円、3年連続で最弱通貨!?

 

 

 

「世界平和度指数」というものがあります。

これは、オーストラリアに本部をおく国際的なシンクタンク(研究機関)、IEP(経済平和研究所)が毎年発表を行っているものです。

主に、「社会の安全・治安」「現在進行中の国内外の紛争」「軍事化」という観点で評価しているとのことです。

 

 

 

そして2023年の最新版によると、1位がアイスランド、2位がデンマーク、3位がアイルランド・・・となっており、日本は9位となっています。

 

 

 

一方で米国ですが、順位はなんと128位となっています。

先日は「米GDP(国内総生産)が好調」と報じられていましたが、世界平和度指数の観点からは、平和とは程遠いのが米国の実態のようです。

 

 

 

そのような中、雑誌『クーリエジャポン 20231112月号』(講談社)で、「2020年代の前半に米国は政治的不安定さのピークを迎える」と、10年以上前に予言して的中させたことで知られるピータン・ターチン氏(進化人類学者)が、今後の米国について次のように予言していました。

 

 

 

 

 

【近い将来、米国が2つか3つの国に分裂する可能性は充分ある】

 

 

 

 

 

はたして、この予言は荒唐無稽(こうとうむけい)でしょうか?

私はそうは思いません。

なぜなら実際に、以下のような憂慮(ゆうりょ)すべき点があるからです。

 

 

 

 

 

・昨年、ロシアのメドベージェフ前大統領は、来年にも米国では内戦が勃発するとの予測を示した。

 

 

 

・世界最大ヘッジファンド、ブリッジウォーター・アソシエーツ創業者のレイ・ダリオ氏は、「巨額の赤字や大きな税負担、インフレ、政治の二極化を招いている富と価値観の分断という危険な組み合わせの中で、米国は何らかの形の内戦に向けて古典的な道を歩んでいるようだ」と警告した。

 

 

 

・カリフォルニア大学サンディエゴ校の政治学教授バーバラ・ウォルター氏は、著書『内戦はこうやって始まる』で、米国が内戦に向かっていると警鐘を鳴らした。

 

 

 

・調査会社ユーガブが実施した世論調査では、10年以内に米国で内戦が起きる可能性について「非常にあり得る」が14%、「いくらかはあり得る」が29%で、合計43%に達した。

 

 

 

・米国の財政運営は限界に達しようとしており、金利上昇や膨らんだ返済費用に、議会の機能不全も加わり、これまで投資家が何年もほぼ無視してきた財政赤字(今年度は約254兆円)への注目度が次第に高まりつつある。

 

 

 

・ニューヨーク・タイムズ紙の世論調査では、米国が「間違った方向に向かっている」との回答が65%もあり、米国の分断が指摘されている。

 

 

 

・米国勢調査局は、低所得層への公的支援策などの効果を考慮した2022年の貧困率が12.4%と、前年(7.8%)から大幅上昇したことを明らかにした。

 

 

 

・ブルームバーグの報道によると、米国の低所得者層の間で家計負担が強まっており、家賃を滞納し、食料品の購入に苦労している人が増えている。

 

 

 

・現在の米国の年収中央値の人に着目すると、もしも平均的な価格の家を買おうという場合、住宅ローンの年間返済額が年収の総額を超えてしまう。

 

 

 

・米家計におけるクレジットカードの債務残高は1310億ドル(約154兆円)と、過去最高となっている。

 

 

 

・米国ロサンゼルス一帯を中心とするカリフォルニア南部では現在、集団で小売店に押し入って商品を盗む「フラッシュモブ強盗」が頻発し、高級店が相次ぎ閉店に追い込まれている。

 

 

 

 

 

さて、前述の世界平和度指数が128位であること、そして上記のことも考えれば、米国が健全であるとは言い難く、むしろ国家としては「不健全」だと言えるでしょう。

ところが、現実の相場では、そんな不健全な米国の「ドル」が「一強」となっており、直近の3か月でも、主要通貨で「ドル」が最も買われています。

 

 

 

一方で、あくまで「このまま行けば」ですが、日本の「円」は3年連続で最弱通貨です。

しかし、日本の「円」が、本当に最弱通貨であることが妥当なのか、以下の点は把握しておく必要があると思います。

 

 

 

 

 

・日銀が発表した202346月期の資金循環統計によると、236月末時点の家計の金融資産は前年同期比4.6%増の2115兆円で、過去最高を大幅に更新し、初めて2100兆円を超えた。

 

 

 

・財務省が発表した2022年末時点の対外資産・負債残高によると、対外純資産は4186285億円で過去最高を更新し、32年連続で、日本は世界最大の対外純資産を持つ国となった。

 

 

 

・財務省が発表した7月の国際収支統計によると海外とのモノやサービスなどの取引状況を示す経常収支は27717億円の黒字となり、過去最大となった。

 

 

 

 

 

さて、各種報道でも指摘される通り、日本も問題は山積みで、特に中間層の衰退が深刻ですが、国家全体としては「富」があり、日本の「円」が3年連続で最弱通貨というのは、完全な「行き過ぎ」だと言えるでしょう。

 

 

 

実際に、鈴木財務相や神田財務官も、連日のように「為替相場はファンダメンタルズ(経済の基礎的諸条件)を反映して推移することが重要だ」と発言しています。

 

 

 

結局のところ、近年はある意味「滅茶苦茶な相場」だったと言えますが、これら全体像を踏まえた上で、さらに「ドル」が買われるのが妥当なのか、さらに「円」が売られるのが妥当なのか、よく考える必要があると思います。

 

 

 

いずれにせよ、相場というものは、買ったものは売って決済しますし、売ったものは買って決済します。

 

 

 

つまり、どこかで必ず「修正」が入るわけで、行き過ぎた相場の「修正」は常に意識しておく必要があると思います。

 

 

 

 

慎重に、そして根気強く取り組んでいきましょう。