肌感覚を大事に

 

毎週のコラムを書き始めて、今回で100回目となります。

 

日々情報収集をし、そして皆さんに発信をしているわけですが、情報収集において私が気を付けている事は「肌感覚を大事にする」という事です。

 

 

 

例えば、以下について考えてみましょう。

 

 

 

・日経平均が26年ぶりに23300円台を付けた

 

9月の経常収支、22712億円の黒字 39カ月連続黒字

 

 

 

上記を見ますと「株高と景気回復」というのが普通の解釈になりますが、「肌感覚を大事にする」という観点で考えますと、「本当に国民一人ひとりが豊かになっていると実感しているのか」という事を考えます。

 

そうすると「非常に怪しいな」と思うわけで、さらに情報収集をしますと、以下のような情報が出てきます。

 

 

 

・日本銀行や公的年金が機械的に大量購入しているからこその株価上昇

 

・株価が企業経営の内容を反映しなくなっているため、海外投資家の一部は日本株への投資を回避

 

・海外の年金基金やSWF(政府系ファンド)は、すでに日本株を大量売却済み

 

・国民の実質賃金(物価を加味した)は4カ月連続減少

 

 

 

上記の情報で判断しますと、「今のトレンドに追随しては危ないぞ」という事になります。

 

特に先週木曜日ですが、日経平均が前日比で460円を超える大幅上昇になったかと思いきや、その後に急反落で、そこから850円を超える下げが起こりました。

 

かなり危なっかしい展開です。

 

このように、「肌感覚を大事にする」という事で情報収集をしていきますと、肌感覚に合致しない情報に惑わされなくなってきます。

 

 

 

海外の事であってもそれは同様です。

 

例えば私は、ユーロは下落と見ていますが、肌感覚として「船頭(せんどう)多くして船山(ふねやま)に上る」と思っているためです。

 

指図する人間が多いために統一がとれず、見当違いの方向に物事が進んでしまうという諺です。

 

ユーロは現在25カ国で使用されていますが、「言語も違えば文化も違う、国によって経済情勢も違う」という中で、本当に上手くやっていけるのかという疑問があるのです。

 

実際に、ユーロ危機と呼ばれる危機がこれまでに何度も繰り返し起こっています。

 

失業率においても、ユーロ圏の失業率は日本や米国よりも高く、若年層に至っては19%と、かなり深刻です。

 

さらに、若年層の中でもギリシャとスペインでは40%を超え、イタリアでは30%を超える失業率です。

 

これもやはり肌感覚として、とても健全とは言い難く、歪んでいるといっても過言ではないと思います。

 

 

 

為替相場は国家間のバランスで決まりますが、ユーロに比べたら円やドルの方が健全だろうという判断になるのです。

 

 

 

このように、日頃から私は「肌感覚を大事にする」というスタンスなのですが、最近の相場は「かつてないほど、おかしい」と感じます。

 

「上がって当然でも下がる」「下がって当然でも上がる」「上がって当然、下がって当然でも無反応」「値動き自体がほとんどない」・・・といったように、挙げればキリがないくらいです。

 

多くの専門家も同じような指摘をしています。

 

 

 

しかし、前述の「日経平均が前日比で460円を超える大幅上昇になったかと思いきや、その後に急反落で、そこから850円を超える下げ」といったように、急転換は突然やってくるものです。

 

今が「かつてないほど、おかしい」のであれば、今後の修正は「かつてないほど、激しい」となっても不思議ではないですし、それは突然起こり得るのです。

 

 

 

皆さんにおかれましては、ポジション量に十分な注意を払って取り組んでいただければと思います。