為替は2国間(2通貨間)の相対的な関係によって変動します。
ドル円ならアメリカと日本、ユーロ円なら欧州と日本、ユーロドルなら欧州とアメリカ・・・といったように、2国間(2通貨間)の相対的な関係によって変動します。
ところがトランプ大統領が誕生して以降、首を傾げたくなるような値動きが非常に増えています。
米中摩擦のような他の国々との間で頻繁に起こる摩擦、いつ何時何を言い出すか分からないため油断ができない、といったことも要因として考えられますが、AIの台頭も要因だと思います。
そしてAIの台頭に関しては、参考となる1冊の本があります。
「全米ベストセラー! ついに日本上陸!」ということで、最近発売された「グーグルが消える日 Life after Google」(SBクリエイティブ)という本です。
本著は「今後、インターネットの世界はどのように変わるのか?」という視点で書かれているのですが、現在の「相場関連」の問題点についても言及されていました。
著者のジョージ・ギルダー氏は1993年に現在のような携帯電話(スマホ)の登場を予言し、スティーブ・ジョブズ氏にも大きな影響を与えたと言われる人物です。
リサーチ力と鋭い分析力に定評がある人物です。
本著で指摘されていた「相場関連」の問題点について要約しますと、以下のようになります。
・ゴールドマン・サックスは膨大な数のコンピュータを光ファイバーで繋ぎ、光速の取引で利ザヤを稼いでいる。10億分の1秒単位の手品のような取引では、中身(ニュース等のファンダメンタルズ)が考慮されていない。
・ヘッジファンドの「ルネッサンス・テクノロジーズ」の運用成績が他を圧倒している。その戦略を支えているのは、年中無休の何テラバイト(2の40乗バイト、何千ギガバイト)ものデータ処理。そして、ほんのわずかな利ザヤに繋がる取引を1日に1000回行っている。「ルネッサンス・テクノロジーズ」は外国為替市場で活発な取引を行っている。
・2017年に、カルフォルニア州アシロマに「グーグルの世界」を主導する経営者や研究者が密かに集まったが、彼らは強大な影響力を持つようになったコンピュータテクノロジーや最新のAIが、もはや人類にとっては「脅威」にほかならないと認識していた。
上記のような指摘がなされ、まともに頭を使って投資判断をしている「人間の」投資家達を不利に導いているのではないかという主旨のことを述べていましたが、それでも「AIは人間を超えられない」と結論付けていました。
なぜなら、コンピュータは機械にすぎず、超人的なのは「あくまで計算が超人的」というだけで、人間のような思考能力があるわけではないからだと述べていました。
そして、最終的には「おそらく、このようなAIは失敗するだろう」と結論付けていました。
したがって、このような現在の「相場関連」の問題点を踏まえて考えてみますと、やはり私達「人間の」投資家は、コンピュータテクノロジーや最新のAIが主導する相場に対しての「忍耐強さ」が必要になってくると思いますし、常に「思考すること」を放棄してはいけないと思います。
そのような中、個人的に気になった直近のニュースを以下に挙げてみたいと思います。
【日本】
川崎で起きた殺傷事件は、市内では唯一のカトリック系学校に通う児童が狙われたことから、IS(イスラム国)との接点が疑われている。海外では「テロ事件」として報道された。
【アメリカ】
中国がアメリカ製品600億ドル相当に最大25%の報復関税を発動した。
【欧州】
潰れたら「リーマン・ショック超え」と言われるドイツ銀行株の最安値更新が止まらない中、追い討ちをかけるかのように、投資銀行部門責任者と元CEOが脱税調査の対象になった。
【イギリス】
与党「保守党」が内部崩壊状態で、次の総選挙で第3党に転落する見通しと報じられた。
【中国】
地銀不安が再燃し、金融システムへの波及に懸念が高まっている。
さて冒頭で述べたように、為替は2国間(2通貨間)の相対的な関係によって変動します。
現在の世界は、あらゆる国に「不安要素」があるため、2国間(2通貨間)の相対的な関係ということを考えますと、一方的に買われ続ける、一方的に売られ続けるという展開は考えにくいと思います。
したがって、常に「楽観し過ぎず、悲観し過ぎず」という態度で臨むことが大事だと思います。
その上で、「有事の円」「有事のドル」「有事の金」と言われるように、いざという時はこれらが買われやすいということをしっかりと頭に入れて臨むのが良いと思います。
また多くのプロトレーダー達も同様の事を言っていますので、私達もこのようなことをしっかりと意識して、引き続き頑張っていきましょう。