マッチポンプ

 

 

 

「日銀が金融緩和(マネーのジャブジャブ)で円安に誘導し、財務省が口先介入・為替介入で円高に修正する」という流れが、近年ずっと続いています。

 

 

 

これは、日本という「国家」で考えた時に、自ら火をつけて、自ら消火するということで、完全な「マッチポンプ」だと思います。

日本は、為替相場(円高・円安)で「マッチポンプ」を行っているということです。

例えば先週の、以下の2つのニュースからも、その様子を読み取ることができます。

 

 

 

 

 

【粘り強く緩和続ける必要、不確実性に備え機動対応も=高田日銀委員】

 

 

 

1ドル=147円後半、神田財務官「あらゆる選択肢を排除せず対応」と急激な円安をけん制】

 

 

 

 

 

上記のニュースのように、近年は「マッチポンプ」的な流れがずっと続いており、ザックリとですが、20211月以降、ドル円相場は以下のような推移となっています。

 

 

 

 

 

1ドル=103.06円 ⇒ 139.39円 ⇒ 130.39円 ⇒ 144.99円 ⇒ 140.34円 ⇒ 151.94円 ⇒ 127.21円 ⇒ 137.91円 ⇒ 129.64円 ⇒ 145.07円 ⇒ 137.24円 ⇒ 147.80

 

 

 

 

 

上記のように、「円安 ⇒ 円高 ⇒ 円安・・・」と繰り返しながら、着実に円安へと進んでいるのです。

 

 

 

では、金融緩和(マネーのジャブジャブ)の資金がどこに流れているのかというと、かなりの金額が「米国債」に流れているようです。

実際、先月のニュースになりますが、以下のように報じられています。

 

 

 

 

 

【海外勢の米国債保有額、6月は増加 首位日本が保有拡大】

 

 

 

 

 

上記のニュースによると、日本の米国債保有額は11060億ドル(約1634668億円)にもなっています。

ちなみに、2022年度の日本の税収が「71兆円」ですから、これ(米国債保有額)は、とんでもない金額だと言えるでしょう。

 

 

 

このように、日本が、米国債の保有を増やしつつ、ひたすら円安へと誘導してきた結果が、以下のニュースに繋がっていきます。

 

 

 

 

 

【円の実力、53年ぶり低水準 家計負担は20万円増 主要通貨で独歩安】

 

 

 

 

 

上記のニュースの通り、円の実力は「53年ぶりの低水準」となり、その結果、輸入価格の上昇などから物価が上昇し、2022年度から2年間の家計の負担増は20万円に迫っています。

 

 

 

しかし、残念ながら、冒頭で述べたように、日本が行っているのは為替相場の「マッチポンプ」ですから、時折「円高」に修正されることはあっても、大きな流れは「円安」だと思います。

 

 

 

そして、大きな流れが「円安」ということについては、以下のようなニュースもあります。

 

 

 

 

 

【日銀の金融緩和策「逆プラザ合意」として作用-クレディ・アグリコル】

 

 

 

 

 

上記のニュースは、フランスの金融大手クレディ・アグリコルの見解として、日銀の金融緩和策(マネーのジャブジャブ)は、有名な「プラザ合意(円高ドル安に誘導)」の逆、つまり「逆プラザ合意(円安ドル高に誘導)」として作用していると報じています。

 

 

 

したがって、このような流れである以上、それこそ、かつての「リーマン・ショック」のようなことが起こらない限り、大きな流れは「円安ドル高」だと思います。

 

 

 

ちなみに、「リーマン・ショック」のように、多くの人々にとって予想外の出来事を金融用語で「ブラックスワン」と呼ぶのに対し、大問題に発展する可能性が高いにもかかわらず、軽視されているリスクのことを「灰色のサイ」と呼びます。

 

 

 

そのような中、NYの賢人と呼ばれ、全米5000人のファンドマネージャーを対象としたエコノミスト・ランキング調査で35年連続1位を獲得したエド・ハイマン氏は、このような「灰色のサイ」について警鐘を鳴らしています。

 

 

 

具体的には、現在の米国の高金利のことを言っており、これによって、今後の米国がマイナス成長となり、不景気に陥ると予想しています。

 

 

 

私も、この予想は正しいと思います。

なぜなら、直近でも以下のようなニュースが報じられているからです。

 

 

 

 

 

【不動産投資、世界で54%減 金利上昇で11年ぶり低水準】

 

 

 

 

 

なんと、202316月の世界の不動産投資額は「前年同期比54%減」になっているそうです。

「金利上昇で借り入れコストが上がっている米国などで投資が減少した」とのことです。

 

 

 

ところが、周知のように、NYダウは過去最高値圏にありますし、日経平均株価も33年ぶりの高値圏にあります。

 

 

 

はたして、不動産投資が激減する中で、株価だけ好調ということが続くものなのでしょうか?

私は、このような状況は危ない兆候だと思いますし、前述のように、これは「灰色のサイ」であり、エド・ハイマン氏の予想が正しいと思います。

 

 

 

いずれにせよ、現時点での為替相場については、ロング(買い建て)の高値掴み・ショート(売り建て)の安値掴みに気を付けつつ、トレンド(円安ドル高)に追随するのが正解だと思います。

当然、リスク管理に気を付けることは必須です。

 

 

 

一方で、前述のような「灰色のサイ」について考えると、いつ相場が急変しても不思議ではありませんので、各種ニュースに注意を払うことも重要です。

 

引き続き、慎重に取り組んでいきましょう。