金・銀の上昇

昔は「金本位制」と言って、金が通貨でした。

 

そして各国の通貨に価値があるのは、金と交換できるからという理屈でした。

 

逆に言いますと、各国が保有する金に見合う量以上には通貨を勝手に発行できない仕組みでした。

 

 

それゆえ、金は「通貨の王様」や「無国籍通貨」と言われていました。

 

 

かつてのFRB(米連邦準備理事会)議長、グリーンスパン氏は以下のような発言をしています。

 

 

 

・金は究極の支払い手段だ。

 

 

・金価格上昇は、世界の通貨市場に問題ありというシグナルである。

 

 

・金は炭鉱のカナリア(何らかの危険が迫っていることを知らせてくれる前兆)みたいなものだから、目が離せない。

 

 

 

そんな元FRB(米連邦準備理事会)議長のグリーンスパン氏ですが、一席10万ドルは下らないと言われる講演料をどの通貨で振り込みましょうか、と主催者事務局に聞かれた際に「金(Gold)」と答えたという有名なエピソードがあります。

 

 

アメリカ経済の表も裏も知り尽くしているグリーンスパン氏の発言ですから、やはり「金」は重要なのだと考えられます。

 

 

 

同様に、「銀」も重要です。

 

歴史を振り返りますと、アメリカでは1834年まで「銀本位制」が続きましたし、清ならびに1935年までの中華民国も「銀本位制」でした。

 

そして19世紀、ヨーロッパ諸国の多くは「金銀複本位制」を採用していました。

 

 

このように、「金」と「銀」には上記のような背景があるのですが、最近どちらも、じりじりと上昇してきています。

 

 

そのような中、先日、世界3大投資家の一人であるジム・ロジャーズ氏の新刊本「ジム・ロジャーズ 大予測: 激変する世界の見方」(東洋経済新報社)が発売されました。

 

 

新刊本には、以下のような事が書かれていました。

 

 

 

・これまでアメリカの株価はまったく下がらず、10年以上、連続で上昇し続けてきた。これは未だかつて起きたことがない現象だ。

 

 

・(今回のコロナ危機の)死亡者数を見れば、(中世末期の欧州の)ペストとは比較の対象にならない。ペストは当時の欧州の人口の3分の1、国によっては8割以上の人が亡くなっている。(中略)もちろんメディアは、ペスト再来だと、そう思ってほしいだろう。なぜならセンセーショナルに書けば新聞も売れるし、ネットのアクセス回数も増えるからだ。

 

 

・世界の中央銀行は、足並みを揃え、これまで世界史上最も大量のお金を刷ってきたにもかかわらず、今回の(コロナ危機)騒動でさらなる量的緩和を発表してさらに大量のお金をバラまこうとしている。日銀は以前より国債やETFを購入してきた。このままいけば、日銀が日本株の最大の株主になるという。こんなことが中央銀行の役割だろうか。中央銀行は狂気に拍車がかかっていると言わざるをえない。

 

 

・簡単に言えば、一番やられたものを買うべきだ。株以外に急落した資産では、銀価格が数年ぶりの安値を更新している。

 

 

・私は米ドルを大量に持っているが、それを売る必要はまったくないと思っている。その理由は、本当に安全な通貨を求める時に一番安全な通貨が米ドルだと思っているからだ。

 

 

・現金を持つにしても、間違えた通貨を持ってはいけない。そして、現金以外にも金や銀も買うべきだ。直近では、銀価格が金より落ち込んでいるので、どちらかを選べと言われたら私は銀を選ぶ。

 

 

・政府も民間も現在ほど、多額の債務を抱えた時代はない。債務は成長の機会を奪うのだ。欧米も日本も新興国も多額の債務を抱えている。まさしく歴史上初の異常事態と言ってよい。

 

 

・私はもう8年間、金や銀には投資していなかったが、ここ最近また、それらへの投資を始めている。さらに、金や銀が下がる展開になれば、ここは惜しみなく買おうと思っている。

 

 

・不安の時代には金や銀に投資するのが正しい。私はもっと多くの人が金や銀に投資すべきだと思っている。私は、そう遠くない未来に、金や銀が大きな利益を生むと見ている。なぜなら歴史を振り返ると、人々が政府に対して信頼を無くしたとき、金や銀の価格は急騰しているからだ。

 

 

 

上記のように、グリーンスパン氏と同様、ジム・ロジャーズ氏も金に強気であり、また銀により強気です。

 

 

ところで、「円」はどうでしょうか?

 

 

最近、ロイター通信にJPモルガン・チェース銀行の佐々木融氏の「中長期は円高・超長期は円安」という見解が出ていました。

 

 

実は、ジム・ロジャーズ氏も「円高を支持している人達が大勢いる」ことは認めつつ、超長期では円安との考えです。(通貨安が浸透するには何十年もかかると言っています)

 

 

ちなみに、国債においては「短期」「中期」「長期」の期間が明確に定義されており、償還期間1年以下の国債を「短期」、1年超5年以下を「中期」、5年超10年以下を「長期」、10年超を「超長期」と呼びます。

 

 

したがって、「円」についても、この先10年以内は円高目線で、10年超になってくると円安目線でみておくといいのかもしれません。

 

 

いずれにせよ、昔から言われているように、この先もしばらく「有事の金」「有事の銀」「有事のドル」「有事の円」が健在だと思います。

 

 

引き続き頑張りましょう。