しっぺ返し

「日経商品指数42種」というものがあります。

 

日本経済新聞社が開発した商品価格指数で、1975年から掲載されています。

 

「日経商品指数42種」は、景気動向を占う指標として注目されているのですが、これが現在は11カ月連続で下落を続けています。

 

これを受け、世界景気が減速する中、内需の停滞感が台頭していると言われています。

 

 

一方、「日経消費DI」というものもあります。

 

これも日本経済新聞社が四半期毎にまとめる景気指標で、1995年からスタートしています。

 

「日経消費DI」は、日本の消費関連企業の景況感を示すと共に、日本の消費者の支出意欲を示すものとして注目されているのですが、これも現在は6四半期連続でマイナス圏となっています。

 

消費の先行きに不安を持つ企業が増え、個人消費の先行き不透明感は増していると言われています。

 

 

このような中、少し前に「10月国内新車販売台数」が発表されました。

 

なんと結果は「過去最低」で、前年同月比で25%減少と発表されました。

 

 

さらに、最近「大手百貨店売り上げ」も発表されましたが、こちらも前年同月比で20%減少と発表されました。

 

 

そして「税収」です。

 

財務省が11月1日に発表した2019年度上半期の税収は、前年同月比で4.6%の減少となっていました。

 

 

これらのことをきちんと踏まえた上で「どうなのか?」と考えるべきではないかと思うのですが、先週、日経平均株価は4日続伸し、連日の年初来高値を更新しました。

 

 

私達投資家はここで一度立ち止まって、「これがまともな相場と言えるのか?」ということを考える必要があると思います。

 

 

一方、米国株においても、先週はダウ平均、S&P500、ナスダック総合共に、3指数がそろって過去最高値を更新しました。

 

その理由としては、「米中貿易交渉進展期待で」と報じられています。

 

 

ところが、これとほぼ同時に【トランプ、対中関税撤回報道に「何も合意せず」】などと報道されています。

 

しかも少し前には、【中国、米に報復関税を発動へ】と報じられたところです。

 

 

「米中貿易交渉は上手くいっているのか? 上手くいっていないのか? いったいどちらなのか?」という話になってくると思いますが、少し「トランプ発言」を振り返ってみましても、以下のようにコロコロ変化しています。

 

 

 

「32兆円相当の中国製品に10%の追加関税を課す。9月1日に発動する」

 

 

「制裁関税について、特定品目の発動を12月15日に先送りする。先送りするのは、クリスマスシーズンのためにやる」

 

 

「中国には何十年もの間に何兆ドルもバカみたいに搾取されている」「我々は、中国は要らない」

 

 

「これまでにないほど中国とは上手くいっている」「中国との交渉をまとめてヒーローになるかもしれない」

 

 

「中国は多少の関税撤廃を求めているが、全てではない。なぜなら、私がそうしないことを分かっているからだ。私は何も合意していない」

 

 

 

「トランプ発言」は上記のように、コロコロ変わっています。

 

これほど「トランプ発言」がコロコロ変わっているのに、「本当に米中貿易交渉が上手くいっているのか?」と、私達投資家は考える必要があると思います。

 

 

なぜなら、これが現在の株価上昇の理由とされているからです。

 

 

しかし先週のコラムでもお伝えしましたが、「私たちの見えないところで、米と中の間では、生きるか死ぬかの激しい闘いをやっている」というのが真相で、この問題については「油断禁物」が正解だと思います。

 

 

一方で、先週アメリカ格付け会社のムーディーズは、イギリスの格付け見通しを「安定的」から「ネガティブ」に変更しました。

 

さらにイギリスの自動車生産も8年ぶりの低水準で、EU離脱がなお懸念になっていると報じられています。

 

 

欧州についても、ドイツ銀行の危機が囁かれる中、リーマン・ブラザーズ倒産直前の株価の値動きと、近年のドイツ銀行の株価の値動きが酷似していると指摘されています。

 

 

現在は、このような背景があるにも関わらず、連日の株高が続いているわけなのです。

 

さらに、「株高だから円安なのだ」といった説明までもがなされているような状況です。

 

本当に、このような株高、円安が「まともだ」と言えるのでしょうか?

 

 

しかし、このような株高、円安が「まともでない」と考えるならば、今後必ず「しっぺ返し」がくると考えられます。

 

 

米国株は「過去最高値」で、日本株は「年初来高値」ということは、その「しっぺ返し」は急激な株安となります。

 

また、これまで正当化されてきた「円安」は、その「しっぺ返し」は急激な「円高」となります。

 

 

「まともか」「まもとでないか」を考えたら、その答えは明らかだと思います。

 

 

したがって、「しっぺ返し」はいつきてもおかしくない、そう考えて、急激な株安や円高を想定しておくのが賢明だと思います。

 

 

引き続き頑張りましょう。