強烈な違和感

【重要】

 

英国とEUの離脱協定案合意に関する英国議会での採決を10/19(土)に控え、今後の報道や採決結果次第では今週末から週明けにかけ為替相場急変動、また週明け(10/21)オープンレートが前週末クローズに対し大きく乖離する可能性があります。

 

 

 

先週、FX会社からは上記のような注意喚起がなされ、今朝は「大荒れ必至」だと思われていました。

 

 

この数週間は、【イギリスのEU離脱協議が進展か、合意に期待も】と報道されていたことなどが要因となって、リスクオン(株高、円安、ドル安)が続いていたわけですが、それが10月19日(土)に、イギリス議会がEU離脱協定案の採決を見送ったからです。

 

 

しかも、つい先日【フランスのマクロン大統領が、イギリスのEU離脱の再延期を認めない】と報道されていたところでしたので、なおさら今朝は「大荒れ必至」だと思われていました。

 

 

ところが、今朝の相場は「たいして動いていない」という結果です。

 

なんとも「奇妙」な感じがします。

 

 

さて、ラスベガス銃乱射事件を覚えているでしょうか?

 

 

2年前に起こった事件で、アメリカ史上最悪の銃乱射事件です。

 

この事件では、犯人がミュージックフェスティバル会場に向け自動式の銃を数千発発砲し、58人が死亡、546人が負傷しました。

 

 

ちなみに、この時の相場なのですが、銃規制法がより厳しくなるとの見方から「その前に銃を買っておこう」という動きが予想され、「それならば銃器の売り上げが伸びるだろう」ということになり、銃器関連株が大幅上昇となりました。

 

 

そしてなんと、米国株式市場ではダウが過去最高値を更新したのです。

 

 

つまり、アメリカ史上最悪の銃乱射事件が起きたにも関わらず、相場は銃器関連株の大幅上昇、ダウの過去最高値更新という展開になったわけです。

 

 

私は当時、このような相場展開に「強烈な違和感」を感じたのですが、実は同じくらい「強烈な違和感」を今の相場にも感じています。

 

 

先週、日経平均株価は年初来高値を更新し、米国株も過去最高値に接近しました。

 

為替も「リスクオン」で、「円」が売られ、「ドル」が売られる展開が続いています。

 

 

そのような中、私がなぜ今の相場に「強烈な違和感」を感じるのか、その「理由」を以下に挙げてみたいと思います。

 

 

 

・リーマン・ショックのきっかけとなった証券化商品(サブプライム住宅ローンを証券化など)が現在も当時と匹敵する規模になってきており、BIS(国際決済銀行)が「金融危機前夜に匹敵」と警告している

 

 

・世界の製造業の投資意欲を反映する「工作機械受注」が前年比で31%減になっている

 

 

・中国の「対米輸出」が前年比で22%減になっている

 

 

・「世界の9割で景気減速」と、IMF(国際通貨基金)のチーフエコノミストが警鐘を鳴らしている

 

 

・先週開催されたG20(主要20か国の財務相・中央銀行総裁会議)では、「景気下振れリスクへの危機感」が共有された

 

 

 

上記のような理由から、今の相場に「強烈な違和感」を感じているわけです。

 

また他にも、列挙すればキリがないほど、世界は様々な「懸念材料」で溢れています。

 

 

一方で今の相場展開については、報道では「米中が貿易交渉に関して、部分合意をしたことを好感」などと説明されていました。

 

ただし、あくまでも「部分合意」であり、これ以上の追加関税を見送るというだけのことです。

 

現在、世界に広がっている様々な「懸念材料」を払拭するほどのニュースではないのです。

 

 

したがって、専門家の間でも私と同様の見方をする人達がいて、例えば以下のような報道もあります。

 

 

 

・米中貿易休戦に惑わされるな、モルガン・スタンレーが株強気派に警告

 

 

・「根拠なき株価上昇」を正当化するヤバイ市場

 

 

 

上記の報道では、「今の株価の堅調さは暗闇の中を崖に向かって歩いているようなもので、崖から落ちて、はじめて現実に気が付く」といったニュアンスのことを伝えています。

 

 

何よりもやはり「おかしい」ものは「おかしい」わけであって、今感じているような「強烈な違和感」を無視しない方がいいと私は思っています。

 

 

そして「強烈な違和感」に従うのであれば、先週のコラムでもお伝えしたように、近いうちに、今の「リスクオン」とは逆の「リスクオフ」、つまり株が売られ、「円」「金・銀」「ドル」が買われる展開が必ずやってくると思います。

 

 

この先は、特に慎重になって取り組んでいきましょう。