昨年の流行語大賞トップ10に「フェイク(嘘)ニュース」がランクインしました。
フェイクニュースが流れる ⇒ フェイクニュースをフェイク(嘘)と見抜かずにAI(人工知能)が売買注文を出す ⇒ 不可解な値動きが起こる
昨年あたりから、どうも上記のような展開が繰り返されているように思います。
先日報道でもありましたが、FB(フェイスブック)から8700万人分の個人情報が流出していた問題では、流出した個人情報がイギリス企業のケンブリッジ・アナリティカに渡ったとされています。
ちなみに、ケンブリッジ・アナリティカはデータ分析を手法とする選挙コンサルティング会社です。
ケンブリッジ・アナリティカでは、かつてスティーブン・バノン氏が副社長をやっていたことがあり、スティーブン・バノン氏と言えば、米大統領選挙の際にトランプ陣営の選挙対策本部長をやり、その後トランプ政権で首席戦略官兼上級顧問をやっていたことでも知られます。
しかし現在は、首席戦略官兼上級顧問を解任されています。
一方でケンブリッジ・アナリティカと言えば、イギリスのEU離脱に際しては国民投票で離脱派が勝利するようにネット工作をし、2016年の米大統領選に際してはトランプ氏が勝利するようにネット工作をした疑いが持たれています。
ネット工作のカラクリとしては、「AさんにはA’」「BさんにはB’」「CさんにはC’」・・・というように、入手したデータから有権者を分類し、有権者毎に異なるメッセージを届けていたとされています。
ケンブリッジ・アナリティカのアレクサンダー・ニックスCEOは「これまで30~100の選挙戦を戦い、100%の勝率を誇ってきた」と発言しているそうで、このような会社が選挙に関わるとなると「もはや選挙自体がフェアとは言えないのではないか?」という気がしないでもありません。
そのような中、前述のスティーブン・バノン氏はフェイクニュースの多い報道機関として、なんと「NHK」の名前を挙げています。
他にもニューヨークタイムズ、ワシントンポスト、CNN、英BBCなど世界の大手報道機関の名前も挙げています。
もし仮にバノン氏の言うように、大手報道機関がフェイクニュースを流しているのであれば、一般の人達はなかなかニュースの真偽の見分けがつかないと思います。
フェイクニュースの発信が意図的かどうかは別として、何事もスピード重視、個人でもネットを使って気軽に情報発信ができる現代では、メディアとしての競争意識から、大手報道機関といえども情報の吟味が疎かになるのではないかと思います。
さてこのような現状を何とかできないかという事で、世界各国が力を入れているのがAI(人工知能)です。
韓国では、KAIST(韓国科学技術院)とソウル大学の共同研究において、人間が66%の精度で見抜けたフェイクニュースをAIでは90%の精度で見抜くことに成功したそうです。
しかし喜びも束の間で、最近では「ロボット記者」や「ロボット記事」なるものも出てきており、AIが「説得力のあるフェイクニュースを作成する」という事もできるようです。
結局、このようなフェイクニュースの問題については、CIA(米国中央情報局)のコンサルタントも警告をしていますが「AI対AIの戦いになる」という事のようです。
FB(フェイスブック)のマーク・ザッカーバーグCEOも、「フェイクニュースを見分けるのにAIを使う」と語っています。
AIがフェイクニュースを作成するのであれば、それらを見抜くのもAIにさせるという事で、AI対AIの戦いになるという事です。
ただし厄介なのが、AIでもフェイクニュースを100%見抜けるわけではなく、相場の世界における現状では、例えば「日銀出口発言」などのキーワードに、ただ機械的に反応して売買注文を出すAIが主体です。
しっかりと情報を吟味して売買注文を出すわけではないのです。
SEC(米証券取引委員会)も、相場におけるフェイクニュースに注意するよう投資家向けの警告を発していますが、残念ながら、この問題には特効薬がありません。
結局、私達投資家としては「相場はフェイクニュースでおかしな値動きをする事がある」と認識し、「どんな情報でも鵜呑みにはしない」という姿勢で取り組む事が大事だと思います。
そして、個人レベルでは「しっかりと情報を吟味する」という姿勢も大事だと思います。
根気強さが求められますが、相場の世界で利益を得るためには、このようなスタンスを忘れずに取り組む事が重要だと思います。
引き続き頑張りましょう。