リブラ

 

仮に「1ドル=100.18円」のドル円が「1週間」で「1ドル=149.71円」まで上昇し、その後わずか「1時間」で「1ドル=129.89円」まで下落したとしたら、どう思うでしょうか?

 

 

 

これは先週、実際にビットコインで起こった値動きで、「1BTC100.18万円」が「1週間」で「1BTC149.71万円」まで上昇し、その後わずか「1時間」で「1BTC=129.89万円」まで下落しました。

 

しかも厳密に言いますと、「1時間」の内の「約20分間」での急激な下落となったのでした。

 

 

 

しかし、ビットコインにおいては、このような値動きは「レアケース」ではなく「しばしば」ある値動きです。

 

 

 

「ビットコインの売買は95%が偽装」と、少し前に日本経済新聞やウォールストリート・ジャーナル等で報じられましたが、この報道の少し後に、今度は「ソフトバンクグループの孫正義氏がビットコインで145億円損失した」という報道が流れました。

 

 

 

このように、ビットコインの値動きについての「偽装」が疑われているわけですが、最近になって急上昇してきた背景には、フェイスブック社が仮想通貨「リブラ」の創設を発表したことが関係していると思います。

 

ちなみに「リブラ」は来年からスタートするようです。

 

 

 

ビットコインについては上記のような値動きを見ても分かると思いますが、仮にビットコインが「為替(通貨)」だったとしたら、異様に不安定で使い物になりません。

 

 

 

ところが、フェイスブック社が創設を発表した仮想通貨「リブラ」は、現在の「為替(通貨)」に近いものになるようです。

 

しかし来年以降「リブラ」が順調に展開していくかというと、早速「規制当局や銀行が警戒」と報じられており、紆余曲折があるのではないかと思います。

 

 

 

その一方で、フェイスブック社が仮想通貨「リブラ」の創設を発表したあたりから、ビットコインだけでなく、「金」も急上昇してきました。

 

5月のコラムでもお伝えしましたが、現在、世界の中央銀行はこぞって「金」を買っています。

 

さらにその「買い」の規模は、1971年の「ニクソン・ショック」以来の最高水準に達しています。

 

どうも何かしらの「有事」に備えて「金」を買っているようです。

 

 

 

したがって、これまで「金」が上がってこなかった方が逆に「おかしかった」と言えますが、この背景には、アメリカ政府による「命綱のドルを防衛する」という目的のために、ドルのライバルとなり得る「金」を下落させたい、という思惑が絡んでいたと思います。

 

 

 

ところが「遂に」というか、約6年ぶりに「金」が1400ドルを突破したのです。

 

おそらく、仮想通貨「リブラ」の創設が発表されたことで、市場に将来の「有事」や「ドルの代替」を想像させ、「金」の「買い」に勢いがついたのではないかと思います。

 

 

 

一方で「銀」も上昇してきましたが、感覚的には「金」の上昇が「10」だとすると「銀」の上昇は「12」となっています。

 

この理由は、アメリカ政府やJPモルガン等による、「金」そのものを価格操作で下落させるよりも、「金」よりも圧倒的に割安である「銀」を下落させる方が簡単で、「銀」を下落させれば「銀」につられて「金」も下がってくるだろうという「命綱のドルを防衛する」ための「売り抵抗」がまだ続いているからだと思います。

 

 

 

結果として、「80を超えたら危険シグナル」として知られる「金銀レシオ(金価格÷銀価格)」は現在、歴史的な高水準である「91台」まで上昇してきています。

 

「明らかな危険シグナル」を発していると言えます。

 

 

 

ここで話を時系列で整理しますと、以下のようになります。

 

 

 

 

 

1、 世界の中央銀行はこぞって「金」を買っており、さらにその「買い」の規模は、1971年の「ニクソン・ショック」以来の最高水準に達している。どうも何かしらの「有事」に備えて「金」を買っているようだ。

 

 

 

2、 フェイスブック社が仮想通貨「リブラ」の創設を発表した。

 

 

 

3、 ビットコインが急上昇し、「金」も急上昇した。「金」は約6年ぶりに1400ドルを突破した。将来の「有事」や「ドルの代替」が意識されたのではないか。

 

 

 

4、 「金銀レシオ」が歴史的な高水準である「91台」まで上昇してきた。

 

 

 

 

 

ちなみに4については、リーマン・ショックの時で「金銀レシオ」のピークは「84」で、その後「金」以上に「銀」が急騰していき、約2年半かけて、「金銀レシオ」は「31」となりました。

 

この時、「銀」は現在の価格の3倍以上まで上昇し、49.81ドル」を付けました。

 

 

 

そして、「銀」が「49.81ドル」を付けた同時期の為替については、例えばドル円だと「1ドル=81.02円」を付けています。

 

 

 

したがって、「歴史は繰り返す」ならば、今後は「銀」の急上昇に着目し、「銀」が急上昇してきたら、今度は同時に急激な円高が進行していくことを想定しておくのが良いと思います。

 

 

 

最近の相場はいわゆる「変な値動き」が続いており、特に最近の為替相場は値動きが非常に小さかったため、ロイターでは「外為市場、異例のボラ低下は嵐の前の静けさか」と報じられています。

 

 

 

そのような中、直近では先週末のG20に注目が集まり、トランプ大統領は「対中追加関税は先送り」と述べました。

 

 

 

しかし一方では、海外勢の日本株保有比率がアベノミクス前まで急低下したというニュース、軍事企業ランキング世界1位のロッキード・マーティン社が「治安上の脅威」を理由に、イラクに駐在しているスタッフ全員の即時撤収を決定したというニュース、そしてアメリカ軍がイランに対応するために、カタールへF22機を配備したとのニュースも入っています。

 

 

 

したがって、そろそろ何かが起こるかもしれないと考えるべきではないかと思います。

 

 

 

慎重に、そして根気強く取り組んでいきましょう。