先日、アメリカのCNBCにウォーレン・バフェット氏が出演しました。
ウォーレン・バフェット氏は、世界長者番付で1位になったこともある著名な投資家です。
そのウォーレン・バフェット氏がCNBCで以下のように語りました。
「銀行が破綻して政府が救済する場合、最高経営責任者とその妻の資産を取り上げるべきだ」
ご存知の方も多いと思いますが、リーマン・ショックの際には、アメリカ政府は70兆円もの公的資金を投入し、銀行を救済しました。
一方で、多くの庶民が家や仕事を失いました。
そのため、「銀行は税金で救済されたのに、庶民は救済されなかった」という怒りが全米で広がり、その後の「ウォール街を占拠せよ」の抗議運動へと繋がっていきました。
しかし、バフェット氏は今なぜこのタイミングで語ったのでしょうか?
私は「水面下で何かが起きているからだ」と考えます。
リーマン・ショック当時のリーマン・ブラザーズのように、現在も倒産間近の銀行があるということではないでしょうか。
そのような中、先週10日、アメリカは中国製品に対する関税を10%から25%に引き上げました。
そしてその後2日間の日程で行われた米中通商協議も、合意なく終わりました。
このことは世界経済にとっても深刻だと思います。
さらにこの貿易問題は、米中だけではなく、日米においても油断は禁物だと思われます。
なぜならば、トランプ大統領は「目に見える形で日本の貿易黒字が減る必要がある」と考えており、日本がアメリカの農産物をどんどん輸入しなければ、アメリカは日本の自動車を今のようには輸入しないという政策に出るとみられているからです。
また日本の貿易黒字を減らすにあたって、円高ドル安への合意が必要になるともみられています。
アメリカ経済については「好調だ」と言われる一方で、「アメリカのあまりに深刻なホームレス問題」「住宅価格高騰で家賃すら払えなくなっている」という報道もあります。
ブルームバーグでは「推定4200万人の学生ローンが総額1兆6000億ドル(約180兆円)にも上っている」と報じられましたし、ロイターでは「米企業の負債が歴史的高水準にあるとFRBが警鐘した」とも報じられました。
これらの情報は、再びリーマン・ショックのような危機が起こるという「前兆」ではないでしょうか。
そのような中、先々週のコラムでお伝えしたような「地政学的リスク」の問題もあります。
ベネズエラでは一国に2人の大統領となっており、グアイド暫定大統領派(アメリカ・EU)と、マドゥロ大統領派(ロシア・中国)という大国による代理戦争に発展するかもしれない、と言われる状態が続いていましたが、先日マドゥロ大統領(ロシア・中国)が「クーデター」鎮圧を宣言しました。
ところが直近のニュースでは、今度はグアイド暫定大統領(アメリカ・EU)が「米軍に協力を要請した」と報じられており、なお予断を許しません。
イランの問題についても、「イラン戦争に突き進むアメリカ」「米軍が中東に地対空ミサイル・パトリオットを追加配備」「米軍が中東に空母打撃群と爆撃部隊を派遣」等と報じられており、こちらも予断を許しません。
さてこのように見ていきますと、「水面下で何かが起きている」と考えるべきで、いつどこで何が起きてもおかしくないのが今の世界だと思います。
リーマン・ショックのような危機が起こる可能性もあれば、地政学的リスクが引き金となり、相場が荒れる可能性もあると思います。
いずれにせよ、相場においては「有事の円」「有事のドル」「有事の金」といったことを頭に入れて、いざという時に慌てふためかないようにしておきたいものです。
引き続き頑張りましょう。