サウジ記者事件

 

テレビのニュースでも度々報じられていますが、「サウジアラビア人の記者が殺害された事件」が世界中で大きな騒ぎになっています。

 

トランプ大統領はサウジアラビアを批判し、カナダのトルドー首相は「サウジアラビアへの武器輸出を停止する可能性がある」と述べ、ドイツのメルケル首相も「現状ではサウジアラビアへの武器輸出はありえない」と述べています。

 

 

 

一方でサウジアラビアも「制裁には報復する」と警告しており、「制裁への対抗措置は30以上ある」と述べています。

 

 

 

この事件は、今後の相場に大きな影響を与えるとみられています。

 

 

 

調べてみると、なんとも複雑怪奇な事件なのですが、同時に怪しい匂いがする事件です。

 

 

 

殺された記者の名はジャマル・カショギ氏で、9.11アメリカ同時多発テロの首謀者とされるウサマ・ビンラディンを複数回にわたってインタビューしたことで知られています。

 

 

 

一方で今から39年前、イラン・アメリカ大使館人質事件というものがあり、この事件によって当時アメリカはイランとの国交を断絶していたのですが、今度は1986年に「イラン・コントラ事件」というものが起こります。

 

これは当時のアメリカでレーガン政権が極秘裏にイランと接触し、公式に禁じられていたイランに対する武器輸出を行い、その売却代金を今度は反共ゲリラ「コントラ」の援助に使っていたという事件です。

 

この事件は、世界を巻き込む政治的スキャンダルに発展しました。

 

 

 

そしてこの「イラン・コントラ事件」で暗躍した武器商人が、世界的に有名な武器商人のアドナン・カショギ氏です。

 

今回殺されたサウジアラビア人の記者、ジャマル・カショギ氏はアドナン・カショギ氏の甥っ子になります。

 

 

 

さらにジャマル・カショギ氏は、1997年にイギリスのダイアナ元妃と共にパリの自動車事故で亡くなった(暗殺説が囁かれています)ドディ・アルファイド氏の「いとこ」でもあります。

 

 

 

こうして見ると、ジャマル・カショギ氏はただの記者ではなさそうです。

 

 

 

カショギ氏は、トルコのイスタンブールにあるサウジアラビアの総領事館内で殺されました。

 

カショギ氏の殺害に関わったとされるのは15人の特殊部隊員だと報じられていますが、そのうち1人が「謎の自動車事故」で死亡しており、残り14人についても「これからどんどん消されていく」と中東情勢に詳しい中田考氏は語っています。

 

 

 

カショギ氏は自身の身に危険を感じていたのか、事件当時、総領事館の外で待っていた婚約者に「2時間経って自分が出てこなかったら、トルコの警察に通報するように」と伝言していたそうです。

 

 

 

カショギ氏が身の危険を感じていた理由は、テレビや新聞でサウジアラビアのムハンマド皇太子を繰り返し批判していたからです。

 

昨年の本コラムでも少し触れましたが、ムハンマド皇太子は「腐敗撲滅」を名目に、昨年11月、王族ら381人を汚職の嫌疑で拘束しました。

 

その中には、前述のウサマ・ビンラディンの兄も含まれていました。

 

そしてこの大量拘束で反体制派を一掃し、解決金名目で約12兆円を没収しました。

 

 

 

ところがムハンマド皇太子にも「黒い噂」がたくさんあり、皇太子自身も腐敗にまみれている、いとこの皇太子を監禁し、皇太子を辞めさせた結果、自らが新皇太子になった、イエメンの内戦ではムハンマド皇太子の指示によって起きた誤爆で大勢の子供が命を落とした、レバノンの首相をサウジアラビアで軟禁し辞任を強制したが、その後に撤回された・・・と、かなり多くの「黒い噂」があります。

 

 

 

カショギ氏は、このようなムハンマド皇太子の「黒い噂」に関する情報をたくさん持っており、批判を繰り返していました。

 

だからこそ、今回の事件はムハンマド皇太子が黒幕ではないかと疑われています。

 

また前述の15人の特殊部隊員のうち、7人がムハンマド皇太子のボディガードだったことが明らかになっており、さらに皇太子黒幕説の疑いを強めています。

 

 

 

一方で、日本のソフトバンクグループは1000億ドル(約112400億円)規模のファンドを設立し、そのファンドにサウジアラビアが約5兆円を出資しています。

 

孫正義氏がムハンマド皇太子と投資戦略の方向性で意気投合したからという事です。

 

 

 

しかし今回の事件を受けて、ムハンマド皇太子が失脚し、ファンドが頓挫するリスクが懸念されてきたことから、ソフトバンクグループの株価が大幅に下落しています。

 

さらに「ソフトバンク以外にもサウジ事件で青ざめる24社」と報じられており、ソフトバンク以外の日本企業にも懸念が広がってきています。

 

 

 

一方で為替については、トランプ政権がサウジアラビア政府関係者の国内入国を拒否し、地政学リスクが高まってきたことで、「円買いになりやすい」とみられています。

 

 

 

そして昨年11月にウサマ・ビンラディンの兄が拘束されたと前述しましたが、先々月のコラムでもお伝えしたように、ウサマ・ビンラディンの三男であるハムザ・ビンラディンが、アメリカ(ワシントン)、イギリス(ロンドン)、フランス(パリ)、イスラエル(テルアビブ)を標的に復讐すると宣言しており、こちらも気がかりです。

 

非常に複雑怪奇でありますが、今回の事件とも何か繋がりがあるような気がします。

 

 

 

このような状況を受けて、現在市場では株の下落が警戒され、為替は円高の見方が強まってきています。

 

 

 

十分に気を付けて取り組んでいきましょう。