相場の「歪み」

 

 

 

最近は、世界の歪みや相場の歪みが非常に目立ってきました。

 

 

 

下記はいずれも先週のニュースです。

 

 

 

 

 

2022年度の税収は71兆円 過去最高】

 

 

 

【世界の富豪500人、上期に資産123兆円増加-マスク氏が首位】

 

 

 

 

 

上記の「税収71兆円」とは日本のことですが、歴史的な物価高で消費税収が増えたこともあって、昨年は過去最高の税収となったそうです。

 

 

 

しかしここで冷静に考えますと、日本は、人口12452万人の「国家」です。

そして、その国家の、1年間の税収が、71兆円で過去最高になったということです。

 

 

 

一方で、世界の富豪500人の資産は、今年の上期(半年間)だけで123兆円も増えたそうです。

 

 

 

これは、日本の過去最高の税収71兆円を、たった500人の富豪が、たった半年で、大幅に上回る「資産増加(123兆円)」を実現したということです。

 

 

 

これこそ「歪み」の最たるものではないでしょうか?

 

 

 

それもこれも、結論を言えば「株式相場」が歪んでいることに起因します。

500人の富豪が資産を大幅に増やしたのは、記事では「株式相場が上昇したからだ」と説明していました。

 

 

 

しかし、このような世界の有り様、株式相場の有り様について、健全だと思う人は少ないのではないでしょうか?

 

 

 

そのような中、重要な点は、このような状態が「永遠に続くのか?」「終わりがあるのか?」ということだと思います。

 

 

 

個人的には、修正されなければ「おかしい」と考えますが、「第2のリーマン・ショック」のような事態が1年以内に起こることによって修正されるのではないかと予想する専門家もいます。

 

 

 

それぐらい、今はリーマン・ショック前と状況が似てきています。

具体的には「イールドカーブ」のことですが、株式相場と同様で、非常に歪んでいるのです。

 

 

 

以下が先週のニュースです。

 

 

 

 

 

【米国債「逆イールド」1981年以来の大きさ、利上げによる景気後退懸念】

 

 

 

 

 

上記のように、現在市場では「逆イールド」に注目が集まっています。

これを簡単に説明します。

 

 

 

例えば、お金の貸し借りで「今日借りて明日返す」といったような場合、金利はほとんど無視されると思います。

しかし、もしも「今日借りて10年後に返す」といったような場合、通常は「金利がいくらか?」という話になってきます。

 

 

 

両者の比較でも分かるように、「借りている期間が長いほど金利が高くなる」というのが普通です。

 

 

 

ちなみに、国家が借金をする際に発行するのが「国債」です。

国債の購入者は、国債を購入することによって「国家にお金を貸す」ということになりますが、そのかわり「利息(金利)」を受け取ることができます。

そして「国家にお金を貸す」期間については、2年や10年など様々な期間がありますが、期間が満期に達すれば、元金が国債の購入者に戻ってくる仕組みです。

 

 

 

ここで例えば「2年」と「10年」を比較した場合、「2年貸す」のと「10年貸す」の違いですから、当然「10年貸す」方が、金利(利回り)が高いのが普通です。

 

 

 

そして、前述の「イールドカーブ」とは、2年、10年など期間の異なる複数の国債における金利(利回り)の変化をグラフにしたもののことです。

 

 

 

さらにこの「イールドカーブ」に注目した時に、もし2年と10年の金利(利回り)の差が「ゼロ」だったら、「おかしい」ことが分かると思います。

ましてや、「2年(貸す)」金利が「10年(貸す)」金利よりも高い「逆転状態」だったら、「非常におかしい」ことが分かると思います。

 

 

 

要するに現在、米国債はこのような「逆転状態」になっているのです。

 

 

 

ちなみに、リーマン・ショック前も「逆イールド」になっていました。

 

 

 

そして、当時の状況を参考にすれば、今から1年以内に「第2のリーマン・ショック」のような事態が起こるのではないかということなのです。

 

 

 

さらに、「イールドカーブ」といえば、日本もイールドカーブ・コントロール(YCC)といって、長期金利を操作しており、そのことが近年の「円安」を招いていると多くの専門家からも指摘されています。

 

 

 

要するに、話を整理しますと、今の世界は歪んでおり、株式相場・国債相場・為替相場も歪んでいるということなのです。

 

 

 

そして、前述の「500人の富豪が半年で123兆円の資産増加」ということからも分かるように、近年の相場においては、投資した資金を増減させる最大の要因が「歪み」である、と言っても過言ではありません。

 

 

 

したがって、たとえ「おかしい」という結論になったとしても、相場においては「トレンドに乗る」ことに集中しなければなりません。

 

 

 

ただし、今後先々、第2のリーマン・ショックが現実になってもおかしくありませんし、為替相場においては、日本政府がイエレン米財務長官と連絡を取り合っていると報じられるなど、為替介入が行われた結果、一気に円高に修正されていく可能性もあります。

 

 

 

そういう意味では、相場のトレンドに注意しつつも慎重に臨まなければなりません。

 

リスク管理を怠らずに、注意深く取り組んでいきましょう。