混乱

 

世界を見渡せば、混乱に満ちています。

 

 

 

相場の世界においても、市場参加者達がひたすら首を傾げるような展開になっています。

 

「全く動かない」か「変な値動き」かのどちらかです。

 

 

 

「毎日状況がコロコロ変わるから右往左往する」「これはトランプ(大統領)の呪いだ」「しっくりこない相場展開」「なんとも酷い相場」「何がどうなっているのかさっぱりわからない」「トランプ大統領を前に、これまでの常識や通念が使えなくなっている」「まるで日替わり弁当のような相場だ」・・・と、市場参加者達の困惑コメントがたくさん聞かれます。

 

 

 

先月のコラムで、「エジプト有数の資産家が、6250億円相当に上る資産の半分を金(ゴールド)に替えた」というニュースと、この資産家が資産の半分を金に替えた理由が「中東や世界の残りの地域を見てみると、現在は危機に満ちており、危機の間は金への投資が増える傾向にあるからだ」と語っていたことをお伝えしました。

 

 

 

ところが、このニュースが報じられた時の金価格が1315ドルだったのに対して、その後は下落し、現在は1252ドルです。

 

この事ひとつを取り上げてみても、現在の相場が「おかしい」と思いますが、現在の世界がいったいどのような状況にあって、どのような問題を抱えているのかを以下にピックアップしてみたいと思います。

 

 

 

 

 

【日本】

 

・日本が所有するプルトニウムが47トンあり、この量が「原爆6000発に相当する」ことから、世界で懸念が強まっている。日本は世界から、どのように平和目的で利用するか明確な回答を出すよう迫られている。この問題は将来の原発廃止に繋がる可能性があり、日本の安全保障・原子力・エネルギー政策の将来も懸念されている。

 

 

 

・小泉純一郎元首相と日本共産党が脱原発で連携意向と発表した。

 

 

 

・菅官房長官は否定しているが、トランプ大統領が北朝鮮の非核化費用の55000億円を日本に出させることを金正恩氏と約束したと、海外で報道されている。

 

 

 

・森友学園との国有地取引を巡り、会計検査院が改ざんした決裁文書を提出した財務省の行為を違法と認定した。

 

 

 

 

 

【アメリカ】【中国】

 

・米中貿易摩擦が激化し、互いに徹底抗戦の構えになっている。

 

 

 

・米銀行株の下げが過去最長になっている。

 

 

 

・米国が世界各国にイラン産原油の輸入停止を要求した。

 

 

 

1200兆円規模の中国債券市場が債務不履行などの難題山積になっている。

 

 

 

 

 

【欧州】

 

・反EUの政権が誕生したイタリアで、地方選でも反EUの極右政党が躍進した。

 

 

 

・ドイツのメルケル政権が難民問題を巡って連立崩壊のピンチに立たされている。

 

 

 

・ドイツ銀行が倒産の危機に瀕しており、株価が過去最安値になっている。

 

 

 

EBA(欧州銀行監督機構)が、欧州の銀行に対してイギリスのEU離脱対策を急ぐように警告した。

 

 

 

 

 

【イギリス】

 

・エリザベス女王がEU離脱法案を承認した。

 

 

 

EU離脱後について、アイルランドとの国境のあり方を巡って議論が進まず、円滑にEUを離脱できない可能性が高まっている。

 

 

 

 

 

【中東】

 

・シリアではロシア軍とアメリカ軍の交渉が決裂して、シリア南部の停戦が崩壊した。

 

 

 

・イエメン軍がサウジアラビアの首都リヤドをミサイル攻撃し、死傷者が出た。

 

 

 

・イランの政府高官は数週間以内に核合意から離脱するだろうと言っている。

 

 

 

 

 

さて上記以外にも世界は多数の問題を抱え、不安定な状況にありますが、ざっと見ただけでも「世界が混乱に満ちている」事が分かります。

 

だからこそ、前述のように「エジプト有数の資産家が、6250億円相当に上る資産の半分を金に替えた」わけですが、なぜか金(ゴールド)は下落を続けています。

 

 

 

現在の相場が不可解な値動きを続ける元凶は「トランプ(大統領)」と「AI(人工知能)」にある、と言われています。

 

トランプ(大統領)が世界に混乱を生み出し、AI(人工知能)がよく分からないロジック(なぜ買うのか、なぜ売るのか)で売買を繰り返すからです。

 

 

 

またAIの事を最近では「数学破壊兵器」と呼ぶ人達もいるようです。

 

影響力が大きいにも関わらず、そのロジックが不可解だからです。

 

 

 

しかしAIは「神」ではありませんし、「生身のトレーダーにAIが負けた2月-株式急落で月間ベース過去最悪」(ブルームバーグ)という事で、AIが人間に負ける事だってあるわけですから、やはりここは忍耐が必要です。

 

 

 

先々週のコラムでは、米金融大手のゴールドマン・サックスがAIを使って、サッカーワールドカップ・ロシア大会の予想を出した事をお伝えしました。

 

20万もの統計モデルを使い、100万回ものシミュレーションを行ったという事であるにも関わらず、その予想は外れていますが、ワールドカップのグループステージも終盤に差し掛かかったところで、ゴールドマン・サックスはこれまでの結果を反映して、先日再び予想を変更しました。

 

 

 

参考までに、変更前と変更後の予想は以下のようになっています。

 

 

 

【変更前】

 

・ブラジルとドイツが決勝を行い、ブラジルが優勝する

 

 

 

・フランスは準決勝でブラジルに敗れる

 

 

 

・イングランドは準々決勝でドイツに敗れる

 

 

 

・スペインとアルゼンチンも準々決勝で敗退する

 

 

 

・ロシアは開催国だが、グループリーグを突破できない

 

 

 

・サウジアラビアがグループリーグ(Aグループ)を突破する

 

 

 

 

 

【変更後】

 

・ブラジルとイングランドが決勝を行い、ブラジルが優勝する

 

 

 

・フランスは準決勝でブラジルに敗れる

 

 

 

・ドイツはベスト16でブラジルに敗れる

 

 

 

・スペインは準決勝でイングランドに敗れ、アルゼンチンはベスト16でフランスに敗れる

 

 

 

・ロシアはベスト16でスペインに敗れる

 

 

 

・日本はベスト16でベルギーに敗れる

 

 

 

 

 

上記のように予想が変更されましたが、ご存知の通り、ドイツは韓国に2-0で敗れ、グループリーグ敗退が決まりました。

 

そしてロシアはPK戦の結果、スペインに勝利しました。

 

やはりAIは「神」でもなければ、完璧でもないのです。

 

 

 

そしてサッカーの予想が変更されるのと同様、相場の世界においても今後AIが行動パターンを変更してくる可能性は十分あると思います。

 

だからこそ、忍耐が必要です。

 

 

 

私達投資家においては「有事の円買い」「有事のドル買い」「有事の金買い」といった相場観を持って取り組めば、いつか必ず報われると思います。

 

 

 

引き続き頑張りましょう。