「普遍の真理」と「格言」

 

 

 

中国が「尋常ならざる事態」に直面しているようです。

 

 

 

【上海の新車販売「ゼロ台」 4月、都市封鎖で営業停止】

 

 

 

 

 

上記は先日報じられたニュースになりますが、上海市(人口2600万人を超える)が、3月下旬から新型コロナウイルス対策のロックダウン(都市封鎖)となっており、その影響により4月の新車販売台数が、なんと「ゼロ台」だったというニュースです。

 

 

 

新型コロナウイルスは世界中で2年前から流行していますが、それでも上海の「昨年4月」の新車販売台数は「26311台」だったといいます。

したがって、今の中国がいかに「尋常ならざる事態」なのか、よく分かるニュースだと思います。

 

 

 

そして、このような深刻な事態は、中国だけの問題にはとどまらないようです。

 

 

 

【バーナンキ氏、FRBの物価対応は遅過ぎ-スタグフレーションに直面】

 

 

 

 

 

上記も先日報じられたニュースになりますが、米国もバーナンキ元FRB(米連邦準備制度理事会)議長が、不景気の物価高、つまり「スタグフレーション」に直面すると警鐘を鳴らしました。

 

 

 

米国では、FRBが金融引き締め(金融市場に流れるお金を減らす)へかじを切る姿勢を明示しましたが、これは「不景気を覚悟のうえで物価高に対処する」ということになります。

 

 

 

そして「不景気を覚悟のうえで」ということは、株価にも影響するわけで、今月の5日(木)、米株式市場でNYダウが急落し、前日比の下げ幅が一時「1300ドル」を超え、先週18日(水)も前日比の下げ幅が一時「1200ドル」を超えましたが、これらも金融引き締め不安が原因でした。

 

 

 

現在、NYダウは世界大恐慌以来90年ぶりに8週連続の下落となっていますが、それでも、まだまだ「歴史的高値圏」にあります。

したがって、今後も「株価の急落」は、繰り返し起こると考えられます。

 

 

 

さらに、米国の「不景気」については、直近で発表された「消費者マインド指数」や「景気先行指数」からも明らかなように、現在進行中であると考えられます。

 

 

 

また、景気と治安には相関性がありますが、世論調査によると、ニューヨーク市では9割超が深刻な治安悪化を実感しているとのことで、やはり米国は「不景気」であると考えられます。

 

 

 

このように、米国の現状も深刻な中、「今のドル高は妥当なのか?」と考える必要があると思います。

 

 

 

一方で、日本の「円安」も問題です。

本コラムでも度々取り上げたことがありますが、世界各国のマクドナルドで販売されているビッグマック1個の価格を比較する「ビッグマック指数」に注目すると、今の円安の「異常さ」が分かります。

 

 

 

今の日本円の価値は、なんと以下に示す通貨の価値よりも「低く」なっているのです。

 

 

 

 

 

・ブラジルの通貨「レアル」

・タイの通貨「バーツ」

・中国の通貨「元」

・韓国の通貨「ウォン」

 

 

 

 

 

日本の対外純資産は356兆円もあり、30年連続で「世界一」ですが、日本の「円」は、本当に上記の通貨よりも価値が低いのでしょうか?

 

 

 

先日、国際的格付け企業「フィッチ・レーティングス」は、投資家達が「資産の避難場所」として「円」を評価していることから、日本の格付けを引き上げましたが、それでも上記の通貨よりも価値が低いのでしょうか?

 

 

 

米国の「ドル」と同様、「今の円安は妥当なのか?」と考える必要があると思います。

 

 

 

そして現在の「ドル高」や「円安」が妥当でないならば、いつか来るであろう「金融危機」をきっかけに、凄まじい大幅修正が起こるのではないでしょうか。

 

 

 

ところで「そもそも」ですが、今の「株高」も「ドル高」も「円安」も、ある日突然そうなったわけではありません。

しつこく「株高」「ドル高」「円安」が続いた結果として、今に至っているわけです。

 

 

 

したがって、ある意味、近年は「ファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)」を無視した、インチキ的な相場が続いていたと考えることができます。

 

 

 

そして「インチキ的な相場」といえば、例えば昨年は米国で、2期連続赤字で、3期目も赤字が見込まれていた「ゲームストップ」株が大暴騰したことがありました。

 

 

 

ゲームストップ株は、なんと「ウォール街」で働く金融のプロ達が予測した株価の「6倍」にもなったのです。

 

 

 

この「異常な」値動きにより、当時、ヘッジファンドは大損したと言われていますが、この値動きを主導したのは、米素人集団(個人投資家達)100万人以上だったと言われています。

 

 

 

ロビンフッダー(米ロビンフッド証券が提供する同名のスマホアプリだけで売買する人達)は3950万人にも上ると言われており、近年は、相場に参戦する個人投資家の激増により、相場も一昔前の相場とは様相が変わってきていると考えられます。

 

 

 

したがって、このような相場環境を、しっかりと認識しておくことが大事です。

ひとつだけ確実に言えるのは、相場に対して「ギャンブル的」になることは避けなければなりません。

 

 

 

一方で、相場には、いわゆる昔からの「普遍の真理」や「格言」があります。

「安く買う」「高く売る」「下がり過ぎたものは上がる」「上がり過ぎたものは下がる」「トレンドに逆らうな」「リスク管理が大事」「損切りは早く、利は伸ばせ」「損切り貧乏」「利食い千人力」「天井三日、底百日」「負けなければ勝つ」・・・

 

 

 

これらには、互いに相反するものも含まれていますが、昔から「相場は生き物」と言われており、臨機応変さが大事であるということでしょう。

 

改めて「普遍の真理」や「格言」に、しっかりと向き合いながら取り組んでいきましょう。