先日マイクロソフト元会長で世界長者番付でも13年連続世界一位になったビル・ゲイツ氏が「2008年のような金融危機が確実に起こる」と述べました。
世界長者番付といえば、著名投資家のウォーレン・バフェット氏も世界一位になったことがありますが、ビル・ゲイツ氏とウォーレン・バフェット氏は互いに仲が良いことでも知られています。
ビル・ゲイツ氏は良き友人であるウォーレン・バフェット氏を引き合いに出し、「ウォーレンはこの件(2008年のような金融危機が確実に起こる)についてすでに語っており、私よりもはるかに深く理解している」と述べました。
そんなゲイツ氏もバフェット氏も金融危機については「いつ起きるかは分からない。だが確実に起きる」と述べています。
要するに、現在の状況は二人の目から見ても「いつ金融危機が起きてもおかしくない」と映っているわけです。
つまり、今の市場の「歪み」が危機的な水準だと捉えているのでしょう。
さて、他にも私が最近「気になったニュース」は複数あるのですが、以下に「記事のタイトル」を列挙してみます。
・VIX不正操作あるのか、内部告発で新たな指標スキャンダル疑惑
・VIX指数に不正操作の疑い、米当局が調査開始
・米当局、VIX商品急落に絡む不正行為の可能性など捜査-関係者
・米家計の債務残高、過去最大を更新-昨年10~12月のNY連銀統計
・米国株は最大25%下落も、10年債利回り4.5%なら
・ヘッジファンド、ロング・ショート戦略が復活-パッシブの限界鮮明に
・チャイナリスク早くも露呈 ドイツ銀、大株主中国海航の資金難で株安
・英EU離脱交渉、EU「残り時間わずか」と警告 離脱条約草案公表へ
・英離脱交渉が窮地に、EU協定案にメイ首相が強く反発-ポンド下落
・レイ・ダリオ氏、日欧株を巨額「空売り」。景気サイクルは後退局面か
・貿易戦争の始まりか 「米ブランド標的」でEU対抗
上記の「記事のタイトル」を見れば想像できると思いますが、不安要素は世界中の至る所に存在しており、もしも金融危機が起こるなら「震源地がどこになってもおかしくない」と言えるのではないでしょうか。
さらに地政学的リスクでいえば、依然として多くの専門家が北朝鮮問題や中東情勢に警鐘を鳴らしている状況で、今後は地政学的リスクが金融危機の引き金になる可能性もあるのではないかと思います。
したがって冒頭のビル・ゲイツ氏やウォーレン・バフェット氏のように、私達投資家も2008年のような金融危機が確実に起こるものだと想定した上で臨んだ方が良いのではないかと思います。
そこで参考までに、2008年9月15日のリーマン・ショックから同年の年末にかけて為替がどう動いたのかを振り返ってみたいと思います。
ドル円 105.48円 ⇒ 91.89円(13.59円高)
ユーロ円 151.37円 ⇒ 127.78円(23.59円高)
ポンド円 190.41円 ⇒ 133.56円(56.85円高)
豪ドル円 86.51円 ⇒ 65.38円(21.13円高)
ユーロドル 1.4340ドル⇒ 1.3904ドル(0.0436ドル高)
上記を見れば、圧倒的に円高に推移したことが分かります。
まさに「有事の円」です。
この一年間はVIX(恐怖指数)の不正操作も疑われる中で、過去コラムでもお伝えしたように「ここまで一方的に円が売られる理由はない」という事で、多くの専門家が訝(いぶか)しむくらい円安に進みました。
したがって、いざ金融危機が起こった際は再度大きく円高に修正されるものと思います。
問題は「いつなのか」という事ですが、こればかりはゲイツ氏もバフェット氏も「いつ起きるかは分からない。だが確実に起きる」と述べているように「神のみぞ知る」領域だと思います。
そのかわり、トレードの基本スタンスとしては円高狙いでいくのが合理的な判断だと言えるでしょう。
バフェット氏は先日「投資に重要なのは心の安定と継続」と述べました。
おかしな値動きはまだ続いていますが、今後はいつ金融危機が起きてもおかしくありません。
皆さんにおかれましてはバフェット氏の言うように「心の安定と継続」を意識して取り組んでいただけたらと思います。
引き続き頑張りましょう。