ショック・ドクトリン

 

 

 

最近の世の中は、一部でも指摘されていますが、「ショック・ドクトリン」の様相を呈してきたと感じます。

 

 

 

『ショック・ドクトリン』(岩波書店)とは、ナオミ・クラインという、カナダ人のジャーナリストが書いた本ですが、その意味は【権力者・支配者が、大惨事につけこんで権力や支配を強化する】といったような意味になります。

ちなみに同書は三十数か国語に翻訳され、日本語版は20119月に刊行されましたが、同書は映画化もされており、大変話題となった書籍です。

 

 

 

さて、最近の世の中の大惨事といえば、間違いなく「新型コロナウイルス」でしょう。

簡単に振り返ると以下のような流れで現在に至っています。

 

 

 

 

 

20201月、国内で初めて感染者が確認された

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使い捨てマスクやアルコール消毒液が全国各地で品薄となった

             ↓

東京五輪・パラリンピックが史上初めて1年延期されることが決まった

             ↓

東京など7都府県に緊急事態宣言(1回目)が発令され、その後、全国に対象を拡大

             ↓

国民1人当たり現金10万円を支給する「特別定額給付金」の申請受け付けがスタート

             ↓

全世帯に2枚ずつ配る布マスク、いわゆる「アベノマスク」の配達が始まる

             ↓

政府の観光支援事業「Go To トラベル」が始まった

                                   

政府の飲食業界支援策「Go To イート」が始まった

             ↓

緊急事態宣言(2回目)が首都圏に発令され、その後、11都府県に対象を拡大

             ↓

医療従事者をはじめとし、ワクチン接種がスタート

             ↓

「まん延防止等重点措置」を大阪、兵庫、宮城3府県に初めて適用、その後、対象を拡大

             ↓

緊急事態宣言(3回目)が10都道府県に発令

             ↓

変異株「デルタ株」が感染爆発を引き起こす 

             ↓

緊急事態宣言(4回目)が21都道府県に発令

             ↓

「まん延防止等重点措置」が12県に適用

             ↓

全国の新型コロナウイルス累計感染者が150万人を超えた

 

 

 

             

 

さてこの間、実に様々なことがありましたが、新型コロナウイルスの感染者は増える一方です。

現在は「第5波」とのことですが、今秋以降は「第6波」が予想されています。

 

 

 

今や「マスクをする生活」もすっかり定着し、今後は「ワクチンパスポート」を普及させようという流れになっています。

 

 

 

また今は「一定の要件を満たせば緊急事態宣言発令地域でも飲食店での酒の提供を認める方向」といった話が出てきており、感染対策の「第三者認証」を受けた飲食店のみ酒の提供を可能にしよう、ただし、ワクチン接種済み証または陰性証明書を提示できる人にしか酒を提供してはならない、といった話が出てきています。

 

 

 

このように、かつての「当たり前」が、いつの間にか「当たり前」でなくなりました。

 

 

 

そして気づけば、いつの間にか【政府が右と言えば右、左と言えば左】という流れになっており、まさに「ショック・ドクトリン」の様相を呈してきたと感じます。

 

 

 

ところで今回、このような話をしていますのも、昨今の相場が「政府主導の相場」と指摘されているからです。

 

 

 

「政府主導の相場」のことを「官製相場」とも言いますが、日本では、日本銀行の緩和政策やGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の資金運用が金融市場に大きな影響を与えているとされています。

 

 

 

専門家の試算によると、日経平均株価は日銀の「買い」だけで【4000円程度も嵩上げ(かさあげ)されている】とのことです。

そして昔から、株価と為替には明確な相関関係がありますので、株価が嵩上げされた分だけ、為替も円安に動かされてきたというわけです。

 

 

 

ところが、新型コロナウイルスが世界中で感染拡大し、経済にも明らかに大打撃を与えている中、今の株高を「まともだ」と思っている人は少ないのではないでしょうか。

 

 

 

しかし、これを「ショック・ドクトリン」として考えれば、今から1年前の時点でも【日銀とGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が、東証1部企業の8割にあたる約1830社で事実上の大株主となっている】と報じられており、いつの間にか「政府主導の相場」が「正当化」されてきたわけで、一部の専門家は「日本は社会主義国である」と指摘しています。

 

 

 

したがって、昨今の相場は【政府が右と言えば右、左と言えば左】という流れの中で形成されていると考えるべきで、この流れを踏まえて「戦略」を考える必要があります。

 

 

 

また、歴史を振り返れば、バブルを崩壊させるのもまた「政府」であることを認識しておく必要があります。

かつて「東京都の山手線内側の土地価格でアメリカ全土が買える」とまで言われた1980年代後半のバブルは、日銀によって「崩壊させられた」と言われているからです。

 

 

 

このように、政府主導によって「バブルは形成されることもあるし、崩壊させられることもある」と私達投資家は認識しておくべきで、前述のように、最近の世の中は「ショック・ドクトリン」の様相を呈してきていることも意識しておいた方がいいでしょう。

 

 

 

このような全体像を踏まえますと、今後の相場は「さらなる上昇」の可能性もあれば「暴落」の可能性もあるわけで、投資戦略としては【安くなったら「買う」、高くなったら「売る」、万が一を想定しポジション量に留意する】といったスタンスで臨むことが、最も「堅実」であると思います。

 

 

 

 

引き続き、頑張りましょう。