「決め打ち」をしない方がいい

 

 

 

新型コロナウイルスの新変異株「オミクロン株」関連の報道が、連日のように続いています。

 

 

 

「オミクロン株」はWHO(世界保健機関)によって短期間に「懸念される変異株」に指定され、多くの国では感染拡大を制限または遅らせるために入国禁止令が導入されています。

 

 

 

さて「オミクロン株」について、日本の報道と海外の報道を比べると、報道が若干「異なっている」ように思われます。

海外では感染の恐怖よりも「スタグフレーション」に警鐘を鳴らす報道が目立つ印象なのです。

つまり、「不景気での物価高」への警鐘です。

 

 

 

ブルームバーグは以下のように報じていました。

 

 

 

 

 

【オミクロン、世界経済回復への影響はどの程度か-最悪はロックダウン】

 

 

 

 

 

上記の報道では「最悪のシナリオはロックダウン(都市封鎖)の再来だろう。これはサプライチェーンの混乱を悪化させるとともに、回復しつつある需要を軟化させ、スタグフレーション懸念を再浮上させる」と報じていました。

 

 

 

また先週は、インフレ(物価上昇)について、ずっと「一時的だ」との説明を繰り返していたFRB(米連邦準備理事会)のパウエル議長が「もはや、インフレは一時的との言い方はやめる」ということで、遂に「インフレ」を認めました。

 

 

 

したがって、これに「不景気」が加われば、スタグフレーションが現実のものとなります。

 

 

 

パウエル議長は「オミクロン株が景気下振れにつながる」と警戒感を示しており、パウエル議長やFRB(米連邦準備理事会)が今後「インフレ」よりも「不景気」を重視するようであれば、量的緩和(マネーのジャブジャブ、マネーのバラまき)が長引く可能性があります。

 

 

 

すると、今の株高が「さらなる株高」となるかもしれません。

そして、インフレも一段と加速します。

 

 

 

一方で、「不景気」よりも「インフレ」を重視するようであれば、今後は「利上げ」ということになりますが、その場合、今の株高は大幅に修正されるでしょう。

さらに、株安になり、インフレを止めることに成功したとしても、不景気になることは避けられないでしょう。

 

 

 

このように、米国は「インフレ」と「不景気」の板挟みに、どう対処するべきかという状態にあり、オミクロン株の出現が事態を深刻にしているのです。

 

 

 

ところで「オミクロン株」は、不明な部分が多いと言われています。

感染力も毒性も不明な部分が多いようですし、世界経済への影響も「どの程度」になるのか分かりません。

 

 

 

そして相場の世界においても、量的緩和が長引く可能性と、利上げが実施される可能性と、両方の可能性があり、しかも新型コロナウイルスそのものも収束していないわけですから、あまり「決め打ち」をしない方がいいでしょう。

 

 

 

実際に「決め打ち」をした結果、痛手を被った「ヘッジファンド」もあるようです。

 

 

 

 

 

【ヘッジファンドを不意打ち、「COVIDオン」取引-ゴールドマン】

 

 

 

 

 

上記もブルームバーグの報道ですが、新たな変異株「オミクロン」に関する報道を受け、ヘッジファンドが「空売り」をしていた「ワクチンや検査関連銘柄」が急騰したために、痛手を被ったヘッジファンドもあるようです。

ちなみに、上記の「COVIDオン」とは、コロナ関連株を選好するという意味になります。

 

 

 

そのような中、オミクロン株に関する情報以外にも「気にかけた」方がいいと思われるのが、中国の不動産セクターに関する情報です。

 

 

 

 

 

FRBも世界への影響警戒-中国の不動産セクター、社債売り広がる】

 

 

 

 

 

上記もブルームバーグの報道ですが、FRB(米連邦準備制度理事会)は半期に一度の金融安定報告を発表し、中国の不動産セクターで起きることが金融市場に影響を与え、経済成長を脅かす恐れがあると警告しています。

 

 

 

さらに記事では、「中国の不動産セクターとマクロ経済の両方で最悪期はまだこれからの公算が大きい」と伝えています。

 

 

 

そんな中国の「不動産セクター」に関する最近の情報を、いくつか以下に記します。

 

 

 

 

 

・中国の不動産開発大手、中国恒大集団の許家印会長が、自社株を売却した。

 

 

 

・中国の不動産開発会社、花様年控股集団は未払いの融資に関連して、子会社に対して清算の申し立てが行われたと発表し、情報の公表待ちで花様年控股集団株が売買停止となった。

 

 

 

・中国で不動産開発を手掛ける新力控股集団の株価が1日に87%も下落し、取引停止になった。

 

 

 

・中国の不動産開発会社、佳兆業集団は、オフショア債券の満期延長に債権者の同意が得られず、デフォルト(債務不履行)に陥る可能性が高まっている。

 

 

 

 

 

上記ように、中国の「不動産セクター」は極めて危うい状況にあり、売上高トップ10の不動産開発会社が抱える負債は合わせて1兆6500億ドル(約186兆円)もあるとのことなので、FRBの警告も「もっとも」だと思われます。

 

 

 

さてこのように、「オミクロン株」や「中国の不動産セクター」について考えてみただけでも、今の世界は「カオス(混沌とした秩序のない環境で予測が不可能である)」と判断できるでしょう。

 

 

 

しかしそれでも、未だに「株高」が続いているわけですから、まさに「カオス」と言えるでしょう。

 

 

 

 

「安く買う」「高く売る」は相場の基本ですが、今後の相場については、「極端な上昇」や「極端な下落」も想定し、くれぐれも慎重に取り組んでいきましょう。