出始めています。
ですので、肝心の「為替介入」についても、市場では「警戒」する見方もあれば、「言ってるだけ」とする見方もあります。
ただし、それでも「為替介入」を「警戒」しておく方が賢明だと、個人的には思います。
参考までに、昨年3回実施された「為替介入」について、ドル円とユーロ円の値動きを振り返ってみます。
9月22日(1回目) ドル円:145.90円 ⇒ 140.34円 / ユーロ円:143.70円 ⇒ 138.71円
10月21日(2回目) ドル円:151.94円 ⇒ 146.17円 / ユーロ円:148.40円 ⇒ 144.08円
10月24日(3回目) ドル円:149.71円 ⇒ 145.41円 / ユーロ円:147.40円 ⇒ 143.73円
上記のように、為替介入が実施されると、ドル円もユーロ円も一気に「4~5円」動いています。
したがって、一切警戒することなくレバレッジをかけ、このような為替介入時に「切った張った」の短期売買をしていたら、高確率で「損切り」がヒットするでしょうから、注意が必要です。
また実際の為替介入がなくても、為替介入が「連想」され、先月はドル円が、わずか「1分間で2.5円急落」ということもありましたので、常に注意は怠らない方がいいでしょう。
いずれにせよ、前述のように、今は株式市場も為替市場も「マネーゲーム」の様相を強めています。
そして、基本的に「しつこい株高・しつこい円安」が続いています。
このような現状を考慮し、相場格言も考慮しますと、相場は以下のような考えを指針として臨むのが良いと思います。
・「トレンド・イズ・フレンド」で、トレンドを重視する
・「高値掴み」「安値掴み」に気を付ける
上記の2つは、ある意味「相反する」のですが、上昇相場の下落局面・下落相場の上昇局面、つまり「押し目買い」「戻り売り」も意識しながら、慎重に取り組むのが良いと思います。
ところで、ロイター通信が取材した20人余りのエコノミスト、元政策担当者、大手投資家たちによると、現在最も懸念される国は「米国・英国・イタリア」とのことで、金融危機が再燃しかねないと言います。
相場においては、引き続き十分な慎重さを持って取り組みましょう。