ドル高トレンド!?

 

 

 

最近、様々な国際政治の専門家や金融経済の専門家などが「米国の崩壊」や「ドルの崩壊」を唱えています。

 

 

 

ここで、「米国の崩壊」や「ドルの崩壊」と言われている理由・兆候について整理します。

 

 

 

 

 

69日、10日に開催された米国主催の米州首脳会議(北米と中南米諸国の首脳会談)では、米政権がキューバ、ベネズエラ、ニカラグアを排除したことに反発して、メキシコやグアテマラ、ホンジュラス、ウルグアイ、ボリビア、エルサルバドルなどの首脳が会議をボイコットしており、米国が長年「裏庭」と呼んでいた中南米諸国から見切りをつけられている。

 

 

 

623日に開催されたBRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)首脳会談で、「IMF(国際通貨基金)の代替機関」や「ドルに代わる国際通貨」の創設などが提案された。

 

 

 

・米国は多くの産油国から「ドルによる石油取引」をボイコットされている。

 

 

 

・米政権は「週730万バレル」という凄まじい勢いで国内の戦略石油備蓄を取り崩していて、既に備蓄量は35年ぶりの低水準となり、年内に枯渇するとも言われている。

 

 

 

・米国のインフレは「405か月ぶり」の深刻な事態になっている。

 

 

 

・米金融大手JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモンCEOは「米国経済、世界経済にとってのハリケーンはすぐそこまで来ている」と発言した。

 

 

 

・現在の米国は「住宅バブル」になっており、「バブル研究」に関して「第一人者」として知られるジェレミー・グランサム氏は「住宅バブルは乗り切れない」と発言した。

 

 

 

・ウォール・ストリート・ジャーナルで、世論調査によると、米国人の83%が、現在の経済の状態を貧弱または、あまり良くないと述べたと報じられた。

 

 

 

・米国では今年に入ってから既に250件以上もの銃乱射事件が発生している。

 

 

 

・テキサス州とアリゾナ州の共和党が「バイデン政権は不正選挙によって作られた違法政権である」

として、2020年の大統領選挙の結果を拒否すると宣言した。

 

 

 

・ビルダーバーグ会議(西側諸国の政府首脳や企業代表が集まる完全非公開の会議)では、米国崩壊について議論されたと言われている。

 

 

 

 

 

上記以外にも多々ありますが、少なくとも現在の米国が「古き良き米国」から程遠いのは確かでしょう。

 

 

 

しかし現実は、散々「米国の崩壊」や「ドルの崩壊」と言われているにもかかわらず、直近の3か月でみた時に、西側諸国の通貨の中で「ドルが最強」となっています。

(ドルよりも強くなっているのはロシアのルーブル)

 

 

 

一体、これはどういうことなのでしょうか?

 

 

 

米国の立場で考えた時に、専門家の間では以下のようなことが言われています。

 

 

 

 

 

・米国は輸出よりも輸入が多い貿易赤字国であり、インフレも「405か月ぶり」の深刻な事態である以上、もしもドル安となれば、さらなるインフレが進むため、ドル安にするわけにはいかない事情がある。

 

 

 

・ロシアのルーブルが「金Gold)・天然ガス本位制」の通貨になっていく中、ロシアと対立する米国は、「基軸通貨のドルがルーブルに負けるわけにはいかない」という事情がある。

 

 

 

1971年のニクソン・ショックで金(Gold)本位制を離脱した米国(ドル)にとって、金の上昇は「ドルの不信任」を意味するため、金が上昇し過ぎては困るという事情がある。

 

 

 

・「有事のドル」「有事の円」と言われる中、もしも円高が進むと、通貨全般に対して「ドル安」が進みかねないため、米国の属国である日本に対しては「利上げをするな」と指示している。

(結果、円安が進む)

 

 

 

 

 

さて、このような事情を踏まえますと、米国の立場としては「ドル高」「円安」「金安」「ルーブル安」を望んでいることが考えられます。

 

 

 

さらに、ウクライナでの戦争では、「対ロシア制裁だ!」と言っている西側諸国が約12億人で、逆に残りの約667500万人がそうではないという「現実」がありますので、米国の意を受けて、西側諸国全体で「ドル高」を維持しようという流れがある可能性もあります。

 

 

 

しかし、専門家達が「米国の崩壊」や「ドルの崩壊」と言うように、いつかは「ドル高」を維持しきれなくなって、ある日突然「ドルの大暴落」となるのかもしれません。

 

 

 

ただし、それまでは、基本的なトレンドは「ドル高」ではないでしょうか。

 

 

 

そして問題は、いつ「ドルの大暴落」が起こるかです。

 

 

 

ここで、気になるのが「スイスフラン」の値動きです。

直近の3か月ではなく、直近の1か月でみますと、西側諸国の通貨の中で、ドルよりも唯一高くなったのが「スイスフラン」です。

 

 

 

そして「スイスフラン」といえば、ドルや円と同様「有事のスイスフラン」とも言われる通貨であり、9.11同時多発テロの前には、特にこれといった材料がなかったにもかかわらず、事件の2か月前から断続的に買われた過去があります。

 

 

 

その時スイスフランを買っていた人達は儲かったわけですが、9.11同時多発テロに際しては、当時のドイツ銀行総裁が「インサイダー取引の形跡がある」と発言しており、テロが起こることを前もって知っていた人達がいる可能性を仄めかしていました。

 

 

 

そういう意味では、現在のスイスフランの上昇も「何かの前触れ」ではないかと思います。

 

 

 

したがって、全体像を踏まえますと、相場においては十分に警戒しつつも、「ドルの大暴落が起こるまではドル高トレンド」と認識しておくのがよいのではないかと思います。

 

 

 

 

最近はフィンランドとスウェーデンのNATO(北大西洋条約機構)加盟も決まり、地政学的リスクが高まっていますので、十分に警戒を怠らないようにしましょう。