値動き

 

今回は「最近の値動きの特徴」をテーマにしたいと思います。

 

まずはボラティリティ(価格変動率)を中心とした最近の値動きについて、最後は前回のコラムと同様、欧州系某投資銀行のレポートについて触れたいと思います。

 

 

 

まずは分かりやすいところで、ドル円について見てみます。

 

ドル円は今月112.08円でスタートし、現在が110.58円、1カ月で約1.5円の値動きです。

 

一時114円を付ける場面がありましたが、ほとんどの期間は111円から113円の間で推移をしていました。

 

先週末まで、月初めからは1円にも満たない程、特に値動きが小さかったのですが、前回ほぼ無反応だった「北朝鮮のICBM発射」も「2回目のICBM発射」でようやくマーケットが反応し、少し円高に振れています。

 

 

 

他通貨においても似たり寄ったりで、ボラティリティが低くなっています。

 

 

 

この「ボラティリティの低さ」は為替だけではありません。

 

日経平均についても同様で、日本経済新聞社が算出し公表している日経平均VIというものがありますが、今月は公表来の最低記録を更新しています。

 

要するに、ほとんど価格変動がないという意味になります。

 

 

 

さらに、米国株についても似たり寄ったりで、過去最高値が次々と更新されているにも関わらず、週刊投資情報紙「バロンズ」は「気味が悪いほど落ち着いた上昇」だと表現しています。

 

以前の本コラムでも指摘をしたように、「熱狂無き株高」であり、「極めて小さな値動き」の積み重ねによっての上昇だという事です。

 

 

 

こういった最近の相場の値動きに対して、各方面から憂慮の声が挙がっています。

 

 

 

株式市場を運営する日本取引所グループは、「日銀によって相場が歪められている、本来あるべき価格変動が奪われている」と指摘をしています。

 

これも以前の本コラムで、「株価操作という日本の病」という事で、著名経営コンサルタントの大前研一さんの記事について触れましたが、大前さんは日銀の株買いが「世界の非常識」になっていると指摘をしています。

 

結果、本来あるべき価格変動が奪われているというわけです。

 

このような日銀の行動は、日銀だけではなく日本政府にも責任があります。

 

「官製相場はいい加減に止めてほしい」という投資家の声が後を絶たないのです。

 

 

 

「ボラティリティの低さ」は他にもあります。

 

「金(ゴールド)」についても同様で、現在ボラティリティが直近2年間で最も低下しています。

 

 

 

一方、個人投資家には馴染みが薄いかもしれませんが、国債市場もボラティリティが危機的なほどに低下しています。

 

「相場が干上がっている」「流動性が枯渇して、取引が成立しない」「まったく仕事にならない」と、憂慮の声がいくつも挙がっている状況です。

 

これも株式市場同様、日銀の買いが原因となっており、つまるところ日本政府にも責任があるのです。

 

 

 

このように、現在は相場全体のボラティリティが低下してしまっているわけですが、厄介なのがコンピュータによるHFT(高速取引、高頻度取引)の存在もあります。

 

HFTは、あまりにも高速かつ高頻度で売買をするために、実際には猛烈な速さで価格が動いたとしても、「人間の目にはまるで動いていないように見える」といった事が起こっているのです。

 

 

 

しかし深刻なのが、そんなHFTでさえ、最近はあまり利益が出なくなっているようなのです。

 

HFT VS HFT」という構図もありますし、現在は相場全体のボラティリティが極端に低下しているからです。

 

 

 

これも以前の本コラムで指摘をしましたが、現在はVIX(恐怖指数)までもが不正操作をされている疑いが濃く、この事によっても相場が歪められ、本来あるべき価格変動が奪われていると考えられるのです。

 

 

 

要するに、現在は「人間も機械も収益機会を奪われた」状況だと言われているのです。

 

このような状況は、まるで「資本主義の末期」といった感じさえします。

 

最近の相場は、「おかしな値動き」⇒「値段が動かない」⇒「おかしな値動き」⇒「値段が動かない」の繰り返しばかりです。

 

 

 

しかしそれでも、「永遠におかしい値動き」や「永遠に動かない相場」というものはありません。

 

 

 

したがって、私達はくれぐれも「値動きのおかしさ」や「価格変動の低さ」に慣れてしまわないようにしなければならないのです。

 

「嵐の前の静けさ」という言葉もあるからです。

 

 

 

そんな中、最近トレーダーの間でJPモルガン・チェースのレポートが回覧されていたと報じられていましたが、「ボラティリティの歴史的な低さに言及しつつも、転機は非常に近いだろう」という内容になっていたそうです。

 

 

 

まさに、今は「耐え時」なのかもしれません。

 

そんな状況において、少しでも皆さんの参考になればという事で、最後に前回同様、欧州系某投資銀行のレポートについて触れたいと思います。

 

最新版に基づいてお伝えできる範囲で言いますと、直近の見通しは以下のようになっています。

 

 

 

・ユーロドルは「買い」: 2014年末の1.2000ドルを目指す展開

 

・ユーロ円は「買い」 : 今月付けた高値130.75円を再度目指す展開

 

・直近では最強通貨が「ユーロ」、次が「円、ポンド、豪ドル、NZD、カナダドル」、最弱通貨が「ドル、スイスフラン」

 

 

 

前回お伝えしたユーロドルの1.1710ドルは先週達成をしましたが、今度は1.2000ドルを目指すとの見通しになっています。

 

ユーロ円は前回同様の見通しで維持されています。

 

直近の通貨の強弱については、円が繰り上がり、スイスフランが繰り下がっています。

 

 

 

前回もお伝えしましたが、「ユーロ」が最強である事は、ファンダメンタルズを考慮した場合、本来おかしいのだと言及せねばなりませんが、本手法の「色」も「青」を示しており、とりあえずは「買い目線」で見るのが正解となりそうです。

 

 

 

最近はボラティリティも低く、おかしな値動きばかりが続いておりますが、究極のところ、負けなければ勝つわけです。

 

今後も根気強さを持ってやっていきましょう。