新たなステージ

 

・時代は新たなステージに入ってきた

 

・マインドセット(考え方の枠組み)を変える必要がある

 

 

 

上記のようなニュアンスのことを、「ヘッジファンドの帝王」と呼ばれるレイ・ダリオ氏が語りました。

 

 

 

レイ・ダリオ氏の発言がNY株価を動かす事例も少なくなく、投資家から最も注目される人物の一人です。

 

 

 

ちなみに最近出版された著書「PRINCIPLES(プリンシプルズ) 人生と仕事の原則」(レイ・ダリオ著、日本経済新聞出版社)は、全世界で100万部を突破し、非常に高い評価を受けています。

 

 

 

そして、そのようなレイ・ダリオ氏が「新たな時代の対応策は金投資に限る」「金投資はリスクを減らすことに役立ち、リターンを向上させることにも役立つと確信している」と述べたため、1400ドル付近で推移していた金価格が1420ドル台まで上昇してきました。

 

 

 

しかし、今回は「金」以上に「銀」が上昇しました。

 

一時93台後半まで上昇していた「金銀レシオ(金価格÷銀価格)」も、「金」以上に「銀」が上昇した結果、現在は87台となっています。

 

 

 

ある意味「当然」という値動きがようやく起こった、という感じです。

 

 

 

これまでのコラムでも繰り返し述べてきましたが、「銀」は6年連続で需要が供給を上回っていたにも関わらず、6年間下落し続けていました。

 

そのため、方々から「銀価格操作という凶悪犯罪が行われている」といった声が上がっていました。

 

私も「これは間違いなく凶悪犯罪だ」と確信していました。

 

 

 

したがって、今回はようやく「少しまともな値動きが起こった」という感じなのです。

 

 

 

しかしそれでも、リーマン・ショックの時でさえ「金銀レシオ」のピークは84ですので、依然として現状の87台も「異常事態」と言えます。

 

そして「金銀レシオ」は、「80を超えたら危険シグナル」として広く知られていますので、依然として「いつ何時何が起こってもおかしくない」と考えるべきなのです。

 

 

 

さて「金」といえば、私には一つの「思い出」があります。

 

9.11同時多発テロです。

 

当時私は金融機関に勤めていましたが、株式、為替、コモディティ(商品)など、金融市場は大混乱に陥っていました。

 

しかもNY証券取引所に至っては、なんと4日間も取引が停止になり、騒然としたものです。

 

さらにその時の「金」の売買が尋常ではなくて、社内も一日中大忙しだったことを覚えています。

 

私は「有事の金」をこの時に心底実感しましたし、これらの事は今でも鮮明に思い出すことができます。

 

 

 

したがって、今回のレイ・ダリオ氏の発言をきっかけに、再び「金」や「銀」に大きな注目が集まってくる可能性があると思っています。

 

投資先としても面白いと思います。

 

 

 

一方で、為替市場については「お休み状態」と言われるほど、動いていない状態が続いています。

 

 

 

しかし今月初めのコラムでもお伝えしましたが、リーマン・ショックの時で「金銀レシオ」のピークは84で、その後「金」以上に「銀」が急騰していき、約2年半かけて、「金銀レシオ」は31となりました。

 

この時、「銀」は現在の価格の3倍まで上昇し、「49.81ドル」を付けています。

 

そして、「銀」が「49.81ドル」を付けた同時期の為替については、例えばドル円だと「1ドル=81.02円」を付けています。

 

したがって、「歴史は繰り返す」と考えますと、今後は「銀」の急上昇に着目し、「銀」が急上昇してきたら、今度は同時に急激な円高が進行していくことを想定しておくのが良いと思います。

 

 

 

さらに「ニュース」の側面からも、円高が予想されると思います。

 

 

 

「ドイツ銀行破綻でリーマン級の金融危機が全世界を襲う可能性」「ドイツ銀行、最大2万人削減へ」と報じられていますが、ドイツ銀行は「中国、中東、南米、アフリカ」に対して特に積極的に融資を伸ばしていたことが知られています。

 

したがって、ドイツ銀行がこの先破綻するようなことがあれば、それこそ全世界に破綻の連鎖が起こります。

 

 

 

また、これも先月のコラムでお伝えしましたが、アメリカは、ドイツがロシア産原油をバルト海経由のパイプラインで輸送するノルドストリーム2プロジェクトを進めていることについて、制裁を発動する構えだと報じられています。

 

ドイツに対し、エネルギーでロシアに依存しないよう警告したということです。

 

 

 

そのような中、ドイツはアメリカ製の最新鋭ステルス戦闘機F35の採用を見送りましたし、アメリカのシリアへの地上軍派遣要求に対しても拒否しました。

 

 

 

これらのことから、アメリカとドイツの関係は悪化していると考えられます。

 

 

 

さて、ここで世界のGDP(国内総生産)ランキングに注目してみたいと思います。

 

 

 

1位: アメリカ

 

2位: 中国

 

3位: 日本

 

4位: ドイツ

 

 

 

 

 

つまり現在の世界は分かりやすく言いますと、「GDP1位のアメリカとGDP2位の中国」が喧嘩し、「GDP1位のアメリカとGDP4位のドイツ」が喧嘩している、という事なのです。

 

世界に、そして相場にも影響が無いはずがありません。

 

 

 

したがって、「有事の金」と同様に「有事の円」も昔から言われていますが、この先は「円高」に備えておくことが賢明であると思います。

 

 

 

このようなイメージを持ちながら、引き続き頑張っていきましょう。