【6月の全国消費者物価3.3%上昇に伸び拡大、電気代・食品値上げで】
【光熱費も、日用品も、食品には再値上げも…2022年~2023年】
【小売業7割、23年度値上げ 食品から衣料・雑貨に波及】
【今年の食品の値上げ3万品目越え 過去最大級に】
近年は、食品・日用品・光熱費など、値上げに関する報道が相次いでいます。
そして、これらの値上げ要因として指摘されているのが「円安」です。
ちなみにドル円相場は、2021年まで長らく「1ドル=110円」前後で推移していました。
ところが2022年から急激に円安へ進み、昨年は一時「1ドル=152円」近くまで円安へ進みました。
その後、おおよそ以下のような推移となりました。
1ドル=152円 ⇒ 1ドル=127円 ⇒ 1ドル=145円 ⇒ 1ドル=137円
このように、直近で「1ドル=137円」まで進んだところ、一気に「円高ドル安」観測が高まって、以下のような報道が相次ぎました。
【ドルの最盛期は限られている-他通貨の上昇に賭ける資産運用会社】
【ついにドル高時代の終焉か、先週の急落で転機訪れつつあるとの声】
【ゴールドマンもドル一段安を予想、悲観論強まる-円に追い風】
ところで、冒頭の「値上げ報道」及び「値上げ要因としての円安」について考えても分かるように、日本国民の多くにとって「円高ドル安」に修正された方がいいのは明白です。
したがって、上記報道のように「円高ドル安」観測が高まるのは大いに歓迎すべきことでしたが、なんと肝心の「日銀総裁」が、この展開に水を差したのです。
【持続的・安定的な物価2%達成には「まだ距離」=植田日銀総裁】
【円安進む1ドル=139円に 日銀・植田総裁「2%まだ距離」発言受け】
日銀の植田総裁は「2%のインフレ達成にはまだ距離がある」と発言し、緩和策(マネーのジャブジャブ)継続を示唆したため、相場は一気に円安へと戻され、今は「1ドル=141円」台です。
はたして、今回の日銀の植田総裁の発言は「的を射た発言」だったのでしょうか?
この発言については、プロの投資家達から以下のような「批判の声」が上がっています。
「2%のインフレどころではなく、もっと物価は上がっているではないか」
「意地でも円安へ誘導したいのか?」
「全くもって理解できない」
おそらく、実際のところは、すぐには円高にできない「事情」があるのでしょう。
それこそ真の円安の原因は、以前のコラムでも述べたように、以下の2点だと思います。
・日本が米国に貢いでいる。
・米国の巨額の財政赤字の穴埋めに、日本の資金を使っている。(米国債を買う)
問題は「こんなことがいつまで続くのか?」ですが、前述の「円高ドル安」観測の報道によると、以下のような見方があります。
・ドルが優位を保つ時間は限られている。
・インフレ鈍化の兆候を受けて米金融当局の利上げ終了が近いため、まもなくドルは下落する。
・ドルはじりじり下値を切り下げ、スウェーデン・クローナや円、新興国通貨には追い風となる。
いずれにせよ、目先は今月27・28日の「日銀金融政策決定会合」に大きな注目が集まっており、そこでサプライズがあるかどうかで、その後の相場展開が決まりそうです。
そのような中、大事な点ですが、将来を見据えた時に「米国一強」「ドル一強」の考えは捨てた方がいいと思います。
例えば、直近でも以下のような報道があるからです。
【米CB景気先行指数、6月は15カ月連続低下 景気後退入り示唆】
【40カ国以上が「BRICS加盟に関心」】
簡単に言うと、米国景気の将来を予測するための経済指標は15カ月連続で低下し、脱ドル化を進めるBRICS(ブラジル・ロシア・インド・中国・南アフリカ)に、40カ国以上が加盟に興味を示しているということです。
したがって、相場においては、仮にドル高に進もうとも、常に「ドル安への修正」は意識しておいた方がいいと思います。
今後も、トレンドを意識しつつ、リスク管理にも意識を向けて取り組んでいきましょう。