円安トレンドになっています。
正確に言いますと、円安、ドル安、金(ゴールド)安トレンドですが、これらはいずれも「有事の円」「有事のドル」「有事の金」といった言葉があるように、いざという際に集中して買われる特徴を持っています。
今は「円」や「ドル」や「金」以外が中心に買われていますので、これらの意味する事は「有事の逆」という事で、「平和」だという解釈になってきます。
ところが現状は、世界各地でテロが頻発し、米国ホワイトハウスはメディアが報じなかったテロ事件約80件のリストまで公開しています。
先日は北朝鮮が米国のレッドラインとしていたICBM(大陸間弾道ミサイル)を発射しましたし、今回のG20サミットは「あり得ないレベルの厳戒態勢」だった上に、抗議デモで警察官200人が負傷する事件まで起きています。
中国では現在、暴動の数は小さいものも含めると1日に500件、年間18万件以上発生しているといいます。
しかし、世界がそんな状況にあっても、「円」や「ドル」や「金」以外が中心に買われているということは、今が「平和」だという解釈のようです。
私は、何かがおかしいと思います。
さて、現状について、「投資家として絶対に把握しておいた方がいい」という事が複数あります。
私はそれらを皆さんにお伝えしなければならないと思っています。
まずは、今の円安について、世間では「キャリートレード」だという説明がなされています。
一見もっともらしく聞こえ、今の値動きの説明も付きそうですが、第一線で活躍しているプロ達の間では「なんか違うだろうという感じがする」「非常に違和感がある」「昔のキャリートレードのようにいくとは、とうてい考えられない」といった見方が多数あります。
私もそれらは当然の見方だと思います。
「キャリートレード」の定義は、機関投資家やヘッジファンド等の資金調達、運用手法とされる取引の事で、金利の低い通貨で資金調達し、金利の高い通貨で運用して利ザヤを稼ぐ手法の事です。
もし、本当に今がキャリートレードであるならば、「円」よりも金利の低い「ユーロ」や「スイスフラン」が「円」よりも買われている事自体が「おかしい」という事になります。
「ユーロ」や「スイスフラン」を買い持ちにした場合、スワップ金利の分だけマイナスになるからです。
後に詳しく述べますが、現在の相場は、相場の材料とは一切関係無しに、まるで「何があっても、このように値段を動かしていこう」という誰かの意向に沿った値動きが形成されているかのようです。
今から3年ほど前に、ドイツ金融監督庁のケーニヒ長官が「昨今の相場の不正操作は特にひどい」と語りましたが、長年相場の世界に携わっている私から見ましても全く同感です。
むしろ3年前よりも、今の方がもっとひどいと言えます。
「Who governs ?」という言葉があります。
不正行為を取り締まる側の当局自身が不正行為に携わっていた場合、一体誰がそれを取り締まるのか、という意味になります。
つまり、昨今の不正操作に関する「闇」は相当に根深く、当局側にも不正操作に携わる人達がいるという事を指しています。
もちろん、正義感を持って仕事に取り組んでいる人達が当局側の大半であると思います。
前述のケーニヒ長官は不正操作の捜査指示を出しましたが、今こそ、ケーニヒ長官のような正義感を持った当局側の人達に頑張ってもらいたいと思います。
さて、今後の対策についてですが、前回コラムでの「高金利通貨」に続きまして、今回は新たに2つの対策を述べたいと思います。
ひとつは、「十分警戒しながら、今のトレンドに付き合っていく」という事です。
相場はいつ反転してもおかしくないだけの理由がいくつもありますが、今のトレンドが継続する限りは、機械的にトレンドに乗る事で利益を得られます。
ただし、前のめりになり過ぎないように、一歩引いたスタンスで臨んだ方が安全です。
以前のコラムでも述べましたが、「上げ100日、下げ3日」の格言もあり、100日かけて上がったものでも3日で下がるという意味で、いざ修正が起こる際には激しい値動きが予想されますので、それを覚悟の上で今のトレンドに付き合うという事です。
「ファンダメンタルズ」を考慮しますと、現在のトレンドには不可解な点が多いので、用心しながら臨んだ方がよいと思います。
そして、もうひとつが「ウェブボット」の未来予想に従うというものです。
「ウェブボット」とは、元マイクロソフトのコンサルタントであるクリフ・ハイ氏が開発した未来予想プログラムの事です。
このプログラムはインターネット上を徘徊しながら様々なキーワードを拾っていき、そこから未来予想をするプログラムとなっています。
ウェブボット自体は昔からありましたが、かつては「全然当たらない」といった評判でした。
ところが、近年になってからは急に当たるようになってきており、一気に注目を集めているのです。
おそらく、ウェブボット自体が進化してきているのだと思います。
具体的にはインドの高額紙幣廃止についての予想を当て、ビットコインの値上がりをかなり正確に当てた事などが挙げられます。
ビットコインは昨年の秋が600ドル程度、今年初め頃が900ドル程度でした。
それが今や2500ドルとなっていますが、ウェブボットはこういった値動きをかなり正確に当てたのです。
そんな中、到達時期は明示されていませんが、「銀(シルバー)が600ドルまで上がる」という予想が出されています。
ちなみに、金(ゴールド)に関しては、価格も到達時期も明示されていませんが、銀同様に「急騰する」との予想になっています。
しかし、ウェブボットの予想に反して、現在は金も銀も売られる展開となっています。
そして、この「売られている」事実こそが、「不正操作」の疑いを濃厚としているのです。
特に銀の不正操作がひどいものであると言えます。
なぜならば、銀の需要は毎年右肩上がりになってきており、直近の統計では36,405トンの現物需要に対して4,038トンの現物不足が生じているにも関わらず、価格が下げられているからです。
「需要に対して品薄状態なのに値段が下がるという、おかしいとしか言えない」展開となっているのです。
ウェブボットでは、ビットコインが急騰するにしたがって、「銀が不当に低い値段に抑えられている」事実が世間にクローズアップされると予想しています。
そして、このことによって銀が急騰し、600ドルに至る流れが加速するとの予想になっています。
そんな銀は、現在15.45ドルです。
いかに今の不正操作がひどいか、想像できるのではないかと思います。
金に関しては、価格も到達時期も明示されていないと述べましたが、昔から金銀レシオというものがあります。
これは、【金価格÷銀価格】というシンプルなものですが、昔からプロはこれを参考にしており、この30年間の平均値は60程度となっています。
この考え方でいきますと、銀が600ドルに到達した際の金価格は【600×60=36,000ドル】程度であると予想できます。
ところが、金についても、現在1210.2ドルとなっており、銀同様、いかに今の不正操作がひどいか想像できるのではないかと思います。
重要な事ですが、金も銀も為替と密接に関係している事は押さえておきたいポイントです。
過去、金や銀が急騰する場面では、同時に円も急騰しているのです。
したがって、仮に為替のみをトレードしているとしましても、金や銀は決して無関係ではないという事です。
これは、株価についても同様になります。
ちなみに、金銀レシオが80に近づくと、市場に何らかの暴落が起こるという法則があります。
昨年、世界同時株安が起きた際も、金銀レシオは80近辺にありました。
それに対して、現在の金銀レシオが78です。
この事からも、現在は特に要注意な状況になっている事が分かるかと思います。
他にも、皆さんが把握しておいた方がいい事がいくつかありますので、以下に整理をします。
・金利上昇と株価上昇の同時進行という、本来起こり得ない事が現在起こっている
・現在、米国は共和党政権となっているが、民主党政権から共和党政権に移行した場合、移行の一年目に過去毎回株価の暴落が起きている
・今年は2017年だが、西暦末尾が「7」の年は、世界的な金融危機が発生するというアノマリーがある
さて、ここまで様々な事を述べましたが、今の相場は前回のコラムでもお伝えしたように、それこそ、いくら主張しても主張し足りないくらいに「おかしい」です。
私は「相場の不正操作はやめてほしい」と切に願っています。
もちろん、世の中「綺麗事」ばかりではないでしょうが、今はあまりにも「汚い事」に偏っているように思うのです。
しかし、どんな状況でも、私達投資家は少しでも真相に迫る情報を掴んで対処していこうというスタンスを貫くべきです。
耐える局面があろうとも、そうする事が道を開くからです。
不正操作は将来も続くでしょうが、金や銀を買ってみるのも、未来へ向けた対策に成り得ると思います。
ひとつ、参考にしていただけましたら幸いです。