部分情報と完全情報

 

今回は、やや哲学的なお話になりますが、私自身が「相場において極めて重要」「人生においても極めて重要」だと思っている事をお伝えしたいと思います。

 

 

 

それは、「部分情報」と「完全情報」という概念です。

 

 

 

例えば、相場の世界において、昨今は特に「プロでも大苦戦」というリアルな現実があります。

 

なぜ、プロでも大苦戦なのでしょうか?

 

 

 

それは、プロとは言え、世界の全てを把握している訳ではないからです。

 

世界情勢の全てを把握している訳でもなければ、世界中の投資家の動き全てを把握している訳でもなければ、コンピュータによるアルゴリズム取引の全てを把握している訳でもないからです。

 

それこそ、普通の人より多くを把握していたとはしても、全てを把握しているなんてあり得ません。

 

全てを把握していたとしたら「神」です。

 

 

 

同様の事は、人生において、日常においても言えると思います。

 

例えば、何かの事件があったとして、「まさかあの人が犯人だったなんて」という近所の人の証言がテレビで報じられる事があります。

 

しかし、例えば近所の人をAさんとして、近所の人よりも遥かに犯人について多くを知っているBさんがいたとして、Aさんからすると「まさかあの人が犯人だったなんて」という感想でも、Bさんからすると「今まで捕まらなかったのが不思議なくらい」という感想を持つケースは十分にあり得ます。

 

しかし、Bさんにしても犯人の全てを知っているなんてあり得ません。

 

全てを知っていたとしたら、やはり「神」です。

 

 

 

つまり、我々人間は「部分情報」の中に生きており、「完全情報」の中に生きているわけではないのです。

 

 

 

しかし、それでも人は病気になれば医者に相談するように、何かあればその道の専門家に相談します。

 

それは、専門家が一般の人よりも多くの専門分野に関する知識を持っているからです。

 

 

 

つまり、我々は部分情報の中に生きていますが、たとえ完全情報ではないにせよ、より多くの部分情報を持っている人の方が、より正しい判断を下せる可能性が高いという事なのです。

 

 

 

したがって、より多くの部分情報を持っている人の方が、より正しい判断を下せる可能性が高いというのは一般的に正しい考えですが、同時に「たとえ、より多くの情報を持っていたとしても、判断を間違う事もある」という考え方も大事だと思います。

 

 

 

例えば、名だたる外資系投資銀行のトレーダー達が「今日は100%下がると言っている」といったような情報が私の耳に入ってくる事が稀にあります。

 

しかし、それでも私は自分の考えと違っていれば、鵜呑みにする事はしません。

 

なぜなら、「たとえ、より多くの情報を持っていたとしても、判断を間違う事もある」と考えるからです。

 

事実、そういった情報が入った後、本当に下がった事もあれば、逆に上がった事もあるからです。

 

 

 

前述のように、完全情報は「神」の世界です。

 

我々人間は「部分情報」の世界から脱却する事はできません。

 

 

 

しかし、だからと言って、部分情報を集める事を諦めたらいいわけではありません。

 

これも前述のように、より多くの部分情報を持っている人の方が、より正しい判断を下せる可能性が高いというのは厳然たる事実だからです。

 

 

 

今回は「部分情報」と「完全情報」という事で、少し哲学的なお話をさせていただきましたが、私が日頃から極めて重要だと思っている事です。

 

 

 

皆さんも、参考にしていただけましたら幸いです。