「JPモルガン・チェース」「UBSグループ」「バークレイズ」「シティグループ」「ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド・グループ」など欧米の5銀行が集団訴訟を起こされました。
集団訴訟を起こした原告側は、年金基金、資産運用会社、ヘッジファンド、および企業などです。
上記の5銀行が外国為替市場を不正操作し、そのせいで損失を被った、という内容です。
原告側は1330億円超の支払いを求めています。
しかし、訴訟の決着までには3~5年かかりそうだということです。
このような「不正操作」は腹立たしいことだと思いますが、「どう考えてもインチキでしょう?」「どう考えても不正操作でしょう?」と思うような値動きが、相場の世界では「しばしば」あります。
特にトランプ大統領誕生以降の相場が酷いと言われており、私はトランプ大統領誕生以降の「最高値」と「最安値」を常にチェックしながらやっているのですが、例を挙げますと、ユーロ円の最高値(1ユーロ=137.50円)やポンドドルの最高値(1ポンド=1.4377ドル)など、未だに「意味不明」と思うことがたくさんあります。
これらも間違いなく「外国為替市場の不正操作」の結果だと思っています。
そのような中、相場の世界では、よく損切りの重要性が説かれますが、これは相場不正操作など「インチキ」をしている側を利する行為でもあるので、私は「違うのではないか?」と思っています。
逆にこれまでのコラムでも何度か紹介させていただいたことがありますが、「エンダウメント投資戦略」の考え方が正解だと思っています。
「エンダウメント投資戦略」(東洋経済新報社)は書籍であり、「エンダウメント」とは財団や基金を意味します。
「米国屈指の名門ハーバード大学やイェール大学は、実は世界でもっとも先進的な機関投資家だった!」ということが書籍では説明されており、これら名門大学の財団、基金の運用戦略が「時間を味方につけて勝つ」です。
金融機関等で働くプロのトレーダー達は、決算期などの期限や時間の関係で「やむを得ず」損切りに追い込まれることがありますが、エンダウメント(名門大学の財団、基金)は彼らが損切りに追い込まれるシーンで機械的に逆張りをし、「時間を味方につけて」勝っているのです。
前述のように、損切りは相場不正操作など「インチキ」をしている側を利する行為でもあるので、やはり耐えるところは耐え、「時間を味方につけて勝つ」戦略の方が良いと思います。
また、近年はAIが台頭しています。
4月のコラムでもお伝えしましたが、これまで散々AIを駆使してきた投資家の多くが「AI競争はキリがない」ということで、「AIに勝つにはAIを無視する」という結論に達し、原点回帰に至っているようです。
原点回帰とは、例えば為替の場合ですと、国の経済状態がどうなのか、国家を取り巻く環境がどうなのか、といったような「ファンダメンタルズ」にしっかり向き合う基本に戻ろうということです。
そういう意味では、やはり「ニュース」は重要で、様々なニュースから「相場がどうなりそうなのか」といった「相場の雰囲気」のようなものを汲み取っていく努力が大事だと思います。
そのような中で、私が個人的に気になっているニュースをいくつか挙げてみたいと思います。
・ボリス・ジョンソン氏がイギリスの首相に就任し、「10月31日にEUを離脱する」と宣言
・トランプ大統領が日米安全保障条約の「見直し・破棄」を発言
・イスラエルがイラクの首都バグダット近くのイラン軍基地を空爆
・ドイツ企業の景況感見通しが過去10年間で最悪に落ち込んだ
・ドイツ銀行の顧客が1日あたり1070億円前後の資金を引き出し、他行へ移している
・ドイツ銀行がスタッフ解雇後の顧客データ漏洩の可能性で調査
・EUが、もしアメリカが自動車関税を課すなら、報復関税は2倍弱の規模にすると表明
・トランプ大統領が「32兆円相当の中国製品に10%の追加関税を課す。9月1日に発動する」と表明
・香港で過激化しつつある反政府デモに対して、人民解放軍を動員するとの噂が流れる
上記のニュースについて考えてみましても、やはり今の世界は非常に「不安定」だと思います。
何かとんでもないことが起こりそうな雰囲気が漂っていると思います。
そうしますと、想定すべきは「有事」であり、選択すべきは「有事の円」や「有事の金」になってくると思います。
実際、先週は米国株が週間ベースで今年最大の下げとなる中、円や金が急騰しました。
そして、この「円高基調」や「金高基調」はしばらく続くように思います。
今後もこのようなイメージを持ちながらやるのが良いと思います。
引き続き頑張っていきましょう。