不正

 

現在の相場ですが、過去に無いレベルで不正が行われていると思われます。

 

「株価操作という日本の病」という事で、著名経営コンサルタントの大前研一さんも記事を書かれていましたが、本日も都議選で自民大敗となったにも関わらず、予想されていたような株価下落、円高にもなっていません。

 

米国株の暴落サインであるヒンデンブルグオーメンが点灯し、VIX(恐怖指数)が不正操作されている話は以前のコラムでもしましたが、相場の流れは相変わらずとなっています。

 

 

 

価格操作、不正操作といった事は昔からありました。

 

過去に、複数の投資銀行のトレーダー達が「ザ・カルテル」なるチャットルームを使って、不正操作を行っていたのは有名な話です。

 

今もどこかで誰かが不正を行っているのは間違いないと思います。

 

 

 

先々週のコラムで、私は以下のように言いました。

 

 

 

【最近の相場の値動きは非常におかしく、株、債券、為替、商品など、金融市場の資産間の相関性が信じ難いほどに崩れてしまっているからです。

 

名門投資銀行モルガン・スタンレーも、「今年に入って、金融市場の資産間の相関性が急激に低下している」と顧客向けレポートで指摘をしています。】

 

 

 

一方、小説「東京外為市場25時」のモデルにもなり、1985年の歴史的な出来事である「プラザ合意」において、ディーラーとして最前線で為替の協調介入を行っていた方で、酒匂隆雄さんという方がいます。

 

私の尊敬している方で、「往年の東京外為市場の伝説級・外為ディーラー」とも言われている方です。

 

 

 

その酒匂さんは、現在FX会社各社で定期的にコメントを出しておられますが、先週のコメントを皆さんにもぜひお伝えしたいと思い、ご本人に許可をいただきましたので、以下に掲載させていただきます。

 

 

 

【此処でも何回かご披露したが我々の世界では面白い表現が有る。

 

“為替ディーラーを殺すには刃物は要らない。ボラティリティーさえ奪えばいい。”と言うものであるが、要するに為替ディーラーは相場の上下の動きに乗じて利益を上げるのが目的であり、その動きが無くなれば(ボラティリティーが低下して相場が動かない。)商売が上がったりになって生きていくことが出来ないと言う自虐的な表現である。

 

先週現役のディーラー諸君と会う機会が有ったが、ある大手銀行の為替責任者が溜息をつきながらこう語った。

 

“もう何をやっていいのか分かりません。

 

顧客のフローを見るにつけドルを買うべきかなと思うんですが買っても上がらない。

 

テールリスク=(確率は低いが発生すると非常に巨大な損失をもたらすリスク。)を考えるとついつい売っちゃうんですが、売っても下がらない。

 

恥ずかしながらどうしていいか分からなくなっちゃいました。”

 

僭越ながらこのボヤキは先週筆者が言った“円高派の意見を聞くとそうだなと思うし、円安派の意見を聞くとそうかも知れないなと思う。”と似ており、“そうか現役のプロのディーラー諸君も悩んでいるのか。”と何となくほっとしたと言うのが本音である。

 

こんな事を言うと顰蹙を買うかも知れないが、こう言う状況でのプロのディーラー諸君にはご同情申し上げる。】

 

 

 

酒匂さんの上記コメントを見ていただいても分かるかと思いますが、結局のところ、最近の相場は「おかしい」に尽きます。

 

私が思うには、「どこかで誰かが不正を行う」⇒「アルゴリズム取引(コンピューター売買)が、値動きのおかしさに拍車をかける」という背景があるはずです。

 

 

 

では、こういった事態を踏まえまして、どう考え、どう対処していけば良いのでしょうか?

 

 

 

まずは、リスクとリターンについての考え方を明確にする必要があります。

 

もし、短期間で大儲けをして、相場そのものからも引退したいという事であれば、元金を失う覚悟を持って、ギャンブルトレードで大きな勝利を掴むしかありません。

 

しかし、大半の方はそうではないと思います。

 

5年経っても、10年経っても、生きている限り、収入はあった方がいい」という感覚ではないかと思います。

 

そして、後者のような考え方であるならば、参考にすべきは日本の税制の考え方です。

 

日本の税制は、利益や損、税額について、「決済をするまでは常に変動し、決済をして初めて金額が確定する」との考え方に基づき、決済済みの金額で計算がなされます。

 

という事は、含み益でも楽観し過ぎず、含み損でも悲観し過ぎず、決済済みの金額で判断していくのが税制から考える「正しいあり方」になります。

 

したがって、世間では「相場は余裕資金でやりなさい」と言われるのだと思います。

 

 

 

ただし、FX等の証拠金取引には強制決済の仕組みがあります。

 

強制決済をされてしまっては元も子もないですので、十分逆算した上でのポジション量を厳守してやっていく事が前提となります。

 

その上で、「負けない=勝つ」です。

 

含み損の時はもちろん面白くないですが、それでも負けなければ、必ず勝つ日が来ます。

 

そして、この継続によってこそ、「5年経っても、10年経っても、生きている限り、収入はあった方がいい」を実現する事ができるのです。

 

 

 

以上がリスクとリターンについての考え方になりますが、次に対処としての「秘策」を述べたいと思います。

 

 

 

それは、「高金利通貨」です。

 

1年前のコラムで、私は高金利通貨について、【「もらえる金利以上に通貨の下落によって損をした」という人達が後を絶ちません。】と述べました。

 

もちろん、今でも「もらえる金利以上に通貨の下落によって損をした」になる可能性は十分にあります。

 

 

 

ただし、これも考え方一つで変わってきます。

 

なにせ今は、前述のように非常に「おかしい」相場です。

 

高金利通貨の場合、たとえ含み損であっても、たとえ値動きが少なくても、「金利」だけは確実に得られます。

 

含み益になった際には、「売買益」と「金利」の両方を得ることもできます。

 

5年経っても、10年経っても、生きている限り、収入はあった方がいい」を実現する上で、高金利通貨は大いに役立ちます。

 

 

 

ここで最大の注意ポイントは「どこまで逆算しておくか」です。

 

前述のように、強制決済をされては意味がないからです。

 

私は、「史上最安値を付けても、まだ資金に余裕がある」という事で、逆算した上で実践するならば、大いにやる価値があると思います。

 

 

 

と言いますのも、残念ながら、前述のように、「どこかで誰かが不正を行う」⇒「アルゴリズム取引(コンピューター売買)が、値動きのおかしさに拍車をかける」という事は、今後も無くならないだろうと思うからです。

 

そして、無くならない限りにおいては、含み損の期間が長引くケースがどうしても出てしまいます。

 

 

 

そんな中で、高金利通貨は強力な武器となり得ます。

 

たとえ含み損であっても、たとえ値動きが少なくても、「金利」だけは確実に得られますし、含み益になった際には、「売買益」と「金利」の両方を得ることもできるからです。

 

 

 

したがって、全部が全部を高金利通貨でやる必要はありませんが、一部だけでも高金利通貨にシフトしていくのは良い戦略ではないかと思います。

 

 

 

今すぐ実践できる方は、今すぐ実践したらいいですし、今含み損で耐えている方は、回復したタイミングで一部をシフトしていきます。

 

 

 

今のような相場への対処方法として、今回の話をひとつ参考にしていただけましたら幸いです。

 

 

 

以上が今週のコラムとなります。