報道と相場値動き

 

解散総選挙へと動き出したからでしょうか。

 

日本株の堅調な展開に合わせて、再び円安になってきています。

 

同時に今年はドル安の一年でもあり、最近の値動きについて「ドルの次に弱い円」などと報じられています。

 

ちなみに先々週、先週は「金」も売られており、「円安・ドル安・金安」といった動きが目立ちます。

 

以前のコラムでも語った事がありますが、昔から円・ドル・金は、いざという際に集中して買われる特徴を持っていることから、「有事の円」「有事のドル」「有事の金」という言葉があります。

 

しかし、今は円・ドル・金が売られているという事で、「有事の逆」となっており、「平和」という解釈になってきます。

 

 

 

ところが報道にもあるように、北朝鮮問題を巡って、トランプ大統領は「我々は米国と同盟国を守るため、全ての軍事力を行使する用意がある」「北朝鮮を破壊する」と述べ、金正恩党委員長は「史上最高の強硬対抗措置を検討する」「トランプ大統領の暴言に対して、必ずその代価を払わす」と述べています。

 

そのような中、「米国の戦闘機が今世紀で最も北朝鮮に接近した」とも報じられています。

 

 

 

したがって、こういった報道と株価を含めた現在の相場の動きが「ミスマッチ」で、「やっぱり最近の相場はおかしいよね」という話になってきています。

 

特に、これも以前のコラムで語ったことがありますが、長年ドルと金は「片一方が強くなれば、もう片一方が弱くなる」というシーソーのような関係であるにも関わらず、現在どちらも売られていることから、上記のような北朝鮮問題の件も考慮しますと、余計に「おかしいよね」という話になってきています。

 

 

 

ちなみに、最近「ポンドはどうなのでしょうか?」と聞かれた事があったのですが、ロンドン地下鉄で爆発テロ事件があった週に最も買われた通貨がポンドとなっており、「このように不可解な値動きをするのが最近の相場の特徴なので、今すぐこのように値段が動くとは言えないが、長期にわたって買われ続けるという事はないのではないか」と答えました。

 

さらに付け加えますと、日本が対外純資産で世界一なのに対して、イギリスは対外純資産で約12兆円の「負債」となっており、先日もムーディーズが信用格付けを引き下げたところです。

 

したがって、「ロンドン地下鉄で爆発テロ事件があった週に最も買われた通貨がポンド」という事が余計に不可解に思われます。

 

 

 

一方で「投資の神様」「オマハの賢人」と呼ばれるウォーレン・バフェット氏が「チャートを上下逆さにしてみても答えが同じだった時に、テクニカル分析は機能しないと気付いた」と述べたという有名な話があります。

 

これは、同時に「ファンダメンタルズこそが重要だ」という意味になりますが、残念ながら最近の相場には当てはまらないようです。

 

あまりにも、ファンダメンタルズを無視したような値動きばかりするからです。

 

しかし正確に言えば、「長い目でみたら」という条件付きになると「当てはまる」のだと思います。

 

バフェット氏のもう一つの有名な話に「理想の保有期間は『永遠』だ」というものがあるからです。

 

 

 

結局のところ、「短期的にはいくらでも不可解な値動きをする」という事で、相場に向き合っていくしかないのだろうと思います。

 

 

 

ファンダメンタルズを無視したような値動きを繰り返す事に「おかしさ」を感じますが、コンピュータが「考えることをせずに反応する取引」を繰り返すため、避けられない現象になっているのかなと思います。

 

 

 

皆さんには改めて、本手法の「色」や欧州系某投資銀行のレポートを参考に取り組んでください、という事をお伝えしておきたいと思います。

 

しかし同時に、「今の相場はおかしい」という事を十分頭の片隅に置きながら、慎重さを維持した上で取り組んでいただければと思います。