中国恒大集団

 

 

 

ウォートン・スクール(ペンシルベニア大学大学院)教授のジェレミー・シーゲル氏が、最近の相場についてコメントを出しました。

ちなみに同氏は、かつてのITバブル崩壊を予見した優れた見識から「ウォートンの魔術師」とも称され、資産管理会社のウィズダムツリー・インベストメンツの上級投資戦略アドバイザーでもあります。

 

 

 

そんな同氏の最近の相場についてのコメントは、以下のようなものでした。

 

 

 

 

 

【今起こっているのは、ウォール街についての古い表現で『階段を昇ってエレベータで降りる』というものだ。私たちは階段を昇っている。現在の市場の状況は「モメンタム・トレード」であり、上がるから買われ、さらに上がる。新たな材料もなく、毎日少しずつ上がっていく。いつかは終わるが、いつになるかは予想不能】

 

 

 

 

 

ところで先週、日経平均株価は5か月ぶりに3万円台をつけ、東証1部全体の時価総額も過去最高となりました。

そして米国株も、今もなお「過去最高値圏」にあります。

 

 

 

一方で世界の新型コロナウイルス感染者は22000万人を超える状況となっており、このような株高については、どうしても「異様さ」が拭えません。

 

 

 

そして先週末は【夏賞与6.59%12年ぶり下げ幅】や【日経平均終値373円高、今年の最高値に迫る】というニュースがほぼ同時に報じられたのですが、やはり「異様さ」が拭えません。

 

 

 

そんな日経平均株価の上昇理由について、マスコミは「新政権に期待感」と報じています。

 

 

 

しかし実際のところ、新政権に期待している人達がどれだけいるのでしょうか?

 

 

 

少なくともマーケット(相場)の世界では、「いったい何を期待するのか?」「訳が分からない」といった声が少なくありません。

私も同じように感じています。

 

 

 

そのような中、今の株高を的確に「表現」しているのが、前述のジェレミー・シーゲル氏だと思います。

 

 

 

つまり、上がるから買われ、さらに上がる状況だということです。

ただし、それは『階段を昇ってエレベータで降りる』というもので、いつ『エレベータで降りる』になってもおかしくない相場であるとの認識です。

 

 

 

したがって、ここから先は『エレベータで降りる』に、つまり相場の大幅修正(大暴落)に神経を尖らせておく必要があるでしょう。

 

 

 

少なくとも、モーガンスタンレー、シティーグループ、クレディ・スイス・グループ等の大手金融機関は米国株について「慎重な見方」を示しており、私達投資家も、そのような見方があることを認識しておくべきだと思います。

 

 

 

そして、もうひとつ認識しておくべきなのが「中国リスク」です。

 

 

 

先日、世界3大投資家の一人であるジョージ・ソロス氏はFT(フィナンシャル・タイムズ)に寄稿文を載せ、中国について警鐘を鳴らしました。

 

 

 

「中国株は暴落するだろう」とのことなのです。

 

 

 

そんな中国株の中でも、現在、中国恒大集団(不動産開発会社)のリスクに注目が集まっています。

ちなみに、同社の創業者である許家印(シュー・ジアイン)氏は、中国3位の大富豪で、世界でも22位の大富豪です。

 

 

 

しかし現在、中国恒大集団(不動産開発会社)は、格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスとフィッチ・レーティングスに「2日で2度の格下げ」をされ、なんと「破産の可能性が高い」と指摘されたのです。

 

 

 

ジョージ・ソロス氏は、他にも多くの中国企業について警鐘を鳴らしていますが、それら中国企業がデフォルト(債務不履行)を連発したら、それこそ「リーマン・ショック」どころではありません。

 

 

 

確実に「世界同時株安」の展開になるでしょう。

 

 

 

したがって、現在は、そのような危うい状況下での「株高」であることを、私達投資家は十分に認識しておくべきだと思います。

 

 

 

しかも、ジョージ・ソロス氏といえば、有名な「市場は常に間違っている」との発言があります。

 

 

 

そして「間違った相場はいずれ修正されてくるので、修正される方向で勝負をすることで、利益を上げることができる」と言っていますので、前述の「中国株は暴落するだろう」という同氏の発言は、決して無視すべきではないでしょう。

 

 

 

では、このようなリスク全般に、私達投資家はどう備えたらよいのでしょうか?

 

 

 

少なくとも金(Gold)の世界では、インドや中国、ドイツといった国々の個人投資家の「買い」や世界の中央銀行の「買い」の動きがみられています。

 

 

 

しかも、世界の中央銀行の「買い」については、世界的な金(Gold)の調査・研究機関であるWGC(ワールド・ゴールド・カウンシル)が「今年は直近5年平均を39%10年平均を29%上回っている」と発表しています。

 

 

 

そんな世界の中央銀行は、金(Gold)を購入する理由について、最も多く挙げた理由が「危機下のパフォーマンス」でした。

つまり、世界の中央銀行は、今後先々の「危機」を想定しているということです。

 

 

 

したがって、私達投資家も金(Gold)を購入することで「危機」に備えることができるでしょうし、株式市場については「大暴落」を、為替市場については「円高」「ドル高」への大幅修正を想定しておいた方がよいでしょう。

 

 

 

私は、今の相場を敢えて「狂った相場」と表現しますが、狂った相場であるだけに、まだしつこく、この流れが続くかもしれないと感じます。

しかし、前述のような「全体像」は常に意識しておくべきだと思っています。

 

 

 

 

くれぐれも慎重に取り組んでいきましょう。