「米長期金利」に注目

 

 

 

「金利」に注目が集まっています。

 

 

 

米長期金利です。

 

 

 

今回はこの辺りのテーマについて、できるだけ分かりやすく説明してみたいと思います。

 

 

 

例えば、お金の貸し借りで「今日借りて明日返す」といったような場合、金利はほとんど無視されると思います。

しかし、もしも「今日借りて10年後に返す」といったような場合、通常は「金利がいくらか」という話になります。

 

 

 

両者の比較でも分かるように、「借りている期間が長いほど金利が高くなる」というのが普通です。

 

 

 

ちなみに、国家が借金をする際に発行するのが「国債」です。

 

 

 

国債の購入者は、国債を購入することによって「国家にお金を貸す」ということになりますが、そのかわり「利息(金利)」を受け取ることができます。

そして「国家にお金を貸す」期間については、2年や10年など様々な期間がありますが、期間が満期に達すれば、元金が国債の購入者に戻ってくる仕組みです。

 

 

 

上記の2年と10年を比較した場合、「2年貸す」のと「10年貸す」の違いですから、当然「10年貸す」方が、金利(利回り)が高いのが普通です。

 

 

 

ここで、「イールドカーブ」というものがあります。

 

 

 

2年、10年など期間の異なる複数の国債における金利(利回り)の変化をグラフにしたもののことです。

 

 

 

この「イールドカーブ」に注目した時に、もしも2年と10年の金利(利回り)の差が「ゼロ」だったら、「おかしい」ことが分かると思います。

ましてや、「2年(貸す)」金利が「10年(貸す)」金利よりも高い「逆転状態」だったら、「非常におかしい」ことが分かると思います。

 

 

 

ところが近年、この「イールドカーブ」において、2年と10年の金利(利回り)の差が「ゼロ」になったり、「逆転状態」になったりということが度々起きていました。

そしてその度に、「米国債利回り低下、逆イールド発生」などと報じられていました。

 

 

 

例えば3カ月国債においても、10年国債の利回りが「2.234%」で、3カ月国債の利回りが「2.364%」と報じられたこともあり、まさに前述の「逆転状態」で、「非常におかしい」ことが分かると思います。

 

 

 

このような「おかしい」ことが、近年はしばしば起こっているのですが、歴史的に見ると「景気後退の前兆」と見られており、「逆イールド発生」と報じられる度に、市場では不安感が台頭していました。

 

 

 

なぜなら、リーマン・ショック前にも「逆イールド発生」があったからです。

 

 

 

ちなみにリーマン・ショックに至った経緯ですが、「逆イールド発生」からの正常化、つまり「順イールド」に戻り、その後「リーマン・ショック」へと至っています。

 

 

 

そのような中、ご存知の通り、近年はほぼ一本調子で株価が上がっています。

そして現在は「順イールド」に戻っています。

 

 

 

まさに、リーマン・ショック前に似ているわけです。

 

 

 

このような背景があって、現在、市場が注目をしているのが「米10年債利回り」なのです。

 

 

 

国債については、2年以下の短期金利は政府(中央銀行)がコントロールしますが、10年などの長期金利は市場によって決まります。

 

 

 

つまり、市場によって決まる「米10年債利回り」は、過去の教訓もあって、これが上昇してくると「株価が暴落するのではないか?」ということで、市場では緊張が高まっているのです。

 

 

 

過去の教訓と言うと、1987年のブラックマンデー、2000年のITバブル崩壊なども、その直前まで「米10年債利回り」が上昇していました。

だからこそ、「米10年債利回り」に注目が集まっています。

 

 

 

しかし近年は「おかしなこと」のオンパレードであり、相場においても、このような「緊張・不安の高まりの無視」「歴史の無視」を繰り返しながら現在に至っています。

 

 

 

したがって、現在、市場が「米10年債利回り」の上昇に注目をしているのは事実なのですが、はたして「歴史は繰り返すのか?」、あるいは「歴史を無視するのか?」は、微妙なところだと思います。

 

 

 

「歴史を無視するのか?」に関係するかもしれないこととしては、以下に興味深い話があります。

 

 

 

それはブラックロックです。

ブラックロックとは世界最大の資産運用会社で、運用資産額はなんと900兆円を超えています。

そして、今年に入り、「投資は新しい時代に突入しました」と宣言しています。

 

 

 

前述のように、ブラックロックの運用資産額は900兆円を超えていることから、その投資対象も広範囲に及んでいます。

 

 

 

しかし、ニュース等から分かることとしては、以前からトルコ債を積極的に購入しており、最近では「ビットコインに投資をした」というニュースも報じられています。

 

 

 

今後、ブラックロックの言うように「投資は新しい時代に突入しました」となるかもしれません。

 

 

 

しかし一方で、前述のように「米10年債利回り」に注目が集まっているのも事実で、これが上昇し、「歴史は繰り返す」になる可能性も捨てきれないと思います。

 

 

 

したがって、現在の相場の流れに乗るとしても「投資可能額の10分の1程度」で投資をするのが賢明であると思います。

 

 

 

逆に、あくまで「歴史は繰り返す」という立場に立つならば、忍耐強く、株の暴落、円高・ドル高、金高・銀高の相場観を持って取り組むことが賢明であると思います。

 

 

 

慎重さが大事になります。

 

引き続き頑張りましょう。