介入肝試し相場

 

 

 

世界には、いくつもの「大きすぎて潰せない銀行」があります。

 

 

 

金融用語では「G-SIBs」と言い、これはFSB(金融安定理事会)が世界的な金融システムの安定に欠かせないと認定した銀行を指します。

 

 

 

全世界で29行が指定されており、日本では、三菱UFJフィナンシャル・グループ、みずほフィナンシャル・グループ、三井住友フィナンシャル・グループの3メガバンクが指定されています。

 

 

 

世界で見れば、中国工商銀行、BNPパリバ、JPモルガン・チェース、クレディ・スイス、UBS、カナダロイヤル銀行、クレディアグリコル、バンク・オブ・アメリカ、サタンデール銀行、ドイツ銀行、ゴールドマン・サックス、HSBCINGグループ、ウニクレディト・・・などがあります。

 

 

 

そのような中、現在、大きすぎて潰せない銀行の一つである「クレディ・スイス」の危機が取りざたされています。

 

 

 

 

 

【クレディ・スイス“間もなく破綻”騒動のウラで、迫る「Xデー」と「これから日本で起こること」】

 

 

 

 

 

クレディ・スイスに関する上記のような報道が相次いでいるのですが、ウォール街では「リーマン・ショックの悪夢が再び訪れる」との話題で持ち切りになっているそうです。

 

 

 

実際に、クレディ・スイスが破綻すれば、リーマン・ショックの悪夢再来は確実でしょうし、市場混乱も避けられません。

 

 

 

ただし一方で、やはり「大きすぎて潰せない」ということで、簡単には潰れないとの見方があるのも事実です。

 

 

 

いずれにせよ、本件が非常に注目を集めているのは間違いありません。

 

 

 

さらに現在の世界には、クレディ・スイスの他にも「懸念材料」があります。

それは「国債」の市場です。

 

 

 

改めてですが、国債とは国が発行している債権で、元本と利子の支払いを国が保証してくれるため、最も安全な金融商品と見なされています。

 

 

 

ところが現在は、そんな各国の国債が、異常な事態に陥っているのです。

 

 

 

 

 

【日本】

・新発10年国債(新規に発行された、償還期間10年の国債)が、4営業日連続で「売買未成立」となった。

 

 

 

【米国】

・日本の年金基金や生保といった、米国債の「最も強力な買い手たち」が、一斉に退却しており、米国債を警戒しはじめている。

 

 

 

2年国債の金利が30年国債の金利より高い「逆イールド」になっている。

(例えば、「今日借りて明日返す」といったケースを想定すると分かりやすいが、借りている期間が短いほど金利が低くなるのが普通で、逆転すること自体が異常なこと)

 

 

 

【英国】

・リズ・トラス新政権による、過去50年で最大規模の減税政策に反応し(英国の財政を破綻に導くという観測)、英国債が「大暴落」した。(トラス首相は歴代最短で辞任)

 

 

 

 

 

要するに、国家といえども信用できないという、そんな傾向が見て取れます。

 

 

 

そして、一言でいえば「不安定」ということですが、不安定だからこそ、何かあれば、一気に相場は「逆回転」すると考えられます。

上がり続けてきたものは暴落し、下がり続けてきたものは暴騰するということです。

 

 

 

そのような中、円安・ドル高は止まらず、「1ドル=150円」を突破し、152円に近づいたところで、為替介入がありました。

 

 

 

 

 

10月ロイター企業調査:145円超の円安、75%が対応不可能に 新たな施策必要】

 

 

 

 

 

上記は先日のロイターのニュースですが、現在の為替水準ですと、75%の企業が「対応不可能だ」とのことです。

 

 

 

つまり、相場は明らかに「行き過ぎ」です。

 

 

 

一方で、前述の「米国債」の現状からも分かるように、米国も「不安定だ」と言えます。

 

 

 

 

 

【1年以内の米リセッション、確率は100%-ブルームバーグ予測モデル】

 

 

 

 

 

これは先日のブルームバーグのニュースですが、米経済が向こう1年間にリセッション(景気後退)に陥るのは「事実上確実」と見られています。

 

 

 

このように、米国債が「警戒」され、景気後退も確実視されている米国の「ドル」が、いつまでも強いこと自体が、筋の通らないことです。

 

 

 

したがって、総合的に考えれば、やはり相場は「行き過ぎ」で、世界は「ドルの暴落を待っているような状態」ではないでしょうか。

 

 

 

その「きっかけ」は、前述の「クレディ・スイス」かもしれませんし、ロシア・ウクライナの戦争かもしれません。

意外なところでは、韓国「ウォン」の通貨危機が囁かれており、気になるところです。

(日本円・英国ポンドよりも落ちた)

 

 

 

また、特に現在のドル円相場は「介入肝試し相場」などと言われており、いつ「ひっくり返って」もおかしくありません。

神田財務官は「円買い原資は無限にある」と語りましたので、常に意識しておきたいところです。

 

 

 

相場の「転換点」を意識しつつ、慎重に取り組んでいきましょう。