投資と忍耐

 

世界3大投資家の一人であるジム・ロジャーズ氏が、前作「ジム・ロジャーズ 大予測: 激変する世界の見方」(東洋経済新報社)に次いで、新刊本「危機の時代 伝説の投資家が語る経済とマネーの未来」(日経BP)を出しました。

 

そしてその中で、以下のようなことを語っていました。

 

 

 

 

 

【危機の時こそ、辛抱強さが問われる。ぜひ覚えておいてほしい。最も重要な言葉は「忍耐」だと。世界は成功していない賢い人々であふれている。世界は成功していない才能あふれる人々だらけだ。世界は成功していない美しい人々がたくさんいる。世界には、成功していない人がたくさんいる一方で、成功している人は決してあきらめない人だ。ハーバード大学、プリンストン大学、イエール大学といった名門大学を卒業しているかどうかは重要ではない。辛抱できるかどうかが大事で、それができる人たちが人生において成功している。】

 

 

 

 

 

さて相場においては、今はコロナ禍という「危機」における相場となっていますが、最近の相場には以下のような特徴が見られます。

 

 

 

 

 

・経済が極めて悪いのに株価が上昇している。

 

 

 

・株価に為替が翻弄されている。そして、まるで固定相場制のように極めて小さな値動きが続いている。

 

 

 

・株価の上昇等によって、金や銀の上昇が抑制されている。

 

 

 

 

 

上記のような特徴があるのが今の相場です。

 

したがって、プロの投資家で、今の相場を「まともだ」と思っている人は皆無だと思いますが、だからこそ、ジム・ロジャーズ氏の言うように「忍耐」が最も重要だと思います。

 

 

 

なぜならば、相場をまともに「分析」し、まともに「勝負」しても、相場が「まともでない」以上、忍耐が無ければ成功は難しいからです。

 

 

 

ちなみに上記の新刊本で、ジム・ロジャーズ氏は他にも以下のようなことを語っていました。

 

 

 

 

 

・(今後)人生で最悪の危機が来る。今回の(コロナ)危機が、過去とは違うというようなことは決してない。歴史は繰り返すからだ。リーマン・ショック後の12年間、世界中で株価が上昇していた。歴史的にも、1012年も株価が上がり続けるというのは極めて異例と言える。株価があまりに長期にわたって上がりすぎたら、やがて下がるのは必然だ。

 

 

 

・絶望ばかりしていても仕方がない。日本語の「危機」という漢字は、「危険」と「機会」の両方を意味する。つまりこの危機はチャンスでもある。

 

 

 

・破滅のトリガー(引き金)の1つになることが懸念されているのはドイツ銀行だ。すでに危機に直面しており、信用不安が高まっている。かつてのリーマン・ショックが象徴するように、1つの金融機関の破綻が引き金になって、世界中の多くの人々の生活が激変することが本当にある。

 

 

 

・私も以前から金と銀を所有しており、しばらく前に少し買い増した。金や銀が下落するタイミングがあれば、もっと買い増すだろう。すべての危機において、金と銀の価格はいったん下がったとしても、すぐに上がるからだ。

 

 

 

・私は金と銀、そしてたくさんの米ドルを所有している。それは健全だからではなく、多くの人がそれを健全だと思うからだ。人々は、危機の際に、英ポンドやユーロなどの他通貨に比べて、米ドルが優れていると思うものだ。実際はそうでなくても、そのように考えて行動する。

 

 

 

・欧州大陸の多くの国の政治家たちは、英国と同じような道を選ぼうとするだろう。なぜなら、ブレグジット(イギリスのEU離脱)が成功したからだ。イタリア、フランス、ドイツなど、さまざまな国で「EUから離脱しよう」と叫ぶ政治家はたくさんいる。そう唱えることで票を得ることができるなら、政治家がEU離脱を公約に掲げるのは当然だ。今後、EUから脱退する国が増えていく可能性がある。

 

 

 

 

 

さて、上記のようなことを語っていましたが、ジム・ロジャーズ氏はEUの将来について懸念していることが分かります。

 

 

 

そのような中、もう一人の世界3大投資家のジョージ・ソロス氏も、EUの将来について懸念しており、最近ロイター通信が【新型コロナ危機でEU存続の危機、ソロス氏が警告】と報じていました。

 

 

 

ところが、最近の相場においては、そのようなEUの通貨「ユーロ」が、「円」よりも「ドル」よりも、その他多くの通貨よりも積極的に買われており、ユーロ高の展開が続いています。

 

 

 

このこと一つとっても、最近の相場は「まともでない」と思います。

 

 

 

だからこそ、繰り返しますが、ジム・ロジャーズ氏の言うように「忍耐」が重要です。

 

 

 

ジム・ロジャーズ氏は「危機の本番が迫っている」と言っていました。

 

 

 

何がトリガー(引き金)になるか分かりませんが、それは「ドイツ銀行」かもしれませんし、中国かもしれません。

 

 

 

中国は新型コロナウイルスによる感染拡大を抑え込み、経済の正常化に動き出したと報じられていますが、失業者が全土に13000万人もいると言われています。

 

 

 

そのような中で、再び米中の対立が激化しています。

 

 

 

さらに、【新型コロナを巡り、8カ国(アメリカ、イギリス、イタリア、ドイツ、オーストラリア、エジプト、インド、ナイジェリア)が中国政府に1京円超の賠償請求】といった報道まであります。

 

 

 

今後、中国が「何事も無く・・・」とはいかないでしょう。

 

 

 

アメリカもデモの暴徒化をはじめ、懸念材料が山積みです。

 

 

 

このような全体像を意識して、取り組むことが大事だと思います。

 

 

 

「有事の円」「有事のドル」「有事の金」「有事の銀」を意識して、忍耐を持って頑張りましょう。