靴磨きの少年

 

 

 

「1929年、米国はまさにバブルの真最中だった。有力な政治家であり、投資家としても大成功をおさめていたジョセフ・ケネディは、あるときニューヨークの街角で靴磨きの少年に靴を磨かせていた。少年は目を輝かせて、あれこれと株式市場の話を熱心にする。ケネディは、その様子を見て不安に感じ、家に戻ると持ち株の売却の注文を出したのである。後世「暗黒の木曜日」として知られる世紀の大暴落が起きる直前のことだった。ケネディは、この大暴落を無傷で切り抜けたといわれている」

 

 

 

 

 

上記は、あるヤフーニュース記事の抜粋ですが、投資家達の間では広く知られている「靴磨きの少年との会話から、バブル崩壊を見抜いた」という話です。

 

普段株を買うことがないような人までが投資に関心をもち、始めようという状況は、相場が天井に近いのだという話です。

 

 

 

さて、「靴磨きの少年」ではありませんが、私の知人で、投資に関しては素人である知人が、最近私に以下のようなことを報告してきました。

 

 

 

 

 

『米国株投資を始めました。 儲かっています! 米国経済は明るいですね! 専門家が、ジャブついたお金が株式市場に回っている、と言っていました。 GAFAM(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル、マイクロソフト)が最高だとも言っていました』

 

 

 

 

 

私は「慎重に取り組んでくださいね」とのアドバイスにとどめましたが、その時、上記の「靴磨きの少年との会話から、バブル崩壊を見抜いた」という話が頭をよぎりました。

 

 

 

すると今度は先日、私は江守哲さん(住友商事、英国住友商事、外資系企業、三井物産子会社、投資顧問などを経て会社設立)の以下のような記事を目にしました。

 

 

 

 

 

【米国株にピークの兆し。著名投資家とファンドが逃げ出し、大衆がトレードを始めた=江守哲】

 

 

 

 

 

まさに記事の通り、今の米国株の実態は、著名投資家とファンドが売って、大衆が買っている、ということなのです。

 

 

 

また著名投資家といえば、世界3大投資家の一人であるジム・ロジャーズ氏も「一切の米国株を手放した」と語っています。

 

 

 

つまり、今の米国株は高値であるとプロ達は判断して売っており、それに対して「まだまだ上がる」と判断した大衆が買っている、という構図が浮かび上がってくるわけです。

 

 

 

では、プロ達はなぜ米国株が高値であると判断するのでしょうか?

 

 

 

それは、現在が「コロナ禍」にあるからです。

 

 

 

冒頭で述べた「暗黒の木曜日」は、192910月のニューヨーク株式市場での大暴落を指すのですが、これをきっかけに、世界は大恐慌へと突入しました。

 

 

 

現在はコロナ禍で、IMF(国際通貨基金)が「1929年の大恐慌以来で最悪の景気後退になる」と指摘するなど、この「大恐慌」という言葉がニュースなどで拡散し、しばしばコロナ禍と大恐慌が結び付けて語られています。

 

 

 

実際のところ、現時点では「大恐慌」とまではいかないかもしれませんが、「恐慌」を示す兆候であればいくつも見られます。

 

 

 

例えば、直近のニュースで「恐慌」を示す兆候として、米国だけでも以下のようなニュースがあります。

 

 

 

 

 

・コロナ禍で返済猶予の家賃支払い期限到来、9月までに2800万人がホームレスになる可能性

 

 

 

・米経済、コロナで長期的打撃のリスク=FRB(米連邦準備理事会)議長

 

 

 

・米経済に「濃い霧」、FRB(米連邦準備理事会)当局者が相次ぎ懸念表明

 

 

 

・米経済、コロナ禍からの回復に何年もかかる=NY連銀総裁

 

 

 

・米景気後退は長期化へ、「苦痛伴う」=フィラデルフィア連銀総裁

 

 

 

・米経済回復は長い道のり、ウイルス感染状況が左右=地区連銀総裁

 

 

 

・米経済、下期の方が困難な恐れ=ボストン連銀総裁

 

 

 

・新型コロナ:米経済、迫る「財政の崖」 航空業界に6万人削減圧力

 

 

 

・米経済に第2波の影 アップルが11店再閉鎖

 

 

 

 

 

さて、上記のニュース以外にも「恐慌」を示す兆候はたくさんありますが、冷静に考えてみましても、今はコロナ禍にあるわけです。

 

 

 

したがって、米国株が「まだまだ上がる」という判断は危険なのではないでしょうか?

 

 

 

前述のジム・ロジャーズ氏は「おそらく、株価は値下がりすることになる。50%60%70%、いやそれ以上だろう」と語っています。

 

 

 

もしも、このような株価暴落が現実になった時、為替も相当な円高になるとイメージしておいた方がいいと思います。

 

 

 

過去には、ドル円が75.32円を付けたり、ユーロ円が94.11円を付けたりしたことがありますので、このような展開が再び起こっても不思議ではないからです。

 

 

 

 

常に冷静さを維持しながら、取り組んでいきましょう。