今回は米投資銀行界の雄、ゴールドマン・サックスに焦点を当て、今後の相場について考えてみたいと思います。
さて、ゴールドマン・サックス関連のニュースといえば、海外メディアでは普段からよく報じられているのですが、先日は複数のメディアが以下のようなニュースを報じました。
【米ゴールドマン・サックスの若手社員、労働環境の改善訴え「非人道的で虐待に近い」】
その詳細は、以下のような内容でした。
・週平均「95時間」働いている
・(養子として育てられたという)ある社員は「この職場環境の方が間違いなく悪い」と語った
・心身の健康を採点する項目では、メンタルヘルス(心の健康)面では10点中2.8点、身体の健康は10点中2.3点だった
一方で昨年以降、ゴールドマン・サックス関連のニュースでは、以下のような内容も報じられてきました。
・従業員の約400人を削減
・マレーシアでの不正疑惑で50億ドルの制裁金を科された
・投資銀行部門の責任者が退社
・法務担当役員が退社
・CEOが、社用ジェット機を過去7週で7回も私的利用した
このように見ていきますと、米投資銀行界の雄とはいえ、ゴールドマン・サックスは多くの問題を抱えていることが分かります。
ちなみにゴールドマン・サックスは、昔から米政府と密接な関係を続けており、しばしば「ガバメント(政府)・サックス」と揶揄(やゆ)されています。
それに加えて、私はゴールドマン・サックスに対しては「エリート集団だが、穢い(きたない)ことを頻繁にする集団」という印象を抱いています。
さて、そんなゴールドマン・サックスで【AIの進化によって、2000年にニューヨーク本社の現物株式取引部門に配属されていたトレーダーが600人だったのに対し、今ではわずか2人だけ】と報じられたのが、今から4~5年前のことでした。
つまり、その頃から相場を主導しているのは「AI(人工頭脳)」になってきているわけです。
昨年、今年と、コロナ禍でも株価の上昇が止まらないことからも分かるように、近年、相場の値動きは実体経済と乖離しており、多くの専門家も「おかしい」と声高に叫んでいますが、AIの影響も間違いなくあると考えられます。
しかしそのような中、ゴールドマン・サックスは、この相場の世界において「影響力の大きな存在」であることには間違いありません。
したがって、ゴールドマン・サックス関連の「相場ニュース」は、できるだけ把握しておいた方がよいと思います。
そんなゴールドマン・サックス関連の「相場ニュース」を、昨年の7月頃から順に、時系列で整理してみたいと思います。
・米ゴールドマン、金価格の12カ月見通しを2300ドル(現在は1730ドル)に引き上げ
・来年5~6%ドル安に:ゴールドマン・サックス
・ゴールドマン、トルコリラの見通しを再び引き上げ ― 緩やかな上昇見込む
・ゴールドマン、米国株をなお有望視 ― ドットコムバブル並みに割高でも
・ゴールドマン、ドル安を予想 ― 新興国市場への強気ムード後押し
・S&P500種、年内に4300(現在は3974)との見方継続 米金利上昇でも ― ゴールドマン
・ゴールドマン、世界の株式は危険なバブルには程遠い
・ゴールドマン、TOPIX(東証株価指数)のターゲットを2150(現在は1997)に上方修正
上記のニュースから分かることといえば、ゴールドマン・サックスは「株に強気で、ドル安予想」であるということです。
しかし先週のコラムでもお伝えしたように、あくまで「歴史は繰り返す」という立場に立つならば、株の暴落、円高・ドル高、金高・銀高の相場観に至るはずです。
ところが、「株に強気で、ドル安予想」ということは、ゴールドマン・サックスもブラックロック(世界最大の資産運用会社、運用資産額900兆円を超える)の言うように、「投資は新しい時代に突入しました」というスタンスなのかもしれません。
はたして、どうなっていくのでしょうか?
過去のゴールドマン・サックス関連の「相場予想」を検証しますと、当たったり外れたりしているものの、やや当たりの方が多く、その的中率は「5~6割」といった印象です。
したがって、ゴールドマン・サックスの予想を採用するにしても、慎重さは維持した方がいいと思います。
逆に、あくまで「歴史は繰り返す」という立場に立つならば、前述(株の暴落、円高・ドル高、金高・銀高)の相場観を採用すべきです。
引き続き、忍耐強く、取り組んでいきましょう。