原油市場の話になりますが、「神」と呼ばれるトレーダーがいます。
最近、その「神」と呼ばれるトレーダーが自身のファンドを閉鎖する事にしたという事で、メディアで報じられていました。
理由としては、昨今の相場が「需要と供給」といったような経済の「基本」を無視した値動きばかりするからという事でした。
需要が多く供給が少なければ値上がりする、需要が少なく供給が多ければ値下がりする、こういった事は経済における基本中の基本ですが、昨今の相場はそうではなくて、ずっとコンピューターによって翻弄され、不可解な値動きを続けているからという事のようです。
不可解な値動きとは、「上がるべき場面で下がる」「上がるべき場面で横ばい推移」「下がるべき場面で上がる」「下がるべき場面で横ばい推移」といったものです。
つまり、どれだけ熱心に「ファンダメンタルズ」を分析しても、それが報われなくなってきているという事で、ファンド閉鎖を決意したとの事です。
「ファンダメンタルズ」が無視されるという事は、「手掛かりがない」という事になるからです。
ちなみに、原油価格が下落しますと、日経平均やNYダウも下落する傾向にあります。
「必ずしも」というわけではありませんが、相関関係が見られます。
これにはいくつかの要因がありますが、「オイルマネー」が大きく影響します。
世界の株式市場におけるオイルマネーの存在が大きいからです。
そして、日経平均やNYダウが下落しますと、ドル安円高になる事もよく知られるところです。
つまり、原油市場はFX投資家としても関係が深い市場なのです。
そういった状況ですので、冒頭の「神」と呼ばれるトレーダーが自身のファンドを閉鎖する事にしたというニュースも、私達にとって無関係ではないのです。
原油市場の「おかしさ」は、為替市場の「おかしさ」にも通ずるからです。
最近は方々で指摘されていますが、「コンピューターは経済のファンダメンタルズを無視しており、ただ単に価格シグナルを見ているだけだ」と言われています。
そして、そんなコンピューターが年々と「幅を利かせて」いると言われています。
さらに、まるで市場が「おもちゃ」にされているかのようだとも言われています。
このような話は、最近のコラムでもずっとしていますが、実際にコンピューター売買に従事していた人によると「これに勝つのは意外に簡単」と言います。
このような状況において「意外に簡単」というのが「意外」な気がしますが、やはり条件があるようです。
その条件とは、「長期的な視野に立って時間を味方に付ける」だそうです。
理由としては、「コンピューターに長期的な視野は無く、あるのは短期的な利ザヤ稼ぎのみだから」との事です。
つまり、長期的な視野に立った上で短期的な「おかしさ」に我慢することさえできれば勝てる、という事のようです。
しかし、コンピューターの影響力が年々大きくなってきている以上、「短期」の期間はどんどん長くなっていくと考えられます。
したがって、従来以上の「忍耐強さ」と「別の観点」が必要なのかもしれません。
「別の観点」とは、「今、コンピューターが狙っている短期的な利ザヤ稼ぎは何か?」という視点です。
一方で、「ファンダメンタルズ」は無意味ではなくて、「ファンダメンタルズは長期的な視野に立ってこそ機能するが、短期的にはほとんど機能しない」というのが真実だと思います。
そうすると、「今、コンピューターが狙っている短期的な利ザヤ稼ぎは何か?」「ファンダメンタルズを考慮した場合、長期的にはどう動くべきか?」という視点の2つの視点を持っておく事が重要だと考えられます。
その上で、両者が一致すれば「チャンス」、逆に不一致の時は「見送る」「警戒する」などの慎重な対応が良いと考えられます。
さらに、本手法では「赤」「青」「黄色」といった判断基準もありますので、これら「色」にも一致しているかのチェックができると、より良いだろうと思います。