普遍的な投資戦略

 

「普遍的な投資戦略」について考えてみたいと思います。

 

普遍的という事は、「いつの時代でも、どんな時でも」となりますが、投資の場合はリスクについて考えなければなりません。

 

そのリスクには、平常時のリスクと非常時のリスクがあります。

 

相場は常に動いていますので、平常時にもリスクはあるわけですが、問題は非常時のリスクになります。

 

非常時は「ある日突然やってくる」もので、その値動きは平常時とは比較にならないほど激しいものになるからです。

 

 

 

世間では「FXで破産した」などという話が時々聞かれますが、往々にして「レバレッジのかけ過ぎで損をした」というパターンになります。

 

例えば20182月現在、ドル円1万通貨当たりの取引保証金は45,000円となっており、仮に資金が100万円あった場合、最大で22万通貨保有する事が可能です。

 

ここで、最大の22万通貨で取引を実践するならば、明らかに「レバレッジをかけ過ぎ」と言えます。

 

なぜなら、この場合は1万通貨で取引をすることもできるわけで、22万通貨で取引をするという事は、1万通貨で取引をする場合と比較しますと、22倍のリスクを負っている事を意味するからです。

 

 

 

ここで、よく出てくる話が「だからこそストップを入れなさい」という話です。

 

それは当然「もっとも」なのですが、注意しなければならないのは、ストップまでの距離が近いと、往々にして損切りを繰り返し、「損切り貧乏」になってしまう事です。

 

例えば「10銭逆に動いたら損切り、20銭思惑通りに動いたら利食い」とした場合、単純に10銭と20銭を「距離」として比較しますと、10銭の方が「距離」が近いために、10銭の方がヒットしてしまう、つまり「損切り」になる確率の方が高くなりがちなのです。

 

そこで今度は損切りも利食いも10銭とした場合、勝率は5割に近づくでしょうが、実質的な手数料である「スプレッド」を考慮しますと、勝率は5割を超えてようやく利益に繋がるわけです。

 

つまり、簡単にいく話ではないのです。

 

 

 

そして多くの人が見落とす事なのですが、忘れてはならないのが、稀に起こる「値飛び」です。

 

「値飛び」とは文字通り値が飛ぶことで、例えば110.00円、109.99円、109.98円・・・とならずに、110.00円が次の瞬間に108.50円になってしまうような値動きを指します。

 

このような場合、仮にストップを設定していたとしても、想定以上の損失となります。

 

「値飛び」は稀なケースになりますが、非常時では起こり得ることであり、その可能性がゼロではない以上、意識をしておく必要があります。

 

 

 

したがって、改めて「普遍的な投資戦略」について考えてみますと、非常時を想定した戦略、つまり「非常時でも対応できる余裕を持った」戦略であるべきだと言えます。

 

 

 

ここで基本に立ち返りますと、利益も損も「ポジション量」×「値幅」で決定されるという事です。

 

この中で、「値幅」は相場の「結果」ですから、自身でコントロールできるのは「ポジション量」だという事が分かります。

 

 

 

そうすると「普遍的な投資戦略」とは、非常時を想定した上での「ポジション量」に焦点を当てた戦略になります。

 

前述のように、非常時は「ある日突然やってくる」ものですし、稀なケースで「値飛び」が起こる事もあるからです。

 

 

 

つまり最初に「滅多に起こらない」という観点からの非常時を想定し、非常時が万が一現実になった場合の「許容損失額」を決めますと、「ポジション量」が数学的に導かれるという事です。

 

 

 

このような考えに基づいて生まれたのが本手法です。

 

 

 

さて、今回改めてこのような話をしましたのも、昨今の相場があまりにも「酷い」からです。

 

過去コラムを再度読んでいただきたいのですが、「不正操作」の疑いもありますし、犯罪的だと言う人も少なくなく、まるで「壊れたロボットが暴走し、制御不能になったような」イメージの相場となっています。

 

金融経済学の原理原則はことごとく崩れてしまっているのです。

 

 

 

原因としてはAI(人工知能)の暴走もあるでしょうし、どこかで誰かが「不正操作」を行っているのも間違いないと思います。

 

当然ながら「不正操作」は犯罪ですが、立証が難しいからなのか、なかなか止む気配がありません。

 

 

 

そのような中、先週のコラムでは以下のような話をお伝えしていました。

 

 

 

【やや専門的な話になりますが、現在はジャンク債と米国債の金利差である「リスクプレミアム」がリーマンショック前と同水準になっています。いつ何が起きてもおかしくない状況ですので、十分注意して臨みましょう。】

 

 

 

すると、先週末のNYダウがなんと666ドルの下げとなりました。

 

リーマンショックが起こった2008915日のNYダウは504ドル安でしたが、今回はそれを超え、1日の下げ幅としてはリーマンショック以降最大の下げ幅となりました。

 

 

 

この背景を見ていきますと、この日発表された1月米雇用統計は市場予想よりも好調、12月米製造業新規受注も市場予想よりも好調、1月米消費者態度指数も市場予想よりも好調と、全てが市場予想よりも好調だった結果として起こった大暴落でした。

 

もはや「意味不明」という感じさえするのですが、市況解説では「米債券利回りの急上昇が売りを誘った」となっています。

 

しかし「米債券利回りの急上昇」についても今に始まった事では決してなく、昨年7月の本コラムでも「金利上昇と株価上昇の同時進行という、本来起こり得ない事が現在起こっています」と述べています。

 

つまり、市況解説さえも「取って付けたような理由」になっているのです。

 

 

 

昨年以降、相場はすべてこのような調子で、ウォールストリート・ジャーナルも昨今の値動きについて「もっともらしい説明は出てくるものの、いずれも説得力に欠ける」と報じていました。

 

これはもう「インチキ相場」と断定した方がスッキリするかと思います。

 

 

 

しかし、このようなインチキ相場で真面目な投資家が資金を失ってしまうのは決してフェアではないと思うので、皆さんにはもう一度、本手法が生まれた背景に向き合っていただきたいと思っています。

 

 

 

その上で、「負けなければ勝つ」という事に信念を持ち、途中でおかしな展開があったとしても一喜一憂せずに平常心で臨み、最後にはきちんと利益を得ていただきたいと思っています。