ランキングと日本「円」

 

 

 

世界最大のヘッジファンド、ブリッジウォーター・アソシエイツの創業者レイ・ダリオ氏が、主要先進国の「国力」を指数化し、ダボス会議で発表しました。

 

 

 

その分析は、ヘッジファンドの運用にも役立てる意図があるそうです。

 

 

 

そしてその「指数化」では、主要先進国24か国を対象に政治・経済・軍事力など複数のデータをもとにAI(人工知能)で分析し、総合力を算出したとのことです。

 

 

 

ちなみに、日本は「5位」でした。

 

 

 

一方で、世界各国のランキングといえば、米週刊誌「USニュース&ワールド・レポート」が発表している「世界最高の国ランキング」というものもあります。

 

 

 

こちらでは、60の国を対象に、16200人以上のビジネス・リーダーなどが9つの分野と75の評価基準でランキングを作成しているそうです。

 

 

 

ちなみに、最新版(2021年)の結果は、日本は「2位」でした。

 

 

 

そのような中、先週末報じられたのが、以下のニュースでした。

 

 

 

 

 

【昨年末の対外純資産411兆円、鈴木財務相「31年連続で世界最大」】

 

 

 

 

 

さて、これらのことから分かることといえば、世界全体で見れば「日本は優秀だ」ということです。

 

 

 

もちろん、そんな日本にも問題はありますし、むしろ問題山積みだと言っても過言ではないでしょう。

 

 

 

ただし、そうは言っても、世界全体で見れば「日本は恵まれている」という、客観的事実があるのだと思います。

 

 

 

そのような中、以下のようなニュースも報じられました。

 

 

 

 

 

【ゴールドマン、円はリセッションヘッジとして有望 ― 「かなりの価値」】

 

 

 

 

 

米金融大手ゴールドマン・サックスが、日本の「円」を景気後退のヘッジ(リスク回避)通貨だとし、「かなりの価値」があると指摘したニュースです。

 

 

 

ゴールドマン・サックスのストラテジスト(投資戦略を考える専門家)によると、「円はドルに対して2025%過小評価されており、世界的な景気後退リスクが高まっている中で最も低コストのヘッジ(リスク回避)になる」とのことでした。

 

 

 

結果、ドル円は下落(ドル安円高)するだろうとのことでした。

 

 

 

また、カナダの大手銀行スコシアバンクのアナリストも「円は大幅に売られ過ぎだ」と述べ、やはり同様の見方(ドル安円高)を示しました。

 

 

 

さらに、日本の上場企業も同様の見方(ドル安円高)を示しています。

ブルームバーグが、525日までに開示のあった219社の20233月期の業績計画を集計したところ、約7割に当たる153社が「120円以下の為替水準」を前提にしていたそうです。

 

 

 

さて、これらのことから分かるように、日本や日本の「円」が高評価であるのは確かなのですが、現実は、そんな「円」が50年ぶりの円安水準(実質実効レート)になっています。

特にこの2年、「円」がしつこく売られ続けてきたからです。

 

 

 

先週のコラムでも述べたように、今、日本の「円」は、ブラジルの「レアル」、タイの「バーツ」、中国の「元」、韓国の「ウォン」よりも価値が低くなっています。

 

 

 

これを「異常」と言わずして何と言うのでしょうか?

本当に、このような「円」の現在価値が適正なのでしょうか?

 

 

 

ひとつ「ハッキリ」していることがあります。

 

 

 

それは、「近年の相場はファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)を無視する」ということです。

 

 

 

要因の一つとしては、近年、相場の世界に参戦する個人投資家が激増していることが考えられますが、彼らはあまりファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)を考慮していないのだと思われます。

 

 

 

したがって、このような現実を踏まえた「対策」が必要になってきますが、結論を言えば、ファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)ではなく、「上昇傾向」や「下落傾向」といったトレンド重視の戦略が、近年の相場には一番「マッチ」していると考えられます。

 

 

 

ただし、どんな相場にも「天井」や「底」があります。

 

 

 

「天井」で大量の「買い」を持つことや、「底」で大量の「売り」を持つことは避けたいところです。

 

 

 

そういう意味では、トレンド重視の戦略で取り組みつつも、慎重に取り組むべきであると言えるでしょう。

 

 

 

そのような中、前述のゴールドマン・サックスの指摘のように、今後は「世界的な景気後退リスク」を意識しておく必要があると思います。

そして、景気後退リスクといえば「株安」です。

 

 

 

ゴールドマン・サックスによると、米金融当局が金融引き締め(金融市場に流れるお金を減らす)の終了を示唆するまで、米国株は今後さらに下落するだろうとのことです。

さらに、過去の例によると、金融引き締めの終了を示唆した「約3か月後」に、株価が底入れしているそうです。

 

 

 

したがって、ゴールドマン・サックスの見方が正しければ、今後は、さらなる株安となり、為替は円高へと動くでしょう。

 

 

 

ただし、それとは逆に、先週末は日経平均株価もNYダウも上昇しましたし、為替も円安に動いたため、まだまだ「決め打ち」はしない方がいいでしょう。

 

 

 

 

引き続き、慎重に取り組んでいきましょう。