「予測を当てて相場に勝つ」
このような発想をする人は、プロ・アマ問わずたくさんいます。
もちろん、予測は当たらないよりも当たった方が良いのは確かです。
ただし、「いつ」当たるのかという問題があります。
今日当たるのか、1カ月後に当たるのか、1年後に当たるのか、といった問題です。
究極のところ、「相場の未来は神のみぞ知る」です。
したがって、「予測を当てて相場に勝つ」という発想から「値段が動くから相場に勝つ」という発想への切り替えが重要だと考えます。
私が「資金管理」「逆算」をベースとして「ナンピン」を用いるのも、ここに理由があります。
先日、ウォールストリート・ジャーナルに「経済予測に頼りすぎる投資家が失敗する理由」という記事が出ていました。
参考になる記事でした。
例えば、1月20日にトランプ氏が大統領に就任します。
トランプ氏は、中国やメキシコからの輸入品に高い関税を課す可能性があります。
この時に考えられる事が2つあります。
「中国やメキシコが報復措置を取ってくるケース」と「中国やメキシコが報復措置を取らないケース」です。
前者と後者では、相場への影響が異なってきます。
今度は原油価格について考えてみましょう。
極端な例ですが、原油が「1バレル=20ドルのケース」と「1バレル=150ドルのケース」です。
これも、前者と後者では、相場への影響が異なってきます。
他にも、「中東における紛争が激化するケース」と「中東における紛争が激化しないケース」、「中国の信用危機が起こるケース」と「中国の信用危機が起こらないケース」、「株式市場の暴落が起こるケース」と「株式市場の暴落が起こらないケース」、「ユーロ圏で危機が起こるケース」と「ユーロ圏で危機が起こらないケース」、「どこかの大銀行が破綻するケース」と「どこの大銀行も破綻しないケース」など、いずれも前者と後者では相場への影響が異なってきます。
そして、人間の心理というものは必ずしも合理的に説明できないわけですが、そのような不確定な心理の事を「アニマルスピリット」と言ったのがイギリスの有名な経済学者ジョン・メイナード・ケインズです。
相場の世界では、ケインズの言う「アニマルスピリット」が及ぼす影響というものもあります。
これらを考えてみても分かるように、相場へ影響を与える「変数」は実に多数あるわけです。
私達にできる事は、とにかく情報を収集し、「可能性」を探っていく事です。
前述の例でいえば、「中国やメキシコが報復措置を取りそうなのか」「原油価格が上がりそうなのか下がりそうなのか」「中東における紛争が激化しそうなのか」「中国の信用危機が起こりそうなのか」「株式市場の暴落が起こりそうなのか」「ユーロ圏で危機が起こりそうなのか」「どこかの大銀行が破綻しそうなのか」といった具合です。
このような努力はしつつも、究極のところは「相場の未来は神のみぞ知る」といった一種の悟りも重要です。
「予測は当たるかもしれないし外れるかもしれない」「外れたとしても値段は動く、上下を繰り返しながら動く」「負けなかったら、いつかは勝てる局面が来る」という事を考え、「資金管理」「逆算」をベースとして「ナンピン」を用いるのが、私が辿り着いた結論です。
皆さんも、ウォールストリート・ジャーナルの記事にあったような「経済予測に頼りすぎる投資家が失敗する」にならないように、日頃から「絶対はない」と、意識して取り組んでいただけたら幸いです。