VIX(恐怖指数)と相場

 

 

 

将来の相場に対する投資家心理を反映する指数で、VIX(恐怖指数)という指数があります。

 

 

 

VIX(恐怖指数)の数値が高いほど投資家の先行き不透明感が強いとされており、通常は10から20の間で推移することが多いのですが、相場の先行きに大きな不安が生じた時には、この数値が大きく上昇するという傾向があります。

 

 

 

そのような中、今の株価や以下のニュースからも分かりますが、今のVIX(恐怖指数)は低下しています。

 

 

 

 

 

【日経平均33000円回復 恐怖指数低下も後押し】

 

 

 

【米国株、右肩下がりの恐怖指数 強まるハイテク集中買い】

 

 

 

 

 

上記のニュースのように、今はVIX(恐怖指数)が低下し、日米ともに株価好調というわけです。

 

 

 

しかし、個人的には、「今はそんなに楽観できるような状況なのか?」と疑問に思います。

実際に、同様のことを考えているトレーダーもいるようで、以下のようなニュースもあります。

 

 

 

 

 

【金融危機時ピークの2倍 一部トレーダーが賭ける「恐怖指数」の水準】

 

 

 

 

 

前述のように、VIX(恐怖指数)は、通常は10から20の間で推移することが多く、この1年に35を超えたこともないのですが、上記のニュースによると、なんと「今後数カ月に180に達することに賭けるトレーダーがいる」とのことです。

ちなみに、VIX(恐怖指数)が導入されたのが1993年で、これまで100を超えたこともなく、最も高くなった時でも、リーマン・ショックのあった2008年の「89.53」です。

 

 

 

ところが、その時の2倍、つまり「今後数カ月に180に達することに賭けるトレーダーがいる」とのことなのです。

 

 

 

そして、これが「荒唐無稽(こうとうむけい)な賭けか?」と考えると、私は「荒唐無稽ではない」「可能性はある」と思います。

 

 

 

なぜなら、最近は以下のように、現状への警鐘を鳴らしているニュースがいくつもあるからです。

 

 

 

 

 

【都心オフィス空室率10年ぶり高水準、31カ月連続5%超】

 

 

 

7月実質賃金2.5%減 16カ月連続マイナス、下落率拡大】

 

 

 

【企業倒産854%増、17カ月連続増 物価高や人手不足で】

 

 

 

【米国にたまるマグマ、貯金は減りカード債務は過去最高、格差拡大が貧困層直撃】

 

 

 

【米インフレ調整後の所得減少、貧困関連指標は急上昇=国勢調査局】

 

 

 

【米住宅ローン金利が記録的な上昇 80年代リセッション時と状況酷似】

 

 

 

【米企業債務、GDP76% 内閣府分析 リーマン時超え高止まり 証券化で海外に拡散】

 

 

 

【米投資家心理「超強欲」続く 株価堅調、楽観傾斜は警戒】

 

 

 

 

 

他にもあるのですが、話を簡単に整理しますと、日本と米国は以下のような状況にあります。

 

 

 

 

 

【日本】

・都心オフィスの空室化が進む

・賃金が下落の一途をたどる

・企業倒産が増え続けている

 

 

 

【米国】

・貯金は減り、カード債務は過去最高

・所得は減り、貧困関連指標は急上昇

・住宅ローン金利が記録的な上昇で、80年代リセッション(景気後退)時と状況が酷似している

・企業の債務がGDP(国内総生産)比で76%と、リーマン・ショック時を上回る水準にある

 

 

 

 

 

さて、このような状況に向き合いますと、VIX(恐怖指数)が低下し、日米ともに株価好調という現状の方が、むしろ「おかしい」と考えられます。

 

 

 

それこそ、上記のニュースのように、今の株高は「超強欲」の結果だと思います。

 

 

 

実際、「フィア・アンド・グリード(恐怖と欲望)指数」という指数もあるのですが、現在は5段階中で最も高い「超強欲」の水準で推移しています。

 

 

 

したがって、やはり、現状の相場を「まとも」と思わない方が賢明でしょう。

 

 

 

ただし、昨今の相場は、円安も株高も「しつこい」のが特徴ですので、ロング(買い建て)の高値掴み・ショート(売り建て)の安値掴みに気を付けつつ、トレンドに追随する方が良いでしょう。

 

 

 

一方で、意識しておくべきなのが、リーマン・ショックのような「金融危機」や、相場の大幅修正についてです。

 

 

 

このような「非常時」は、例えば、ドル円が一気に「510円暴落」したり、日経平均株価が一気に「10003000円暴落」したりするものです。

ですので、今後は「非常時」にも対処できるようなリスク管理を特に意識したいところです。

 

 

 

そのような中、昨年ウォール街最大の楽観論者の1人だったJPモルガンのコラノビッチ氏は、今年になって「弱気派」に転じ、米国株は急落すると言っています。

 

 

 

そして昨年、中国株で予想を的中させていたアジアに重点を置くヘッジファンドも、米国のハードランディング(過熱した景気が為替や株価、金利などの急激な変化や悪化を伴いながら失速すること)を予想しています。

 

 

 

 

このような背景をしっかりと踏まえ、引き続き慎重に取り組んでいきましょう。