先週はビル・ゲイツ氏とウォーレン・バフェット氏の見解についてご紹介しました。
「2008年のような金融危機が確実に起こる」「いつ起こるかは分からない。だが確実に起こる」というものでした。
そして、2008年9月15日のリーマンショックから同年の年末にかけて為替がどう動いたかを振り返りました。
結果は圧倒的に円高に推移したのですが、実はこの間「円」の次に買われた通貨は「ドル」でした。
なぜこのように推移したのかをシンプルに考えてみますと、日本が世界最大の純債権国だからだと思われます。
しかも、現在では26年連続で世界最大の純債権国となっています。
これは簡単に言いますと、海外に抱えている借金よりも海外に保有している資産の方が大きいという事で、日本が世界最大の「金持ち国」だという事です。
同様に「ドル」が買われた理由もシンプルに考えてみますと、「基軸通貨」だからこそだと思われます。
「基軸通貨」とは世界の中心となる通貨の事です。
例えば、豪ドル/円のレートがどう決まっているかと言いますと、「ドル/円」「豪ドル/ドル」から決まっているのが現実です。
常に「ドル」を挟んでレートが決まっているという意味です。
金や原油などにしましても、国際価格といえば1トロイオンス1323ドル、1バレル62ドルなど、常に「ドル」で表示されます。
要するにリーマンショックのような、ある意味で「極限」の状況下では、先行き不安な国の通貨よりも、より信用の高い国の通貨が買われるという事なのです。
2008年当時は、結果として「円」が買われ、次に「ドル」が買われたわけですが、前述のように今でも日本は「26年連続で世界最大の純債権国」ですし、「ドル」が基軸通貨である現状も2008年当時と変わっていません。
これらを勘案しますと、やはり次の「金融危機」の際の反応も「円」と「ドル」が買われるだろうと予想できます。
さて話は変わって、私はこれまでに何百人(何千人?)という投資家達に様々なレクチャーをさせていただきましたが、稀に「玄人っぽいな」と思うような方もいます。
よくよく聞いてみると、そういう方は大手証券会社の元トレーダーだったり、外資系投資銀行で勤務していた方だったりします。
中には度々メディアに出ている投資家もいましたが、そういう方々と突っ込んで「ある話」をしますと、「それ、うちの社長も同じ事を言っていました」「元上司も同じ事を言っていました」「やっぱり、そうですよね」といった反応があります。
前述の「2008年のような金融危機が確実に起こる」「いつ起こるかは分からない。だが確実に起こる」で言えば、私が自信を持って言える「ある話」とは、「2008年のような金融危機が確実に起こる」「いつ暴騰するかは分からない。だが確実に暴騰する」というもので、それは「金」「銀」だという事です。
「金」「銀」は昔から貨幣としての役割を担ってきました。
金貨や銀貨といった具合です。
そして昔、世界は金本位制を採用していました。
簡単に言いますと、金の保有量に応じて通貨を発行していたのです。
紙幣そのものは「紙」ですが、紙幣に価値があるのは「金と交換できるから」という理屈で成り立っていました。
その後、世界は金本位制から現在の管理通貨制度へと移行しました。
金の保有量とは関係なく通貨を発行できるようにしたという事です。
ところが現在、方々から「今の管理通貨制度から今度は金・銀本位制に移行するかもしれない」という話が出てきています。
さらに荒唐無稽(こうとうむけい)ではなく、十分な根拠を持って「金1万ドル」「銀600ドル」といった予想も方々から出てきています。
ちなみに現在は「金1323ドル」「銀16.58ドル」といった水準です。
現在の世界経済は「歪み」がキーワードとなっています。
例えば昨年、日経平均株価は過去最長の16連騰がありましたが、肝心の証券会社の株価が下落していたり、大手企業のボーナスが前年比で下がったりしています。
また、世界の中央銀行で唯一日銀だけが株を買い取って株価のつり上げを行っています。
米国株については、ウォーレン・バフェット氏が用いる「バフェット指数」の5段階分類において一番割高な水準を示す「非常に割高」になっています。
米国では、株価を上げれば巨額のボーナスがもらえるといった背景もあって、企業が借金をしてまで自社株買いをする、といった事も起こっています。
世界の「先物取引」「オプション取引」「スワップ取引」といったデリバティブ取引の残高においては5京円にも上ると言われています。
このような世界経済の状態が「正常なのか?」といえば、それらは「歪んでいる」と言った方が適切でしょう。
そして「歪んでいる」からこそ、「2008年のような金融危機が確実に起こる」「いつ起こるかは分からない。だが確実に起こる」という話が出てくるのです。
また「歪んでいる」からこそ、「今の管理通貨制度から今度は金・銀本位制に移行するかもしれない」という話が出てくるのです。
先週の為替相場は、概ね「往って来い」の展開でした。
先々週下がった通貨は上がった、先々週上がった通貨は下がった、という展開でした。
そういう意味では「横ばい」だったと言えますが、前述のように、この先は金融危機がいつ起こってもおかしくありません。
1年後かもしれないかわりに、明日、明後日であってもおかしくないのです。
しかし、「円」「ドル」「金」「銀」が買われるだろうと意識をしておけば、金融危機をチャンスに変えることだってできます。
現在の「歪み」をしっかりと認識しつつ、対処をしていきましょう。