相場は全般的に「マネーゲーム」の様相を呈しています。
【グローバルファンドと日本の銀行、国債先物の賭けで大きく対立】
上記は先週のニュースになりますが、日本国債先物について、「日本銀行により歪められた市場」「グローバルファンドと日本の銀行が相反する取引」と報じられていました。
ちなみに、海外勢が日本国債先物をロング(買い建て)にする一方、国内勢はショート(売り建て)にしているそうです。
また、記事には「賭け」とありましたが、まさに「マネーゲーム」です。
それは「(日本銀行により)歪められた市場」での「賭け」ということになりますが、同様に、これは昨今の他の市場についても言えることです。
例えば2017年、エアバッグ・シートベルト・チャイルドシートなど、自動車用安全部品を製造していた「タカタ株式会社」が、負債総額1兆円を超えて製造業としては戦後最大の経営破綻をしましたが、上場廃止に至るまでの「株価の推移」は、まさに「マネーゲーム」そのものでした。
【タカタ株が急落、一時は34円に-しばらくマネーゲーム続くとの見方も】
【タカタ株5連騰、一時100円台回復-上場廃止目前にマネーゲーム加熱】
【タカタ株が連日の大幅高、1週間で10倍に】
【タカタ株、27日に上場廃止 マネーゲーム乱高下 終値は18円】
当時、上記の記事にあるような「マネーゲーム」が続き、具体的には以下のような値動きとなりました。
110円 ⇒ 34円 ⇒ 15円 ⇒ 150円 ⇒ 18円
当然ですが、このような値動きに「合理的な理由」などありません。
そして似たようなニュースが、先週も報じられました。
【ウィーワーク株価、一時40%急落-公開後99%下げ1.3兆円価値失う】
ソフトバンクグループの出資先で、シェアオフィス事業を展開する米ウィーワークの株価が、わずか1日で「40.5%」も急落し、株式公開以降「99%」も下げているというニュースです。
そもそも、米ウィーワークは「空箱上場」という、問題のある企業でも「上場させる」ことを可能とした仕組みを使って上場した会社になります。
ですので、「こんなデタラメを許しておいていいのか?」と、多くの専門家にも指摘されていて、今回その指摘が的中するような形で、案の定こうなったということです。
【ウィーワーク、事業継続に疑義で株価ゼロに近づく】とも報じられました。
これも、完全に「マネーゲーム」だったと言えるでしょう。
ところで、このような個別の企業に限らず、昨今は相場全般的に「マネーゲーム」の様相を呈しています。
例えば、先週のニュースによると、日本は実質賃金が「15カ月連続でマイナス」となっており、実質消費支出も「前年比マイナス4.2%」となっていますが、日経平均株価は「33年ぶりの高値圏」にあります。
このような展開に、はたして「合理的な理由」などあるのでしょうか?
唯一説明が付くとすれば、それは「マネーゲームだから」ということになるでしょう。
また先日、格付け大手フィッチ・レーティングスに国債を格下げされた米国については、さらに以下のような報道があります。
【米連邦政府機関閉鎖のリスク浮上-フィッチの米国格下げ受け】
【米中堅・中小銀10行、ムーディーズが格下げ 銀行株急落】
【米製造業7月景況感、9カ月連続で「不況」】
しかし、やはりと言うか、NYダウも過去最高値圏にあり、為替相場も「ドル高」が続いています。
そのような中、先週のコラムでも言及しましたが、日産自動車やキヤノンなど、日本の主要84社のドル円の平均想定レートは「1ドル=131.68円」となっており、現実の為替相場は13円以上も「円安ドル高」にあるわけです。(8月12日時点で1ドル=144.95円)
これらの展開についても、前述のように、唯一説明が付くとすれば、それは「マネーゲームだから」ということになるでしょう。
したがって、今後の相場については、やはり「決め打ち」をしない方が賢明と思われ、例えばドル円については、「1ドル=200円」や「1ドル=50円」といった極端な展開になっても大丈夫なように、トレンドに追随する戦略が良いと思います。
一方で、ロング(買い建て)の高値掴み、ショート(売り建て)の安値掴みは避けたいですから、ポジション量等にも注意を払って、慎重に取り組む必要があると思います。
昔から、夏場に取引参加者が減り、相場の動きが鈍ることを「夏枯れ相場」と言いますが、一方で、この時期は「大荒れ相場」になるケースもあります。
引き続き、気を引き締めて取り組んでいきましょう。