相場の背景

 

 

 

先週、NYダウが史上初めて3万ドルの大台を突破しました。

そしてナスダック総合株価指数、S&P500種株価指数も過去最高値を更新しました。

 

 

 

ところが現在、世界はコロナ禍です。

世界各国に大きな打撃が出ているのは間違いありません。

 

 

 

実際、アメリカは新型コロナウイルスの感染者が1300万人超、死者が26万人超、失業者は1000万人超もいます。

さらに、大統領選の結果についても未だに揉めていますし、コロナ追加予算の議会承認も進まず・・・といった状況です。

 

 

 

一方、イギリス経済は「300年ぶりの記録的縮小だ」と財務相が発言しました。

イングランドは2度目のロックダウン(都市封鎖)ですし、解除後も厳しい制限下に置く新たな規制案の採決が行われる予定です。

ところが、通貨ポンドは他通貨に比べて積極的に買われ続けています。

 

 

 

「いったい、どうなっているんだ?」「おかしいんじゃないか?」ということで、昨今の相場については、多くの専門家達も首を傾げています。

 

 

 

そのような中、昨今の相場の「おかしさ」の原因は、流動性供給(マネーのジャブジャブ)にあると言われています。

 

 

 

そして流動性供給(マネーのジャブジャブ)の中身をさらに掘り下げますと、昨今の相場の「おかしさ」の原因として、ロビンフッダー(米ロビンフット証券が提供する同名のスマホアプリだけで売買する人達、3950万人にも上る)の存在がたびたび指摘されています。

 

 

 

その大半は相場の素人なのですが、束になると無視できない投資集団です。

ロビンフッダーは「買うから上がる、上がるから買う」というマネーゲームを繰り返しています。

そして今なお、マネーゲームにいそしんでいます。

 

 

 

また日本でも、10万円の特別定額給付金や持続化給付金などを元手に、新たに投資を始める「給付金トレーダー」が急増していると言われています。

このような「給付金トレーダー」も、ロビンフッダーによく似た投資集団になります。

 

 

 

つまり昨今の相場は、流動性供給(マネーのジャブジャブ)があり、その上で急増する素人トレーダー達が「歪めている」と言われており、様々なニュース等では、ベテラン投資家達の以下のような声が紹介されていました。

 

 

 

 

 

・これまで日経平均株価には、24000円を上抜け出来ない厚い「壁」が存在していた。29年にもわたって守られていた「壁」が、あっという間に突破され、26000円を超えてしまった。「空売り」をやっているので、含み損を抱えた状態になっている。

 

 

 

・「世界中の航空会社が悲鳴を上げるなかで、航空業界がコロナ前の業績に戻ることはもう無いだろう」と、ほとんどの人が思っているはず。JAL(日本航空)が、グループ社員約500人をヤマトなど大手物流会社や自治体、教育機関などに派遣させているというニュースもある。それにもかかわらず「航空株」が急騰し続けているので、「空売り」のポジションが含み損を抱えてしまった。

 

 

 

・テスラの時価総額は、6月末の20兆円から2カ月後の8月末には約50兆円に急増した。生産台数30万台のテスラの時価総額が、生産台数1000万台のトヨタ自動車の2倍以上にまで膨らむなんて異常だ。このような「異常さ」によって、ポジションに含み損を抱えてしまっている。

 

 

 

 

 

さて上記のように、ベテラン投資家達の「目」から見ても、昨今の相場は「おかしい」わけです。

 

 

 

さらに、スーパーコンピュータによるHFT(超高速取引)の存在も、昨今の相場を「おかしく」している要因として挙げられます。

 

 

 

以下は、ゴールドマン・サックス等の大手金融機関が、他の機関投資家等に対して行っているHFT(超高速取引)の「営業トーク」です。

 

 

 

 

 

・トレーダーが決断を下すのに1秒、しかしHFT100万倍速のマイクロ秒で決断し、さらにその1000倍のナノ秒単位で発注します。

 

 

 

1ナノ秒の10億倍が1秒、1秒の10億倍は31年、秒の世界に置き換えると、人とHFTの差が分かると思います。

 

 

 

 

 

このような営業トークが実際に行われており、結果として、相場の世界ではHFT(超高速取引)が台頭し、余計に値動きを「おかしく」しているのです。

 

 

 

しかも、米ロビンフット証券は自社の顧客の注文情報をHFTに回し、HFTからリベートを受け取っているという構図まであるのです。

現在SEC(米国証券取引委員会)が、その詳細について調査をしていることが報じられています。

 

 

 

さてこのような全体像を考えますと、昨今の相場については、その背景は「滅茶苦茶だ」と言っても過言ではありません。

 

 

 

逆に言いますと、背景が「滅茶苦茶」だからこそ、相場が「おかしく」なっているわけです。

 

 

 

しかし昔から、素人の相場参戦が増えると「相場暴落」となるのが「歴史の常」です。

 

 

 

そして素人は一時的にうまくいっても継続的にうまくいくわけではなく、必ずと言っていいほど、どこかで足元をすくわれるものです。

 

 

 

したがって、私達投資家は「おかしいものは、おかしい」といった感性(相場観)を失うことなく、根気強く向き合うことが大事だと思います。

 

 

 

 

引き続き、頑張りましょう。