イギリスがEU離脱問題で揺れ続けています。
BS放送、NHKのワールドニュースでも頻繁にこの問題が報じられています。
「合意なき離脱」が悲惨な結果を招く、と報じられています。
ここで「合意なき離脱」が具体的にどのような結果を招くのか、以下に整理をしてみたいと思います。
・携帯電話における国際ローミング(国内で契約をしている携帯電話を海外でも利用すること)の無料サービスが中止になる。欧州大陸との通話や通信が課金されるようになる。
イギリス(北アイルランド)はアイルランドと国境を接しているため、北アイルランドの住民に「アイルランドとの国境に近づいて、知らぬ間に有料ローミングが開始されないように」と、政府が注意を呼び掛けている。
・イギリス人はビジネス目的でもレジャー目的でも、EU域内へ行くにはビザ料金を支払わねばならなくなる。
・入国審査の際、EU諸国の列ではなく一般の外国人の列に並ばなければならなくなる。
・イギリスの運転免許証がEU域内で使えなくなり、イギリス人観光客がEUの国々でレンタカーを利用する場合、国際免許証を求められる。
・EU企業と取引関係にある膨大な数のイギリス企業が、通関および税関手続きで申告書を大量に作成しなければならなくなる。
・イギリスとフランスを結ぶ高速鉄道「ユーロスター」で、パスポートやセキュリティーのチェックが念入りになることから、運行に支障が出る。
・イギリスのブレグジット担当相は「買占めと物流混乱」によって、食糧不足に陥る恐れがあると警鐘を鳴らした。
・イングランド銀行(イギリス中央銀行)は金融危機の懸念を表明した。
・アイルランドの首相は国境で暴動が発生しかねないと懸念を表明した。
・イギリス当局者らは暴動が発生した場合に備え、王室避難計画を立てている。
・管制システムの混乱で飛べない飛行機が続出し、空港で大々的な遅延が発生する。
・関税と税関検査が復活し、港湾が大渋滞する。
さて上記のようにたくさんありますが、合意なき離脱が招く結果の規模と範囲は、計り知れないと言われています。
なぜならば、簡単に言いますと、今まで国内扱いでOKだったものが離脱によって外国扱いに変更されてしまうからです。
それなのになぜ「離脱」の話になっているのかと言いますと、過去コラムでも背景を説明させていただきましたが、多くのイギリス国民が、移民が増え過ぎたことに対する不満を持ったからです。
移民が増え過ぎたとは、すなわち人口が増え過ぎたという事で、人口が増え過ぎた結果どうなったかと言いますと、仕事が無くなる、賃金が低下する、子供が急病になっても4時間待たされる病院、机が足りなくなってしまった学校、住宅不足から家賃が高騰、いつも満員の電車など、生活の質がどんどん低下していったわけです。
その結果、イギリス国民は2016年6月23日の国民投票で「離脱」を選んだわけですが、今度は「合意なき離脱で悲惨になる」という話になってきているのです。
そのような中、ドイツでは多くのイギリス人がドイツの市民権を申請していると報じられ、金融機関についても48社がイギリスからドイツへ移転申請を行ったと報じられています。
一方で離脱撤回を求めて、600万人が署名し、100万人が国民投票の再度の実施を求めてデモ行進をしたと報じられています。
しかし、今後もし仮に離脱撤回に成功したとしても移民の問題が解決するわけではありませんし、現実には多くの企業がイギリスを見切って離れていっているわけです。
ですので、どう転んでも「イギリスの将来は厳しそうだ」と思われます。
では合意なき離脱によって、通貨ポンドがどうなるのかですが、昨年11月にイングランド銀行が発表したシナリオによると「25%下落する」との事です。
これはもし今仮に合意なき離脱になったとすると、「1ポンド=144円」が「1ポンド=108円」に、「1ポンド=1.30ドル」が「1ポンド=0.98ドル」になるような値動きが起こるという意味です。
今後しばらくは、特にイギリス関連のニュースには注意を払って取り組んだ方が良いと思います。
引き続き頑張りましょう。